1/4
1
私は仕事を終えて、会社を出た。
暗く、静まり返った夜道を歩いていると、車のエンジン音が聞こえてきた。振り返ると、一台のタクシーが暗闇の中から浮かび上がってきた。私は手をあげて、そのタクシーを拾った。
私はタクシーの運転手に行き先を告げると、座り心地の悪いシートに、もたれかかった。
「こんな遅くまで残業ですか?」
運転手が話しかけてきた。定年間近だろうか。白髪の目立つ、六十ぐらいの運転手だった。
――はい、そうなんです。といっても新人だから雑用ばかりですけどね。
私は運転手にそう告げた。
「そうですか。若い人は大変だ」
タクシーが目的地に着いた。
私は料金を払い、タクシーを降りた。




