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60話

 夢も見ないほどにぐっすり眠って、今朝は日が昇ると同時に目が覚めてルドとダンと朝練してから風呂で汗を流す、気持ちのいい朝だ。


「楽しい旅行も今日で最終日ですー。」


 今日はお土産を買って、神社に寄って早めに帰り旅の疲れを癒す。明日からは引っ越しの準備だ。

 宿から近い酒造でワインを試飲して大量に購入。この旅行でかなりの量のお土産を買ったな、亜空間がパンパンだ。ほとんどがダンの酒だけど。


「ここが有名なブショウのジンジャであるか?」

「そう、ご利益は勝運!私達にピッタリでしょ。」


 勝負事に勝つ、人生に勝つ、自分に克つ。確かに今の自分達にぴったりだ。他にも風林火山が有名で、その事をルドに説明すると興味を持ったらしい。

 ルドルフ将軍はただ強いだけではなく、戦略や戦術にも明るいらしく、ルドも将来そうなりたいんだそうだ。


「私は医療の勉強がしたいですね。大学に行くにはどうすればいいんでしょうか?」

「まずは高校ですねー、エマちゃんの制服姿は絶対可愛いですー。」


 エマさんは以前から医療に興味があるが、大学は敷居が高い。確かに制服は似合いそうだが、高校は必要なのか?魔法をアピールすれば一芸入試で入学できそうだが…。


「そういやダイ坊!炉はどうにかなんねえか?」

「明日、人が来るから相談してみよう。」


 ダンは器用に何でも作るが、この世界ではまだ鍛冶には手を出してない。酒造で職人さんと話して刺激を受けたみたいだ。炉の話を聞いて火の精霊もやる気を出している。


 明日、政府から正式に依頼が来る時に引っ越し先や鍛冶について諸々確認しよう。


「大さんは何かないんですかー?私は結婚ー、さくらちゃんは歌手活動ー。」


 皆の注目が集まるが答えは決まっている。自分は迷宮攻略だな、それと攻略の為の訓練。


「自分は迷…。」

「迷宮攻略関係はダメですよ、大さん。」


 なぜ?


「攻略は大切であるが、それ以外も大切である。」

「そうですね、攻略だけでは不健全です。」

「何か趣味はないんですかー?」

「酒か女でも良いぞ!ダイ坊!だっはっはっ!」


 こういう時に自分はなぜか孤立しやすい。腕を組んで考えてみる。…趣味、特にないな。広く浅くというか、自分は何事にもあまり興味が湧かない質だ。

 料理、ゲーム、バイク、御朱印帳、その他色々…、必要だからとか付き合いでとか流行ってるからとか、人並みに手を出してはすぐに飽きてしまった。


「……無さそうですね。大さん。」

「じゃあ探しましょー。」

「みんなで色々試すのである!」

「色々な場所に行って。」

「時間もあるしな!」


 皆が好き勝手にアイディアを出している、自分より乗り気だな。都心部は選択肢が多くて何かを始めるにはうってつけの場所だ、本気で探してみるか。


「新しい趣味。」


 言葉にして顔が緩む、きっと楽しいに決まってる。


「私のおすすめはサーフィンです!」

「良いですねー。」

「さーふぃん?ってなんですか?」

「こーいうのですー。」

「裸じゃねぇか!若い娘が人前で何しとんじゃ!」

「そーだけど、そこじゃないの!」

「…2人がサーフィンしたいだけじゃないのか?」

「ぎくっ!」

「ぎくっ!ですー。」

「口で言ったのである!」


 だってもうすでに楽しいんだから。


 皆でじゃれ合いながら、賽銭を入れて二礼二拍手一礼、奮発した分だけ念入りに祈る。今回は願い事が多いですが、よろしくお願いします。


「ずいぶん長く祈ってましたね、何をお願いしたんですか?ダイ君。」

「それは秘密です、エマさんは何をお願いしたんですか?」


 私も秘密です。というやりとりをさくらと美咲さんがニヤニヤ笑って見ている。これはイジってくるな。


「何のお話してるんですかー?」

「てゆうか、いつまでエマちゃんをさん付けで呼ぶんですか?大さん。」

「確かに、エマ殿だけさん付けであるな。」

「おいおい!妖精差別か?ダイ坊!」


 ルドもダンも話に乗って来た。ベルはいつも通り静かにしていて、エマさんはいつも通り口元に手を当ててクスクス笑っている。


「大人の女性を呼び捨てにするのは失礼だよ、みんな。」

「むー、それじゃ私達が子供みたいですー!」

「俺に着いて来い!エマ!みたいな感じで、ほら!あの時みたいに。」

「おう!あんときゃ男らしかったのう!」

「イケてたのである!」


 いつの間にそんな言葉を覚えたんだ、ルド。話しながら歩いているとエマさんが段差に躓いて転びそうになった。


「大丈夫か?エマ。」

「ありがとう、ダイ君。」


 自然に支えて、そのまま並んで歩く。


「イケてるのである!」

「やりゃできんじゃねぇか!だっはっはっ!」

「思ってたのと違いますー!」

「もっと赤くなったりして下さいよ!」

「まったく。2人共ドラマの観すぎだ、子供じゃないんだから。」


 少しドキドキしたのは秘密にしておく。そんな事がありつつも昼過ぎには帰宅して、皆でこの1か月半を思い返す。短いが濃い時間だった。


 もし物語に例えるなら、今日までは序章で明日から本編が始まる。大変な事もあるだろうが、皆となら乗り越えて行けるだろう。


「みんな、明日からもよろしくな。」



ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

しばらく休みます。

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