日に5回追放された冒険者の話
「つ、追放なの~、グスン、グスン」
突然、俺の前に幼女が現れて追放と言う・・・オレンジ色の髪を二つに束ねている女の子だ。
後ろに誰かいるのか?
と脇によけたが・・・
誰もいない。
「ダンケ、貴方なの~、追放なの~」
「ええー、何故、名を知っている?君はパーティーの子じゃないだろう?」
「グスン、グスン、街から出て行くの~」
泣き出した。何か悪い気がしたけど、逃げだした。
フウ、一杯、飲むか。飲んで寝よう。酒を買おうと酒屋に向かったら・・・
「ちょっと、ダンケ、お前は追放だわさ!」
「えっ」
今度はドラ猫のような髪がボサボサの幼女だ。手には魚をもっていやがる。
「勘弁してくれよー!」
はあ、はあ、走って逃げた。
どうする?冒険者ギルドにでもよるか?この怪異を報告するか。
と思ったら。また、前に幼女が現れた。
「ダンケ、あなた、まだいたの?追放したにまだいるなんて、本当にクズね」
何だ。貴族の子か?白い髪・・を綺麗にまとめておろしている。
髪をイジりながら、俺をイジる。
ええい、どうでもよいや。
「何だ。幼女の間でおじさんを虐めるのが流行っているのか?」
俺は逃げだし。冒険者ギルドに向かった。
誰かに話を聞いて欲しい。
・・・・・・・・・・・
リーダーに話したら、やっぱりおかしいと言う。
「ダンケ、おかしくなったのか?」
「本当だよ。リーダー」
「あっ、そう、丁度良かった。お前、追放な」
「えっ?何故」
「だって、お前、うるさいのだもの。ほら、冒険者のくせに融通が利かない」
「うっ」
そうだ。この街の冒険者は横領をする。
探索で見つけた財宝、盗賊と裏で手を組み盗品の横流し。討伐計画の漏洩・・・
俺は告発を続けた。
「いらないのよ。中途半端な正義はよ」
冒険者ギルドを出る。
皆の視線は冷たい。
冒険者ギルマスも、俺を使いたくないと言う。
「ダンケさ。腕は良いのだからさ。もう少し融通を利かせろ。もうおっさんの年齢だろう?」
受付嬢も賄賂をせがむ。
「ダンケさん。少し心付けを頂ければ・・・良い仕事を斡旋しますよ」
「分かった・・」
「1割を頂きたいですね」
「仕事は何だ」
「ここだけの話、郊外の少女奴隷のオークション会場の警備です。さすがに領都でできないので外で行うのですって」
「うるせー!違法だろ!」
全く、どいつもこいつも。街を歩くとコジキが多い。親子連れのコジキがいた。
「お恵み下さい・・」
「おう、俺も少ししかないけどな」
「すまない・・・グスン」
もう、三代コジキのいるぐらいだ。
領主はカジノ、娼館をこの街に作り。堕落の街とも言われている。
元々の住民はカジノですっからかんだ。
いや、カジノにのめり込むのが悪い。でも、入れ。入れと宣伝して、最初のギャンブルは大勝。それから奈落だ。
始めの勝ちはのめり込むためのイカサマだろうな。
それからどっぷりつかって、コジキの生活になじんでいる。もう抜け出せないな。
今日は4回追放された。
まだ、魚は買える。
小さな魚を三匹買って、路地に行く。
ここには肩身を寄せ合って暮らしている子猫たちがいる。
「おい、キジ、ミーシャ、ドラ、お魚を持って来たぞ」
キジは愛想の良い子猫だ。ミーシャは白猫で長毛、いつも毛の手入れを忘れないお嬢様猫だ。ドラは名の通り。やんちゃな子だ。いつもお魚を加えて走っている。
三匹がのっそり出てきた。
「シャアアアアアーーーーーー」
「ウニャーーーニャー!」
「ニャアアーーーーーー」
え、三匹は魚に目もくれずに毛を逆立てて威嚇している。
俺を・・・・
また、ここでも追放か。
もう、いいや。この街の生まれだが、出て行くぜ!
「あばよ!」
魚を置いて路地をでた。これから街を出るのだ・・・
街を出るにも当然賄賂が必要になる。払わないと所持品検査をされて時間をかけられる。門衛に渡す。
「どうも、旅行かい?」
「ああ、そんな感じだ」
「今からだったら野宿になるな」
「構わない」
「それにしても、珍しい。今日は出る者はあんた1人だ。そして入る者は0だよ。珍しい。商売あがったりだよ」
「そんな日もある・・」
クソが。
世間話をして旅だった。
まだ夕暮れまで時間があるが、人が全くいない・・・
森に入ったが。
「いや、獣の気配、鳥の鳴き声まで聞こえない・・・」
何かがおかしい。もしかして、大軍が潜んでいるのか?
ガサガサと後ろから音がして、兵士が出てきた。
「確保!ソドリの住人とおぼしき者だ!」
「な、何だよ」
俺は難なく捕まり。
本営に連れて行かれた。
神職の服を来た女がいた。聖女か?
「ダンケ・・・ですね」
「お前は誰だ!何故名を知っている」
「貴様ぁ!無礼だろう」
「いいのです。私は聖女ナターシャ・・・」
託宣がありました。
ソドリの街は腐敗が激しい。悪人だらけの街になり。正義が悪にまでなりました。
故にソドリの街は滅ぼす。唯一の善人、ダンケを救出せよとの託宣でしたわ・・・
「唯一の・・・善人?俺は・・まともで良いのか?」
全て合点がいった。あの幼女たちは・・・子猫が化生したのか?
「聖女様、俺は街に戻らなければなりません!」
「いいでしょう・・・折角助かったのに、助けたい人がいるのですね。
故に善人なのでしょう・・・後は女神様の思し召しでわ」
街に戻る。夜だが明るい。
天から火が降っていた。
街は・・・火の海だ。
ええい。ままよ。
俺は街の中に飛び込んだ。
俺が街に入ったら、天の火は止んだ・・・・
あの路地に行く。
いた。肩身を寄せ合って固まっている。
「シャアアー・・・」
「もう、良いから」
三匹を懐に入れ門に向かう。
「おい、ダンケの通ると道が出来るぞ!」
「ダンケ君、金をあげるから、こっちに来てくれ!」
ギルマスとリーダーだ。その後を亡者のように大勢追いかけて来る・・・
皆の声を無視して・・・何とか街を出た。
軍隊は・・・既に街を包囲していた。
「少女少年奴隷を救出完了です」
「そう、領主は?」
「一族、捕縛です」
街の外の違法奴隷市場は急襲したそうだ。
女神様は俺の事を善人と称したそうだが、何も特別な事はしていない。
ただ、周りに流されなかっただけだ。
「ダンケ殿、聖人として聖都まで来て下さいませ」
「私はここの生まれですから・・」
聖女の誘いを断り。
元ソドリの街の近くで畑を耕している。
「ダンケ、お父さんからイモですって」
「ナタリー有難う」
近隣の農家の娘と結婚する予定だ。
その傍らには・・
「「「シャアアアア—」」」
「そろそろナタリーになれてくれよ」
元気な娘3人がいる。
最後までお読み頂き有難うございました。




