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56話

 男4人あーでもないこーでもないと悩みながら買い物を終えて、一息ついていると美咲さんから連絡がきた。自分達に婚約者を紹介したいそうだ。

 電話越しにも分かるくらい声が浮かれてるな。もちろん自分達は断る理由なんてなく、集合場所のレストランへ移動する。


「たしか拓海君だったよな。どんな人だろう?」

「ワタナベ殿にそっくりと聞いたのである!」

「ミサキが選んだ男じゃろ!立派な髭が生えとるに決まっとる!」


 髭が生えた渡辺さんを想像する。…なぜかチョビ髭が生えていた、本人を前に笑わないようにしないと。


「はじめまして、渡辺拓海です。いつも父と美咲がお世話になってます。」

「こちらの方こそ、いつもお世話になってます。佐藤大輔といいます。」


 激似。若返った渡辺さんがいる。遺伝って凄い。そして美咲さんが今までに見た事がないくらい満面の笑みを浮かべている。


「うふふ、ミサキちゃん幸せそうですね。」

「いいなー。私も彼氏欲しいなー。」

「えへへー、あげないですー♪」

「それにしても、ワタナベそっくりだな!タクミ!」

「よく言われます。自分でも似すぎだと思います。」

「本当に驚きである。」


 少し早めの昼食を食べつつ、美咲さんと拓海君の話で盛り上がっていると、まるでインタビューみたいになってきた。


「2人の時はなんて呼びあってるの?」

「たっくんとみーちゃんですー♪」

「ちょ、バラさないで!」

「交際を申し込んだ時の言葉を教えて欲しいである!」

「それは2人の秘密ですー♪」

「撮影してるんだから勘弁して下さいよー。」


 拓海君は火が出そうなほど真っ赤な顔で、美咲さんは幸せオーラ全開でインタビューに答えている。

 皆で2人をイジりながら祝福するが、特にさくらとルドは積極的だな。ルドの意外な一面に驚いていると、自分達の個室に男性が入ってきた。


「お邪魔します。遅れてすいません。」

「あ、中村先生!すいません、先生が来る事を伝え忘れてました。」

「酷いなぁ、拓海君。」


 拓海君の知り合いか。拓海君は久しぶりに婚約者に会える嬉しさと、自分達に会う緊張で後から人が来る事を忘れていたらしい。


「はじめまして、精神科医をしている中村といいます。それと、久しぶり大輔。僕の事を憶えているかい?」


 その男性は爽やかに笑って、親しげに話しかけてきた。整った顔立ちで背が高く、スーツをカジュアルに着こなした同世代の男性。まるで俳優のような雰囲気の人だが、誰だろう?…どこかで会ったような。


「……誠か?」

「正解。でも完全に忘れてたリアクションじゃないか、拓海君も大輔も酷すぎないかい?」


 懐かしい。誠は芝居がかった態度で唇を尖らせている。昔はいつもこんな風にふざけあっていた。


「1日足りとも君を忘れた事はないさ。…ぐふっ。…ダメだな。久しぶり、今日はどうしてここに?」


 こちらも負けじと芝居口調で答える。だが途中で我慢できずに吹き出してしまった。


「あはは、僕の勝ちだね。実は渋谷の迷宮の攻略に医師として参加する事になったんだ。君達は渋谷の迷宮を探索するんだろ?だから拓海君に無理言って挨拶する時間を作ってもらったんだ。」

「あ、自分も渋谷の対策本部に移動になりました。皆さんよろしくお願いします。」

「新しい仲間であるな!」

「おう!いつまでも立ってねぇで座れ!座れ!」


 拓海君は聞いていたが、誠が来てくれるなんて嬉しい誤算だ。それからは自分と誠の昔話をしたり、拓海君から迷宮の状況を教えてもらいながら、和やかに昼食を食べて過ごす。


「それにしても、何年ぶりだろう?」

「実は10日前にも会ってるよ。」


 迷宮が崩壊した時に、気を失った自分を救急車に乗せて病院まで付き添ってくれたらしい。お礼を言うと、当たり前の事をしたまでさ。と爽やかに笑っている。


「あ、そろそろ時間ですね。名残惜しいですが、また一緒に食事しましょう。」

「もうそんな時間かい?楽しい時間はあっという間だね。」


 話が弾んで、もう移動の時間になってしまった。残念だがすぐに会えるし、渋谷での新生活の楽しみが増えた。


 2人と握手して見送り、ロケバスに乗り込んで箱根へ。


「ところで、さくらとエマさん。静かだったけど、どうしたんですか?」

「うーん、いや、なんでもないです。」

「はい、なんでもないですよ。」


 さくらは歯切れ悪く、エマさんはニコッと笑って教えてくれなかった。誠が美形だから緊張していたって感じでもないし、なんだろう?まぁ、いいか。

 箱根に着く頃には2人共いつも通り、異変の影響か人通りの少ない関所前でも自分達は賑やかだ。


「到着ですー。」

「わー、懐かしい。」

「中学の修学旅行以来だ。」

「2人は来た事あるの?」

「シブヤとは趣が違うであるな。」

「まるで別の国に来たみてぇだ!だっはっはっ!」


 関所を見学してダンは建物に感心したり、ルドは海賊船に興奮して船内を探検したり。

 ロープウェイでの移動では、空中散歩に目を輝かせる4人を皆で見守ったり。大涌谷で火の精霊が火口に行きたいと騒いで、帰って来たらパワーアップしていたり。

 あの頃より何倍も楽しい時間だ。




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