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49話

「⋯以上で新しい仲間であるドワーフのダンさんの紹介と、迷宮の探索状況の報告会見を終了とさせていただきます。」


 今日は日曜日。予定通りに昼過ぎから会見を行い、休憩を挟みつつ時刻はもう夕方。

 記者達は酒を飲みながら会見するダンを好意的に受け入れてくれた。ダンの明るく豪快な性格と酒飲みなドワーフのイメージのおかげだな。

 探索は順調で自分達の予想通りなら、あと2回か3回で攻略できる。小規模な迷宮とは言え攻略に成功すれば世界初の偉業だ、かなり期待されていると感じた。


 他にも魔道具に関する質問や、ルドベルファンクラブとエマさん親衛隊といった非公認団体が作られている事。さくらの活動再開が期待されている事について等。

 様々な話があった中でギルドの話もあった。バラバラに行動している探索者や団体が、自分達に協力を求めているらしい。

 迷宮を攻略できたら、ギルド作りを進めなきゃならないな。まるで自信がないが自分で始めた事だし。


「ようやっと終わったのぅ、喉乾いちまったい!」

「ファンクラブであるか。」

「びっくりしちゃいました。」

「んふふ、3人なら人気が出て当然だよ。」

「いつの間にファンクラブなんて作ったんだ、さくら。」

「美咲ちゃんと一緒に作りました♪」


 実は犯人は身内だった。許可を得て写真を撮ったり投稿していたらしいが、ファンクラブができてるとはな。⋯知らない人が勝手にやるよりよっぽどマシか。


「ごめんなさいー。調子に乗りましたー。」

「まぁいいじゃねぇか!そんな事より飯にしようや!」

「吾輩は問題ないである!」

「私も2人を信用してますから、大丈夫ですよ。」

「あ、ひょっとして大さんもファンクラブ欲しかったですか?」

「少しだけ寂しいね。」

「だっはっはっ!そんなら儂も頼まぁ!」


 笑いながら会場を後にして居酒屋に向かう。ダンと山本さんの約束に便乗して、夕飯は食べて帰る予定だ。


「いらっしゃーい。お疲れ様、何飲む?何飲む?」

「我々もご一緒していいですか?佐藤さん。」

「急に人数が増えてスマンな。」


 店に着くと、渡辺さんと伊藤さんと山本さんがいた。どうやら3人は知り合いらしく、偶然2人が飲みに来て合流したそうだ。


「もちろん大丈夫です。」

「お父さんもおじさんも飲みすぎないでねー。」

「そりゃ無理だ!酒がありゃ飲むに決まっとる!だっはっはっ!」


 自分達も座って注文し、料理を待つ間に世間話で盛り上がる。他の客もニュースも、明るい話題が増えてきたように感じるのは気のせいだろうか?

 世界は前を向いて進もうとしている。その一端を自分達が担っていると思うと、誇らしい気持ちになる。

 だが、その気持ちに水を差すニュースが聞こえてきた。


「⋯鈴木・高橋両名の判決が確定しました。」


 美咲さんには聞かないようにしていたが、あの2人まだ裁判で粘ってたのか。それにしても刑期が短くないか?

 不満が残る結果に追い打ちをかけるように、失礼な高校生のニュースも聞こえてきた。


「佐藤さん、顔が怖いですー。」

「佐藤さん、眉間にシワが寄ってますよ。」

「⋯すいません。」


 ⋯顔に出てたか、眉間を揉んで息を吐く。被害者に気を使わせるなんて良くないな。


「ちゃんと僕達が対応するから、もう2度とあんな事は起きないよ。」

「⋯その事について、まだ正式決定じゃないですが話があります。」


 2人の話によると、今の迷宮を攻略したらギルド作りが本格化する。様々な組織から人材が派遣されて来るが、警察から渡辺さんが消防から伊藤さんが、自衛隊からは拓海君が候補として上っているらしい。

 手順としては、政府が佐藤探索事務所に次の迷宮の探索を依頼し、その迷宮付近に自分達が探索の拠点を作る。各組織にサポートを受けながら繋がりを強化しつつ、技術や知識の水平展開と継承を行い、迷宮攻略後はギルドの本拠地として迷宮や探索者を管理していく。


「壮大な話ですね⋯。」

「2人が来てくれるのはとても頼もしいのである!」

「拓海君て気になる!会ってみたい!」

「この世界の技術や知識を教われるんでしょうか!」

「ちゃんと紹介しますねー♪」

「シゲルは来んのか?面白そうだぞ!」

「儂ゃ、この町で道場続けるわい。」


 反応はそれぞれ、皆は好意的?楽観的?に捉えたようだ。自分は役割の大きさに思わず遠い目をしてしまう。


「ほぼほぼ決まりだから、これからもよろしくね。」

「まだ正式決定じゃないですが、近々連絡が行くと思います。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


 なんにせよ、まずは今の迷宮を攻略する事だな。


「明日からの探索にも気合が入りますね!」

「強化魔法を習得した我輩達の実力を見せるのである!」


 この2人、昨日強化魔法を習得した。エマさんも驚きの習得速度だ、ダンも天才だな!と笑っていた。自分は解析魔法の練習を始めて順調に上達している。


「そうだな。明日からも頑張っていこう。みんなもよろしく頼む。」

「ふふっ、これからも支えていきますね。」

「そうと決まれば乾杯だな!だっはっはっ!」


 後ろ向きに考えるのはそろそろ卒業して、自分も前を向いて進もう。皆と一緒ならきっと大丈夫だ。




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