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私は仕事を終えて、会社を出た。
暗く、静まり返った夜道を歩いていると、車のエンジン音が聞こえてきた。振り返ると、一台のタクシーが、暗闇の中から浮かび上がってきた。私は手をあげて、そのタクシーを拾った。
私はタクシーの運転手に行き先を告げると、座り心地の悪いシートに、もたれかかった。
「こんな遅くまで残業ですか?」
運転手が話しかけてきた。髪を後ろへ撫でつけた、三十ぐらいの運転手だった。
「若いうちは雑用ばかりで大変でしょう?」
私は頷いた。
「仕事だから仕方がないですけど、大変じゃありませんか?」
――はい、そうなんです。といっても大切な仕事を任されてるんです。これでうまく結果を出さないと。
私は運転手にそう告げた。
「そうですか。出世するのは大変だ」
タクシーが目的地に着いた。
私は料金を払い、タクシーを降りた。




