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悠久の時の彼方でⅠ  作者: 春岡犬吉
第一章
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プロローグ

 木々が鬱蒼(うっそう)と茂る森の中、ぽっかりと(ひら)けた場所があった。そこだけは何も生えずに地肌を(さら)し、まるで、不毛の大地の様にも見える。その中心には、全身を淡く光らせた男が立っている。一体、どれ程の時間を過せばその様になるのか、身に(まと)ったロングコートは(すそ)(ほつ)れ、ボロボロになっていた。男は時折吹く風にコートの裾を(なび)かせながら、(まぶた)を閉じた顔を月に向け、気持ち良さそうに月光を浴びていた。

 閉じられた瞼が静かに開かれてゆく。前方の闇の奥に、何かの気配を感じ取ったのか、ゆっくりと顔を向け、視線を送った。

 闇の奥に一対の光が(とも)る。光はゆっくりと男に近付き、月明かりに姿を(さら)すと、その体は月光を浴びて、見事なまでに金色(こんじき)に輝いていた。

 男の口から声が()れる。

御主(おぬし)は――」

 金色に輝く者は首を傾げ、貴方が何故此処(なぜここ)に居るのか、と、問いかけている様にも見えた。

 男もまた、不思議そうに見ている。

 二人の間に、何か、意識の光の様な物が流れる。

「何が御主をそうまでして、生き(なが)らえさせる」

 また二人の間に光が流れた。

 すると、瞳からは(せき)を切った様に涙を(あふ)れさせ、その口からは、今まで溜め込んでいた想いの全てが放たれた。

「なれば我を持ちて(おの)が想いを込めよ。さすれば、その五体罷(ごたいまか)り去ろうとも魂は我と共に在り続け、願い叶うであろう」

 荘厳(そうごん)な男の言葉が終わると、その姿は掻き消え、そこには月明かりに照らされ、(さや)(おさ)まった日本刀が突き立っていた。

 それ自体、意思でも有るかのように、ゆっくりと傾き、(つか)を向ける。

 金色に輝く者は、刀を地面から引き抜くと、また、森の奥深くに戻って行った。

拙作を読んで頂、有り難う御座います。

遅筆なもので、更新頻度が遅くなりますが

暖かく見守ってください。


ご意見ご感想など頂けますと、画面の前で小躍りいたします。

何卒、よろしくお願いします。

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