表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サツキとダンの新しい世界  作者: 手絞り薬味
サツキとダンの新しい世界
25/101

第13話サツキ編   ひらめいた!

 ダンが来ない。

 追い返しても追い返してもしつこくうちに来ていたくせに、もう五日も来ない。

 やっぱり屋敷を売られたのがショックだったのかな?

 私と違って住み慣れた場所を去るのは、ダンにとって辛い事なんだね。

 あれからお父様は凄く怒っているから、ダンを強制退去させるかもしれない。

 そうするとダンは……何処に行くんだろ。

 ベッドでゴロゴロしながらそんな事を考えていたら、ノックの音が聞こえてマチルダが入ってきた。

 一瞬ダンの来訪を告げに来たのかと思ったけど、マチルダの手にはお盆が載ってて、その上には紅茶とケーキがあった。

「サツキ様、どうぞ」

 マチルダはサイドテーブルに紅茶とケーキを置く。

 ケーキ……。

 ダンってば毎日うちで甘いお菓子を食べてたから、今頃禁断症状で苦しんでないかな。

 ……持って行ってあげようかな。

 でも私は言わば敵の娘、歓迎される訳ないよね。

 そんな事考えながらじっとケーキを見ていると、不意に声が聞こえた。


「意見が合わない時もあります。でもそれも二人なら分かりあえる。愛し合っているからなのです」


 ……はい?

 顔を上げるとマチルダが微笑んでいる。

 そしてドアのところに、いつの間にかヤンが立っていた。

「ダン様の屋敷に行って、話し合いをして下さい。愛を持っていればきっと気持ちは通じます」

 愛を持って……。

 ああ、そうか。つまり自分達夫婦を例に話し合いの大切さを説いているんだね。そして慈愛の精神があれば気持ちは通じる……か。

 でもさあ、そんな綺麗事言われてもどうすればいいのか分かんないよ。

「旦那様も奥様も、みんなで新しい屋敷に一緒に住みましょう」

 お父様の夢だから叶えてあげたいよ、私も。

 新しい大きな屋敷に一緒に……、ん?

 ちょっと待って。

 私は顎に手を当て、お父様が見せてくれた図面を思い出した。

 そうだ、新しい屋敷は確か部屋数がめちゃくちゃ増えていた。という事は……。

 私は勢いよく立ち上がり、走った。


 そうだ! その手があった!


 ダンが私の考えを受け入れさえしてくれたら、問題はすべて解決する。

 玄関から外に出て、お隣へ。

 門を勝手に開けて庭を走り、ダンの屋敷のドアの前に立って数回深呼吸。気合いを入れる。


「よし!いくぞ!」


 私は背伸びをして、少し高い位置にあるドアノッカーを握った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ