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43話

「お疲れ様です。佐藤探索事務所、帰還しました。」

「お疲れ様です。聞きましたよ、凄いですね!」

「君達ならやってくれると思ってたけど、こんなに早いなんてビックリしたよ!」


 前線基地に帰り着くと伊藤さんと渡辺さんが出迎えてくれた。迷宮核の半分を入手した時点で無線で報告したのを聞いたらしく、わざわざ来てくれたようだ。


「ありがとうございます。残り半分も頑張ります。」


 もうすぐ異変が起きて1か月。警察も消防も働き詰めで疲労を隠せないでいたが、攻略が現実的になって活気を取り戻したみたいだ。いつもより人が多い前線基地で大勢に称賛され誇らしい気持ちになる。


「今回たまたま自分達が迷宮核を入手しましたが、これは全員の努力の成果だと思っています。これからも一緒に頑張りましょう!」


 皆に見えるように迷宮核を高く掲げると大きな拍手が起こる。ひとしきり盛り上がってから核を預かってもらい、その場を後にした。


「ふふふっ、みなさん喜んでましたね。」

「頑張った甲斐があるのである。」

「残り半分もこの勢いで行きましょう!」


 今回の事で探索は一つの節目を迎えた。明日から新しい仲間も加わるし、振り返ってみれば順調そのものだな。いい感じだ、このまま油断せずに行こう。


 家に帰って美咲さんにも仲間が増える事を説明し、皆でワイワイ盛り上がる。ワクワクして眠れないかもしれないな。


「おはよう、みんな。」

「おはようございます。召喚が楽しみで、いつもより早く起きちゃいました。」

「吾輩も同じである。」

「ふふっ、みんな同じですね。」


 美咲さんはいつも通りの時間に起きたらしいが、自分達はまるで遠足の日の朝みたいに早く目が覚めた。時間はまだ朝食の前。


「じゃあ、さっそく召喚しよう。」


 新しい仲間、ドワーフを召喚する。期待に胸を弾ませながら言葉に力を注ぐ。


「召喚。」


 淡い光から背が低い男性が現れた。力強く生命力漲る立派な髭、金属製の無骨な鎧兜とはち切れんばかりの筋肉。大きな盾と大きな斧を持って、自分を真っ直ぐに見上げている。


「はじめまして、自分は召喚士の佐藤大輔と言います。迷宮の探索や魔道具の作成の為に力を貸して欲しくて、貴方を召喚しました。」

「おう!どっちゃも儂に任しとけぃ!堅っ苦しい坊主!」


 だっはっはっ!と豪快に唾を飛ばしながら笑うドワーフに仲良くやれそうだと確信する。


「よし!さっそく名前もらおか!」

「はい。オブシディアンというのはどうですか?」


 ルドとエマさんの時は目の色で決めたが、今回は黒く光沢のある立派な髭で決めた。


「そうか!髭か!気に入った!お前も生やせ!」

「うむ、髭は大事である!」


 説明すると上機嫌に笑いながらバシバシと叩いてくる。痛いが名前は気に入ってくれたようだ。


「明るくて豪快な方みたいですね。」

「オブシディアンだから、ダンさんで良いかな?」

「くぉら!娘っ子!なんつー格好しとんじゃ!足隠せぃ!」


 オブシディアンはさくらを見るやいなや怒鳴りつけた。怒鳴られたさくらは目を白黒させている。確かに今日は足が出ているが。


「変な奴に目ぇ付けられたらどぉすんだ!そもそも体を冷やすんじゃねぇ!」

「うわ、いきなりウザい。」


 なるほど心配してるのか、さくらも本気で嫌がってる訳じゃないみたいだな。自己紹介をする前から騒がしくなる仲間達、文化の違いはこれから少しずつ教えていけばいいだろう。


「ダン、まず朝食にしないか?美咲さんの料理は美味いぞ。」

「飯か!思い出したら腹が減ったな!酒はあるか!」

「えー、朝から飲む気?」

「飯と言ったら酒だろう!だがサクラは飯の前に着替えろ!」

「ダン殿は豪快である。」

「ドワーフらしい方ですね。」


 ドワーフってこんな感じなのか、毎日お祭りみたいな種族なんだな。出会って数分で一気に打ち解けた、昔からの友人のように違和感がない。


「おはようございますー。ご飯できてますよー。」

「メイドか!今日から世話んなるオブシディアンだ!ダンと呼んでくれぃ!」


 美咲さんを紹介して皆で食卓を囲む。ダンは酒が飲めない事を残念がっていたが、並んだ料理を食べてすぐに上機嫌になった。


「全部うめぇな!ミサキ!嫁に来い!楽させてやるぞ!」

「ふふふー♪婚約者がいるのでごめんなさいー♪」

「こんな良くできた娘を放って、そん男は何しとんだ!」


 国を守る為に働いている事を説明すると、途端に上機嫌になって良い男じゃねぇか!と笑っている。怒ったり笑ったり見ていて飽きない。

 朝食を食べ終えて思い出した、昨日手に入れた魔道具をダンにも見せてみよう。亜空間から片口スパナを取り出してテーブルに置く。


「異能か!やるじゃねぇか、ダイ坊!」

「みんなのおかげだよ、それよりこれを見てほしい。」


 迷宮内で拾った事を説明して片口スパナを手渡すとガラリと雰囲気が変わり、いかにも職人といった目つきで細部まで観察している。格好いいな。

 これは締め付け工具の一種だが、魔道具としての効果が分からない事を説明する。ドワーフは優秀な職人だという話だが分かるんだろうか?みんなも期待している。




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