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第二話 お兄様エグいて

20263/14

内容を少し変更しました

俺は4歳になった。


これまでの4年間で身の回りのことや神助のこと、この国のことについて独学で勉強した。まあ、メイドさんに教えてもらったり父さんに教えてもらったりしたんだけど。


まず、この国の名前は、神聖弥栄(いやさか)皇国という。地図を見たが、ほぼ日本と同じ配置、形の島国だ。

首都はウキョウ。位置は東京と大体一緒。ウキョウの方が県土はでかい。


この国は多神教で、構成は日本の八百万の神に似ている。神話も古事記に似ている。国を作った神様は日本をモデルにしまくったんだろうな。


我が家はブレイクス家という。イチーア県てとこにある。まあわかる通り位置は愛知とほぼ一緒。

なんと我が家は代々宮廷魔術師や魔法使い最高位の称号である『魔人』の名を国から授かったりするような魔法使いを輩出するエリート一家であった。これ、神助をいただけないとかなりまずくないか?


家族は、父のギャレク・ブレイクス。22歳。優しい一家の大黒柱。

母のミリア・ブレイクス。20歳。喉に病気があり、喋ることができないが、4年も一緒にいたら何となく何が言いたいかくらいはわかるようになった。慈愛に溢れるママ。

兄のラウル・ブレイクス。5歳。ミステリアスな雰囲気を放つ我らがお兄ちゃん。この三人。

他にメイドさんのレナアさん(赤髪)、イエルムさん(黄髪)、ブルムさん(青髪)の三人が家にいる。

密かに信号機三娘って呼んでる。全員前世の俺より若そう。年齢は知らないけど


そして、異世界といえば剣と魔法!


剣には、古今一刀流と二剣一流という流派があるらしい。剣術界の覇権を100年以上取り合っているらしい。

まあ、魔法使い一家の俺にはあんまり関係ないけど。


お待ちかねの魔法についてである。この国の魔法の属性は、一般魔法として火、空、地、水、風があり、上位魔法に陽魔法、闇魔法がある。陽魔法は光や熱などをあつかい、闇魔法は暗闇や紗幕をつくる。さらに不可能とされてはいるが、無魔法というものもあるらしい。どういうものかはわからない。

魔法のレベルとして下から、初級、中級、上級、特級、聖級、王級、そして魔人。様々な種類の魔法が使えた場合は一番レベルの高い魔法を代表する。俺の父さんであるギャレク・ブレイクスは、水、風魔法も使える地・火魔法特級である。

俺は空魔法で雷とか使ってみたいな。



そんな感じで勉強を進めていたある日、父さんから明後日出かけるぞ、と言われた。

「なぜですか?」


「明後日はラウルの『降臨の儀』だからな。ヤーゴナの祠社(ししゃ)に行くぞ。」


降臨の儀!神助があるかどうかを確かめるやつだ!ちなみに祠社とは日本でいう神社と同じもの。


「僕も行っていいんですか?」


父さんはにっこりと笑って言った。

「『降臨の儀』は家族全員で行くものなんだぞ。」


「そうなのですね。初めての外出楽しみです。」

ワクワクするう!発外出が降臨の儀ってついてるな、俺。

そうと決まれば、どんな作法があるとかどんな所で行われるかとか後で調べよう。


***


3日後。

両親に準備してもらった服を着て出発した。出かける準備の時、初めて鏡を見たがかなりいい顔だった。髪は明るい茶色で、目は青っぽい。鼻は高く目も二重。カンペキヤ!


移動は異世界らしく馬車だった。家からヤーゴナの祠社までは、30分ぐらいらしい。

俺は兄ちゃんに話しかける。兄ちゃんと話すことはあんまりない。いっつも庭でボーッとしているから。

「兄様、今どんな気持ちですか?」


若干遅れて反応が返ってくる。

「ん?あー、そうだねぇ。あんまり緊張はしてないかな。神助は受けれたら光栄で受けられなかったら自分の力不足だからねえ。」


あら大人っぽい。かっこいい。ちなみに兄ちゃんもかなりのイケメン。金髪の銀目。母さんも同じだから似たんだろう。


「まあ、現時点じゃ神助をいただける神様以外知りませんでしょうから、あまり緊張しなくても大丈夫ですよ。」


気楽に〜、と明るくブルムさんが言う。


この馬車はレナアさんとイエルムさんが運転してくれている。ブルムさんは馬を扱えないから車内にいるのだ。

(実は、能天気すぎて厄介なことになってることが多々あるから、運転させてもらえないみたいな噂を聞いたことがある。本人には怖くて聞けないけど。)


「ブ、ブルムの言う通りだ。緊張したっていいことはないからな。」


ギャレクが言う。…が、一番緊張しているのはこの人だろう。声からバレバレだ。


「父様、声が震えていますよ。」

ラウルが言う。いや、言うなよ。


「な、ななな、何のことだラウル!?」


この動揺し切った声にブルムさんが吹き出す。それを引き金に車内のみんなも一斉に笑い出す。


ギャレクは恥ずかしそうに照れ笑いをし、ミリアがふふっと微笑んだ。


***


約30分後。


家がある郊外とは打って変わって都会の景色になったところで馬車が止まった。


「到着いたしました。」

とレナアさんとイエルムさんが扉を開けてくれる。


「お疲れだった、2人とも。」

とギャレクが労いの言葉をかける。


レナアさんが言う。

「私たちはブルムも連れて馬車を移動させておきます。終わり次第連絡をお願いします。」


「わかった。連絡をするまでゆっくりしておいてくれ。」


「承知いたしました。それでは、また。」

と三人は馬車に乗って離れていった。


ギャレクが俺たちに声をかける。

「それじゃ、祠社に移動しようか。」


歩いてここから2分ほどで着くらしい。

俺は聞く。

「父様、ヤーゴナの祠社はどんなものなのですか?」


ギャレクは答えてくれる。


「ヤーゴナの祠社はな、『天宮(てんぐう)』と呼ばれる国に24社しかない大事な祠社の一つなんだ。」


ほう、『天宮』。24社って日本の神宮の数と一緒だな。王族と関わりがあるのかな?


皇王(こうおう)様と関わりが深いのですか?」


ギャレクはびっくりした顔で答える。

「よくわかったな!『天宮』は三貴神の一柱である弥栄の最高神『照貴神(しょうきしん)』の子孫である皇王一族と関わり深い場所に建てられるんだ。」


神宮と一緒か。日本だと愛知で神宮だから…熱田神宮かな?草薙剣が祀られてるところだからこっちには聖剣でも祀ってるのかな?


「聖剣とか祀ってあるんですか?」


ギャレクはまたまたびっくりした顔で答える。

「何で知ってるんだ!?…まあ、その通りで神代の弥栄統一の時に『英神』様がおつかいになった『地破剣(ちわりのつるぎ)』が祀ってあるんだ。英神様の神助を受けた者が出たら、この剣をその人に渡すことになっている。」


ロマンの塊じゃないか!!予感的中!俺がその神助を受けれる人だったり…しないだろうけど。

神様に関して願いごとをするのは言語道断!日頃の感謝をしないといけないんだ!

…けど、勇者って憧れるよな〜。


***


「着いたぞ。ここがヤーゴナの祠社、『克駄天宮(かつたてんぐう)』だ。」


目の前には石造りの立派な鳥居(?)と豊かな自然が広がっていた。

俺たち4人は鳥居の前で一礼し、境内に入る。

長い石畳を歩き、拝殿前に着く。


めっちゃでかい!俺ん家もかなりでかいと思ったけど、拝殿だけでさらにそれを超える大きさ。さらに懐かしい和風建築。ザ・神社って感じ。

中には家族連れがいっぱいいた。みんないい服を着ているから、貴族かなんかなんだろう。

拝殿の前には祭殿のようなものがあり、そこで宮司さんっぽい人や禰宜(ねぎ)っぽい人が準備している。


そんなことを考えて周りを見回していると、父さんが話しかけてきた。

「どうだい、初めての祠社は。」


「とても広いですね。なんか落ち着かないです。」


「はっはっは。そうか。家の方が好きか?」


「そうではないんですけど、なんか落ち着かないです。」


俺は海外に行ったことはないけど、この祠社の外はバリバリ洋風建築だから、チグハグな感じがある。


父さんは話題を変えて母さんと俺と兄さんに言った

「それはそうと、『降臨の儀』の時にラウルの名前が呼ばれたら家族全員で前に出て俺と母さんとレイルはあの箱の2歩ほど前に立つ。その時ラウルだけは箱の一歩手前に行って宮司さんの指示に従うんだぞ。」


「はい!」「はあい」


そして、降臨の儀が始まった。

宮司さんが呼ぶ。

「ラウル・ブレイクス、前へ!」


お、最初か。ラウルがんばれ!と心の奥でエールを送りながら祭壇の前に行く。


祭壇ーーというか日本の神棚は拝殿より5メートルほど手前にあり、何と空中に浮いていた。

台の上には『七百万(ななおよろず)の神』と書かれた札や榊のような植物が白い花瓶に生けてある。

神棚の一歩手前に賽銭箱のような箱があり、その上に大きな翡翠の玉が置かれている。その翡翠の後ろに宮司さんと紙垂(しで)を持った禰宜さん2人がいる。


俺たち家族は賽銭箱風の一歩手前に立ち、ラウルだけが翡翠の前に出る。

二礼二拍手をし、頭を下げる。その瞬間、境内は水を打ったように静かになり、こちらに注目する。

そして、宮司さんが祝詞のようなものを読み上げる。


「かけまくもかしこき神々、現人神にあられる皇王陛下よ!」


一陣の風が吹き抜ける。


梛原中国(なぎはらのなかつくに)にましましてーー」


風が強くなり、場の静寂の中に音が落とされる。


「このものに多大なるお力添えをくださらんこと聞こしめせとーー」


刹那、何と翡翠が光り始めた。暖かい光が視界に点として映る。


「恐み恐み申す!」


言い終えたところで、点だった光が徐々に大きくなり、最初にラウルを包み、その勢いで後ろの俺たち、遂には拝殿前全体を包み込んだ。


光は温かく、しかしやんわりと視界を抑えてきた。目を開けることができず、平衡感覚が失われ、宙に浮いたようになっていく。


(何だこの光…。これが神の放つ光なのか…?ただただ暖かい…。)


心が落ち着いてくる。ずっとこのままでいたいーー




いつの間にか光は止んでいた。目を開けて箱を見る。翡翠は無くなっていた。

その代わりに目の前にはーー



黄金のオーラを纏ったラウルが佇んでいた。

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