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45話

「次からは吾輩達が対応するのである!」

「次に来たら儂がとっちめちゃるけぇ、気にすんな!サクラ!」

「ダン!飲み過ぎ!お酒臭い!」


 帰りの車内、ダンは酒を飲み始めて元気を取り戻した。酒屋に寄って大量購入したが、この分じゃすぐになくなるな。

 話題はさっきの失礼な男の子について、ルドと意気投合して盛り上がっている。さくらは絡まれて迷惑そうだ。


「女の子3人が絡まれたんですよー。」

「もちろん、3人共しっかり守るのである!」

「おう!任しとけぃ!な!ダイ坊!」

「ふふ、頼もしいですね。」

「ダン、運転中は止めてくれ。」


 あんなに強い酒を水のように流し込んで、豪快に笑いながら座席をバンバン叩いてくる。あの量が一体どこに入ってるんだ?


 家に帰ってダンの引っ越しを終わらせ、スタッフに頼んで失礼な男の子が映っている映像を見せてもらう。すると不思議な事に気付いた。


「彼はどうやってこの距離まで近づいたんだ?」


 まるでホラー映像だ、いつの間にかすぐ近くにいる。さくらもエマさんもカメラマンも警備のスタッフも全く気付かなかったらしい。もちろん美咲さんも。


「⋯普段なら絶対に気付く自信があったんですけど。」

「エマさん、魔法の可能性はありますか?」

「使っていれば気付くと思います。」


 最適化の影響で以前より良くなったさくらの耳と、フェイであるエマさんの超感覚を何らかの方法で誤魔化した。


「⋯異能かな?」

「相手に気付かれないように近付く異能であるか。」

「まるで暗殺者じゃのぅ、相手にとって不足なしじゃ。」


 ルドは思案顔、ダンは戦意を漲らせている。女性3人は深刻そうな顔をして黙ってしまった。


「まずは警察に相談だな、自分達の留守中に来たら困るし。美咲さんは自宅待機でお願いします。」

「むー、しょうがないですー。」


 この家は異変後に警備会社と契約していて、何かあればすぐに来てもらえる事になっている。だが異能の詳細が分からないから万全とは言い難い。

 彼は自分達に用があるみたいだし、テレビでこの家は分かっても美咲さんの実家までは分からないはず。


 何度も映像を見直しながら考える。そこにいると思って目を凝らせば見えるのに、すぐに人混みに紛れて見えなくなってしまう。明らかに何か力を使っている。

 俺は選ばれた、俺も仲間に入れろ。魔法か異能か、何か力を得た事で自身や自分達を特別な存在だと考えている?

 宝珠から異能を授かったとして、近くに迷宮はないからこの辺の人間じゃない?まさか自分達が気付かなかっただけで同じ迷宮で探索をしていた?

 見た目は高校生くらい、学校はサボったのか?見た目を変えている?最適化の影響で自分と同じように若返った?

 自分達がアウトレットにいる事を事前に知っていたとは思えない。偶然見かけて声をかけた?密着スタッフから情報が漏れた?調査できるような力を持った仲間がいる?


「ルド坊、ダイ坊はどうしたってんだ?」

「時々こうなるのである。きっと疲れが溜まってるのである。」


 ブツブツと考え事が漏れて心配されてしまった。スタッフ達は若干引き気味だ。


「⋯すいません、考え事をしていました。」

「もし襲って来たらどうしますか?大さん。」

「まず自分自身と仲間を守る事。その上で捕まえられたら良いね。」


 余裕があれば周りの人も守ってほしい事を付け加える。


「暴れる場合は手や足を狙って、骨折くらいなら構わない。」


 スタッフからは、高校生相手にやり過ぎじゃないか?という声が聞こえてくるが自分はそうは思わない。

 相手はおそらく迷宮探索経験があり、魔物との戦闘経験がある可能性が高い。つまり生き物を殺す事に抵抗が少ない。

 加えて高圧的な態度に攻撃的な口調、俺は選ばれたという発言。何らかの力を得た事で、タガが外れている事も考えられる。

 気付かないように近付いて突然襲って来たら、戦う事に慣れ始めた自分達だって危ない。


「もし襲って来た場合の話ですけどね。みなさんもまずは自分を守る事や逃げる事を考えて下さい。」


 説明するとスタッフ達も真剣な顔で頷いた。自身が狙われなくても、巻き込まれる可能性は充分にある。


「あの⋯、どんな能力だと思いますか?」

「分かりません。⋯ですが、情報に関する異能かな?と思ってます。」


 スタッフが手を挙げて聞いてきた。自分達の位置情報を調べたり、自身の発する音や見た目の情報が伝わらないように操作しているんじゃないかと思う。


「もしも入社希望だったらどうしますか?」

「もちろん面接します。今の所、採用する気はないですけどね。」


 現時点では印象が悪いからな、信用できない実力者なんていらない。


「⋯私達が人質にされたら助けてくれますか?」


 小さな声で恐る恐るといった具合に女性スタッフが聞いてくる。


「出来る限り努力します。ですが難しいですね、自分達は警察じゃありませんから。」


 静かになってしまったが仕方ない、異変が起きて世界は変わった。これからも変わっていく、もう元には戻らないだろう。

 何が起きても対処できるように備えるしかないんだ、さっそく渡辺さんに連絡して自分達も対策しよう。




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