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第一話 我、異世界に爆誕せり

「ーかーたぞ!」「ーでとーござーーすーおーさー」


意識が覚醒した。人がなんか言ってるのがわかる。耳に水が詰まってる感じでよく聞き取れないがなんとくよろこんでる気がする。どういう状況かなと目を開けようとするーーが、うまく周りが見えない。仕方なく、手探りで周りに何があるか確かめようとするーーも、うまく動かせない。手足があるのかないのかすらもわからない。


なんもできない。悲しい。神様方『いけそう』とか言ってたのに全身不自由かよ。ひでえ。てか、この状況で喜んでる周りの人達も酷い。

あぁ、いよいよ泣きそう。


「オ、オ、オギャアアァアア!!」

オギャアアアアアアアアアア????誰誰誰!?急に赤ちゃん登場か?俺の方が泣きたいってのに泣くんじゃない!


「おお、泣いたぞ!」「ふふ、元気な子ね」

あなたたちもそんな喜ばんで!


そんなこんなでまた泣けてきた。


「オギャアアアアアアアアアア!」

また?いや…ん?なんかタイミング良くない?声出してみよ。

みんなおはよー!「うぅ、だああ」


………最悪の予感。さっきの泣き声も今の声も俺のですわ。あーあ。せめて転移にしてくれよー。神様。


***


状況を整理すると、前世で死んで赤子に転生、と。

名前は、レイルにみたいだ。前世の名前ってなんだったっけ?まあいい。言語は日本語じゃないんだろうけどなんでか読めるし聞き取れるからいいや。

家にいる人は、父、母、使用人さん三人、そして兄。

使用人さん含め全員美形。これ、俺の時代も来るんじゃね?(←使用人さん関係ない)

家はかなりデカく、居間一つとっても見たことない大きさ。上流階級あるかも。来るか、俺の時代。


突然だが、元ニートにとって『暇』とは最も恐ろしいことだ。何もしない時間から目を逸らして現実逃避に浸る。これが俺の前世のスタイルだった。そして、赤子になった今、その『暇』を持て余している。パソコンもラノベもゲームもない(というかあっても使えない)世界でやることはただ一つ。


睡眠、である。


赤ちゃんってずっと寝てても怒られないし、どちらかというと喜ばれる。でも、俺は寝過ぎて母さんを心配させることが多々ある。まあ関係ないが。

そんなこんなで時間だけがすぎていく。他の赤ちゃんたちは生きるのに必死なんだろうが、俺にとっちゃ今の状況は合法ニートである。普通のニートが違法なわけじゃないけど。


***


この世界に来て大体一週間が経った。


そして、その日の夜。昼間に爆睡ちゃんをかましまくった俺はなかなか寝れず、ベビーベット(っぽいやつ)の上で寝転がって天井を見ていた。


その時。

〈あーあー、聞こえるか?〉


ビクウッッ!!!急に聞こえた(というより頭の中に響いてきた)声に仰天し、思わず泣き出してしまった。

その後母親がやってきて授乳されたりオムツ(こっちでは布切れみたいなもの)を変えられたりと1時間ほど家中が大慌てであった。まあ、夜泣きしたことない俺が泣いたらそりゃ驚くか。


気を取り直して。

『ブラジルの皆さーん!聞こえますかー!』

と頭の中で念じた数秒後。

〈Este é o Brazil. とでも言ってもらいたかったか?〉


めちゃめちゃいい発音で聞き慣れぬ外国語がきこえてきた。


『何語!?てか誰?』


〈愛神が名乗っただろう。主神だ。〉


『あ、あの時の神様!ノリがいいんですね。』

そういえばあの時も“お前はもう、死んでいる”とか言われたな。


『で、いきなりですが何のご用でしょうか。』


〈(切り替えが早すぎる…)…こちらの世界の説明だ。去り際に説明が欲しいとか言ってたからな。〉


『何とお優しい!誠に有難うございます。』


〈早速説明を始める。まず、この世界は知っての通り異世界。この世界には『神助(しんじょ)』というものが存在する。神助とは文字通り神からの助け。基礎体力が格段に上がったり、使える魔法の強さが格段に上がったりと強大な力が与えられる。しかし、その力は神助を受ける人間の努力と元からの運動神経や魔術の才能で裏付けされていないと力をなさない。神は人の努力する姿が好きだからな。〉


『魔術の才能は、後天的なものなのですか?』


〈ああ。よっぽどのことがない限り、訓練すれば後天的にどんな者でも魔術は使えるようになるし自身の魔力量も増える。〉


後天的に強化できるのか。努力が大事なんだな。


『なるほど。ところで、話の内容から、主神様が私めに神助を与えてくださるのですか?』

このタイミングで声をかけてくださるってことはそういうことだろ!


〈いや違う〉

『違うの!?』

〈5歳になったら『降臨の儀』と呼ばれる儀式がある。そこで己に神助があるかないか、あればどの神が神助につくのかがわかる。ただしそこで神側に拒否をされたら神助についてはくれない。ちなみに拒否する基準は神次第だ。〉


なるほど。一旦5歳まで待つことになるのか。


〈説明は以上。あとのところは自分で勉強しろ。〉


『説明有難うございました。神助をいただけるよう精進いたします。』


〈そうするがいい。さらばだ。〉

そうして主神との会話(念話?)は幕を閉じた。

5歳までは勉強だな。勉強嫌いだけど、異世界無双のためには致し方ない。


そう考えてるうちに睡魔が襲ってきた。

こうして異世界にきてから7日目は幕を閉じたのであった。

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