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41話

「さて、今日は6階の西階段を上って7階を探索する。進めるだけ進むつもりだ、気合入れて行こう。」


 2つの階段は上の階で繋がっている可能性が高いという事は前回の探索で分かっている。なら頂上を目指して進み、帰り道で地図を完成させた方が効率的だ。


「ちなみに、二日酔いは大丈夫か?」

「無理しなくて良いんですよ、サクラちゃん。」

「昨日は大変申し訳ありませんでした。」

「誰でも迷うものである。いつでも相談に乗るのである。」


 さくらは今、歌手の道に戻るか探索者の道を進むか悩んでいる。無理もないな、子供の頃から憧れていた夢なんだ。

 自分達と探索者を続けたい、でも歌手として成功する夢を諦めきれない。両立はできない、そんなハンパな事はしたくない。

 昨日、家に帰りついて泣きながら話していた。今は切り替えて普段通りのさくらだと思う、探索に影響はないだろう。


「誰かが無理そうだと判断したら、すぐに帰還する。でも頼りにしてるぞ、さくら。」

「はい。」


 そして順調に7階に辿り着いて探索を進める、自分以外の3人も問題ないと判断したみたいだ。

 新しい敵もいないし、この階は構造が単純なようで地図もすぐに埋まった。


「⋯私が探索者を辞めて歌手になりたいって言ったら、大さんはどうしますか?」


 8階に上がる階段前での小休憩中に、さくらがそんな事を聞いてきた。大丈夫だと思ったんだが、違ったか?


「精一杯応援するぞ。」

「答え早っ!⋯私いらない子だったんですか?」

「そんな事はないよ。仲間が夢を追いかけるんだから、応援するに決まってるだろう。」

「それにしてもなんか、もうちょっとこう⋯、葛藤というか。」

「しないな。死に別れる訳でもないし、この程度の別れなら覚悟してるよ。」

「この程度⋯。」


 睨みつけてくるが何とも思わない。この間、話を聞いてから覚悟はしていた。


「さくらがどこで何をしてようと仲間だし、ピンチになったら最優先で駆けつける。もし、間違った事をしてるなら全力でやめさせる。」

「⋯。」

「同じ道か別の道かなんて、もう関係ないんだ。⋯ただ、戦力の低下がなぁ。」


 ルドとさくらが交代で先頭に立ち、索敵を担当していたから安全だった。自分よりずっと強いし、音魔法で一度に大勢の敵を足止めできるのもいい。

 そういえば、美咲さんはアルバイトで数年内に辞める事が確定してるんだった。今から代わりの人材を探しておくべきなんだろうか?

 世の中の社長さん達はどうやって人材を確保してるんだ?いっその事、テレビの力を使って募集してみるか?信用できて、皆と仲良くできて、仕事もできる。そんな人いるんだろうか?


「なんか、悩んでるのが馬鹿らしくなってきた。」

「ダイ殿は大丈夫であるか?」

「昨日のお酒が残ってるんでしょうか?」


 おっと、途中からブツブツと自分の悩みを口にしていたらしい。


「どっちを選ぶにしても、さくらなら本気で挑むんだろ?ダメなら戻って来ればいいさ。」

「パパみたいな事言ってるし。」

「おじさんだからな。」

「⋯もう一回、ちゃんと自分と向き合ってみます。それと探索者として本気で迷宮に挑みます。」


 静かな力の高まりを感じる。⋯まるで、眠りから覚めた白馬が遥か遠くの虹に向かって今にも駆け出しそうな⋯。そんなイメージが浮かんだ。


「お話はまとまったみたいですね。」

「では、そろそろ進むのである。」

「うん。3人もありがとね。」


 さくらは歌手の道を選ぶだろう、そんな気がする。いつ死ぬか分からない生き方をしてるんだ、別れが寂しいだけで済むなら幸運だろう。戦力の低下は免れないが仕方ない、何か方法を考えるか。


 気持ちを切り替えて8階の探索を続けていくと、先頭を歩くさくらが何かに気付いて止まれと指示を出す。

 自分の耳にもテンポの悪い金属製の足音が聞こえてきた。ゴーレムもどきか?

 様子を見ていると、大型犬くらいの大きさの四足歩行のゴーレムもどきが現れた。新種?いや、ゴーレムもどきなら形が違うだけでグレムリンが操っているはずだ。


「もどきよりは強いですね。」

「しかし、弱点を見抜ける我々の敵ではないのである!」


 新しい敵を2人はあっさりと倒した、やはりゴーレムもどきだ。

 違いは四足歩行だから転倒しにくいのと、方向転換がスムーズになった事くらいか?今回は分からなかったが、突進攻撃が強くなってるかもしれない。


「大型犬らしき生物の模倣、⋯擬態ですね。」

「もし壁や床や天井に擬態していたら見抜けるか?2人共。」

「むぅ、近付けば分かるである。」

「私も同じです、遠くからはちょっと。」


 今までは人やゴーレムに近い姿をしていたから、そういう物だと思っていた。だが何にでも擬態できるなら、話は変わってくる。


「ここは私とダイ君の頑張りどころですね。」

「はい。片っ端から感知してやりましょう。」


 壁、床、天井、車型、犬型、虫型、鳥型。様々な物に擬態していたが、種が分かれば大した相手じゃない。鳥型は空を飛べずによちよち歩きしていて笑ってしまった。


 昼前には8階の探索を終わらせ、推定最上階の9階に上がる階段前に到着した。




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