続・サツキとダンの新しい世界 ダン編 序
続編には流血描写があります。
苦手な方はご注意ください。
容赦なく照りつける太陽。
草一本生えぬひび割れた地面に膝を付き、俺は肩で息をする。
すべてを拒否する不毛の大地――。
吹き出す汗は一瞬で蒸発し、渇いた舌が痙攣する。
しかしいくら求めようと、水も食料ももう無い。
頭上では怪鳥ネルビンの群れが大きな翼を広げ、俺を狙って旋回を始める。
愛する妻の笑顔を思い出し、折れそうな心を叱咤する。
倒れるわけにはいかない。
俺は力を振り絞って立ち上がり、身の丈程もある大剣の柄を両手で握りしめる。
一羽のネルビンが急降下し、それを合図にすべてのネルビンが俺に向って来た。
その鋭い嘴は、俺の体を突き刺し生きたまま食らおうというのか。
だが俺は……負けない。
必ず、必ず生きて妻の元に帰る。
体を低くし、身構える。
来い。餌になるのはお前達だ。
その肉を食らい血を啜り、俺は生き抜く。
愛する妻、サツキよ。――俺に力を!
近付くネルビンを見上げ、俺は口角を上げる。
巻き上がる砂塵、降り注ぐ血の雨と断末魔。
愛より生まれし黄金の焔よ、剣に宿りて邪を切り刻め。