第四話 お兄様エグいて②
《レイル視点》
黄金の輝きを放つラウルを見て境内の全員が言葉を失う。
神助を受けている人は、体が黄金に光る。この場のほとんどの大人がそうだが、その中でもラウルは他とは一線を画していた。
宮司さんは慌てて御朱印帳のようなものを確認する。おそらく神助がきたらそこに神の名前が記されるのだろう。
すると宮司さんは興奮したように真っ赤な顔になった。そして告げた。
「ラウル・ブレイクス!そ…蒼貴神様の神助を得たり!」
境内が一瞬水を打ったように静かになり、次の瞬間大きなざわめきが起きた。
「蒼貴神様…だと?」「伝説じゃないか」「156年ぶりだ…」「やりますねえ」
蒼貴神様、ダトウ!?三貴神じゃん!約150年ぶりだぞ!あと、主人公は俺だぞ!にいちゃんじゃねえ!あっち側に行くんは俺や!!
「あばばばば…」
チラッと隣を見ると、ギャレクがメチャクチャ動揺していた。目が泳ぎまくってちょっとウけた。
そして、当のラウル兄様は……普通にさっき見た時と同じ格好で佇んでいた。強者の風格。
ミリア母様がギャレクをそっと揺らす。そしてラウルと俺をそっと引き寄せ自らと3人を拝殿に一礼させてさっと境内から出た。その間わずか3分。
境内から出て少し正気に戻ったギャレクはもたつきながら魔法通信機を出してレナアさんたちと連絡をとり始める。この魔法通信機、魔力をこめると使えて、電話や簡単なメッセージまで送れてしまいます!
「あーあー、聞こえるか?」
レナアさんの声がする。
「はい、聞こえております。」
「ラウルがトップバッターでな、1番最初だったから、もう終わって、今正面の狗居のまえにいるんd」
「どうでしたか、ラウル君!」
ブルムさんが大声で聞く。
「ブルムうるさい!」
と、イエルムさんがブルムさんを取り押さえる。ドカバキという音が通信機越しに聞こえる。
レナアさんが咳払いを一つして言う。
「では、すぐ向かいます。話は帰りの馬車の中でお願いします。失礼致します。」
と言ってレナアさんは通信機を切った。この人が1番結果が気になっているんだろうな。
***
すぐに来てくれた馬車に乗ってすぐ、三人に質問攻めにあった。
馬車に乗ってすぐにブルムさんに結果を聞かれたラウルが蒼貴神様から神助をいただいたというと、三娘が言葉を失った。さっきの境内の状況と一緒だ。
「蒼貴神様ですか…」「まさかの…」「すごぉ…」
レナアさんが言う。
「我がブレイクス家でも初めての快挙です。おめでとうございます。」
そうだ。めでたいことなのに、祝うのを忘れてた。
「おめでとうございます、兄様。」
ギャレクも続く。
「おめでとう、ラウル。お前は私たち…いや、我が一族の誇りだ!」
ミリアは言葉が話せないので、ラウルを膝の上に乗してよしよしと頭を撫でた。
馬車の中が和やかな空気に包まれたなか、俺はふと思ったことを聞いてみた。
「兄様、本で読んだのですが、『降臨の儀』では神様と対話をして認められれば神助を与えてくださるとのことらしいですが、蒼貴神様は何とおっしゃられたのですか?」
すると、全員が興味津々な顔でラウルを見た。
ラウルは少しだけ困った顔をしたが、すぐに答えた。
「『この国の多幸のため、国を身を賭してでも守れ』、と。」
すごいな。最も高貴な神様に神助を与えられたばかりか国の守護まで命じられるとは。マジ一族の誇りのニキ。
「すごいです、ラウル君!」
テンションが上がったブルムさんがミリアの膝からラウルを奪い去ると思いっきり頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
ミリアがにっこりと睨むが、それを意に介さずブルムさんは続ける。
そこで、なぜかレナアさんがハッとした表情をした。この人はブルムさんが騒ぎ出すと冷静になるのだろうか。
「お喜びのところ申し訳ないのですが、蒼貴神様は国を守れとラウル様に命じられたのですよね?」
どういうことだろうか。何も考えることはないんじゃないか?
しかし、事情がわかってきたのか、嫌な顔をしているラウルが言う。
「…はい。」
事情が飲み込めていないブルムさんが聞く。
「どう言うこと?何が問題なの?」
「これといった問題はないのです。」
「じゃあ尚更ーー」「ラウル様が命懸けで魔術や剣術の稽古をしなければいけないと言うことを除けば。」
馬車の中が再び静かになる。
そうか。ラウルが魔術を使っているところや素振りをしているところは一度も見たことがない。
国を守れと神様に命じられた以上は遂行しなければならないだろう。
ラウルはどうするのだろうか。
「まあ、気長に頑張ろうじゃないか。」
ギャレクの無駄な一言。
「ハイ‥」
意気消沈しているラウル。
声にも表情にも生気がなかった。
そんなラウルを見てブルムさんは、今度は優しく頭を撫でるのだった。
三娘も神助持ちです。
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