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日に5回追放された冒険者の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/03/23

「つ、追放なの~、グスン、グスン」


 突然、俺の前に幼女が現れて追放と言う・・・オレンジ色の髪を二つに束ねている女の子だ。

 後ろに誰かいるのか?

 と脇によけたが・・・


 誰もいない。


「ダンケ、貴方なの~、追放なの~」


「ええー、何故、名を知っている?君はパーティーの子じゃないだろう?」


「グスン、グスン、街から出て行くの~」


 泣き出した。何か悪い気がしたけど、逃げだした。




 フウ、一杯、飲むか。飲んで寝よう。酒を買おうと酒屋に向かったら・・・



「ちょっと、ダンケ、お前は追放だわさ!」


「えっ」


 今度はドラ猫のような髪がボサボサの幼女だ。手には魚をもっていやがる。


「勘弁してくれよー!」



 はあ、はあ、走って逃げた。


 どうする?冒険者ギルドにでもよるか?この怪異を報告するか。


 と思ったら。また、前に幼女が現れた。


「ダンケ、あなた、まだいたの?追放したにまだいるなんて、本当にクズね」


 何だ。貴族の子か?白い髪・・を綺麗にまとめておろしている。

 髪をイジりながら、俺をイジる。


 ええい、どうでもよいや。


「何だ。幼女の間でおじさんを虐めるのが流行っているのか?」


 俺は逃げだし。冒険者ギルドに向かった。

 誰かに話を聞いて欲しい。



 ・・・・・・・・・・・




 リーダーに話したら、やっぱりおかしいと言う。



「ダンケ、おかしくなったのか?」


「本当だよ。リーダー」


「あっ、そう、丁度良かった。お前、追放な」

「えっ?何故」


「だって、お前、うるさいのだもの。ほら、冒険者のくせに融通が利かない」


「うっ」


 そうだ。この街の冒険者は横領をする。

 探索で見つけた財宝、盗賊と裏で手を組み盗品の横流し。討伐計画の漏洩・・・


 俺は告発を続けた。



「いらないのよ。中途半端な正義はよ」


 冒険者ギルドを出る。


 皆の視線は冷たい。


 冒険者ギルマスも、俺を使いたくないと言う。


「ダンケさ。腕は良いのだからさ。もう少し融通を利かせろ。もうおっさんの年齢だろう?」


 受付嬢も賄賂をせがむ。


「ダンケさん。少し心付けを頂ければ・・・良い仕事を斡旋しますよ」

「分かった・・」

「1割を頂きたいですね」

「仕事は何だ」

「ここだけの話、郊外の少女奴隷のオークション会場の警備です。さすがに領都でできないので外で行うのですって」

「うるせー!違法だろ!」



 全く、どいつもこいつも。街を歩くとコジキが多い。親子連れのコジキがいた。


「お恵み下さい・・」

「おう、俺も少ししかないけどな」

「すまない・・・グスン」


 もう、三代コジキのいるぐらいだ。

 領主はカジノ、娼館をこの街に作り。堕落の街とも言われている。

 元々の住民はカジノですっからかんだ。


 いや、カジノにのめり込むのが悪い。でも、入れ。入れと宣伝して、最初のギャンブルは大勝。それから奈落だ。

 始めの勝ちはのめり込むためのイカサマだろうな。


 それからどっぷりつかって、コジキの生活になじんでいる。もう抜け出せないな。



 今日は4回追放された。

 まだ、魚は買える。


 小さな魚を三匹買って、路地に行く。

 ここには肩身を寄せ合って暮らしている子猫たちがいる。


「おい、キジ、ミーシャ、ドラ、お魚を持って来たぞ」


 キジは愛想の良い子猫だ。ミーシャは白猫で長毛、いつも毛の手入れを忘れないお嬢様猫だ。ドラは名の通り。やんちゃな子だ。いつもお魚を加えて走っている。


 三匹がのっそり出てきた。


「シャアアアアアーーーーーー」

「ウニャーーーニャー!」

「ニャアアーーーーーー」



 え、三匹は魚に目もくれずに毛を逆立てて威嚇している。

 俺を・・・・


 また、ここでも追放か。

 もう、いいや。この街の生まれだが、出て行くぜ!



「あばよ!」


 魚を置いて路地をでた。これから街を出るのだ・・・

 街を出るにも当然賄賂が必要になる。払わないと所持品検査をされて時間をかけられる。門衛に渡す。


「どうも、旅行かい?」

「ああ、そんな感じだ」

「今からだったら野宿になるな」

「構わない」


「それにしても、珍しい。今日は出る者はあんた1人だ。そして入る者は0だよ。珍しい。商売あがったりだよ」


「そんな日もある・・」


 クソが。


 世間話をして旅だった。

 まだ夕暮れまで時間があるが、人が全くいない・・・


 森に入ったが。


「いや、獣の気配、鳥の鳴き声まで聞こえない・・・」


 何かがおかしい。もしかして、大軍が潜んでいるのか?


 ガサガサと後ろから音がして、兵士が出てきた。


「確保!ソドリの住人とおぼしき者だ!」

「な、何だよ」


 俺は難なく捕まり。

 本営に連れて行かれた。

 神職の服を来た女がいた。聖女か?



「ダンケ・・・ですね」

「お前は誰だ!何故名を知っている」

「貴様ぁ!無礼だろう」


「いいのです。私は聖女ナターシャ・・・」



 託宣がありました。

 ソドリの街は腐敗が激しい。悪人だらけの街になり。正義が悪にまでなりました。


 故にソドリの街は滅ぼす。唯一の善人、ダンケを救出せよとの託宣でしたわ・・・



「唯一の・・・善人?俺は・・まともで良いのか?」


 全て合点がいった。あの幼女たちは・・・子猫が化生したのか?


「聖女様、俺は街に戻らなければなりません!」


「いいでしょう・・・折角助かったのに、助けたい人がいるのですね。

 故に善人なのでしょう・・・後は女神様の思し召しでわ」



 街に戻る。夜だが明るい。

 天から火が降っていた。

 街は・・・火の海だ。


 ええい。ままよ。


 俺は街の中に飛び込んだ。

 俺が街に入ったら、天の火は止んだ・・・・


 あの路地に行く。


 いた。肩身を寄せ合って固まっている。


「シャアアー・・・」


「もう、良いから」

 三匹を懐に入れ門に向かう。



「おい、ダンケの通ると道が出来るぞ!」

「ダンケ君、金をあげるから、こっちに来てくれ!」



 ギルマスとリーダーだ。その後を亡者のように大勢追いかけて来る・・・

 皆の声を無視して・・・何とか街を出た。


 軍隊は・・・既に街を包囲していた。


「少女少年奴隷を救出完了です」

「そう、領主は?」

「一族、捕縛です」



 街の外の違法奴隷市場は急襲したそうだ。


 女神様は俺の事を善人と称したそうだが、何も特別な事はしていない。

 ただ、周りに流されなかっただけだ。



「ダンケ殿、聖人として聖都まで来て下さいませ」

「私はここの生まれですから・・」


 聖女の誘いを断り。

 元ソドリの街の近くで畑を耕している。


「ダンケ、お父さんからイモですって」

「ナタリー有難う」


 近隣の農家の娘と結婚する予定だ。

 その傍らには・・


「「「シャアアアア—」」」


「そろそろナタリーになれてくれよ」


 元気な娘3人がいる。



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
心が強い人やね。 あと3人娘(猫)も幸せそうで何よりですw。
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