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32話

「さくら、大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。」

「そうか、自分はまだ無理だ。」

「なんかズルい!」


 少し回復した。あれから魔法で回復を早め体を動かして気を紛らせて、笑える程度には落ち着いた。


「よし!いつまでもここにいる訳にはいかない。魔石を回収して帰ろう。」


 膝をパシンと叩いて立ち上がり指示を出す、空元気でも元気は元気だ。さくらも頷いて立ち上がる。

 自分が手を下した訳じゃないし、そもそも覚悟の上だったはずだ。大丈夫。

 そして死んでいるのに体が残ったという事は、体内に魔石が発生した証拠。どこにあるかは知らないが、回収しないのはもったいない。


「というか、3人は平気なのか?」

「吾輩は狩りで経験済みである。」

「私とベル君も慣れているから大丈夫ですよ。」


 そうか文化の違いか。申し訳ないが魔石を取ってきてもらって帰路を急いだ。


「ただいま帰りました。」

「おかえりなさいませー、ご主人様ー。」


 家に帰ると美咲さんが食事の支度を終えて出迎えてくれた、美味しそうな匂いに全員の頬が緩む。

 今日はもう疲れた、何もしたくない。こんな時に食事や掃除、洗濯に風呂の準備まで終わってるなんて本当に雇って良かった。

 でもなんでメイド服姿なんだ?


「学生時代に学園祭で着たんですー。似合いますかー?」

「とっても似合ってますね。」

「すごく可愛い!」


 本人はノリノリで着こなしているし、良く似合っている。


「エマさんとさくらも似合いそうだね。」

「大さん、そういう趣味なんですか?」

「ふふっ、着ても良いですよ?ダイ君。」

「楽しみにしてますね。」


 からかわれてるな。こういう時は堂々と爽やかに対応するのがいい。女性3人が隅の方でコソコソ話を始めたが気にしない、そんな事より食事の方が重要だ。


 美咲さんは自分達の様子がおかしい事に気付いたのか、明るく振る舞っている。今日は今までより賑やかな食事になった。

 後片付けが終わり美咲さんが帰って、自分達は順番で風呂に入った。


「反省会は明日でも大丈夫である。」

「今日はゆっくり休んで下さい。さくらちゃんも泊まっても良いんですよ?」

「ううん、大丈夫。また明日。」

「自分は先に休ませてもらいます。みんな、おやすみ。」


 死体を見たのは始めてじゃない。両親、姉弟、祖父母、それに工場で亡くなった人達の遺体。だが、自分達が殺した死体は始めて見た。

 これからは自分達を守る為に積極的に殺す必要がある、自分で選んだ道だからだ。優しい文明社会から厳しい弱肉強食の世界に身を投じる⋯。


 アラームが鳴っている、もう朝だ。


 殺るか殺られるかだ⋯。とか考えていたら、いつの間にか寝ていたらしい。夢も見ない程ぐっすり寝れたし、疲れも残ってない。

 窓を空けて部屋と肺の空気を入れ替える。精神的にも落ち着いたようだ。


「おはようございます。」

「あ、起きてきた。」


 さくら、相変わらず早いな。食卓には美味しそうな和朝食が並んでいる。さくらも落ち着いたようだ。


「おはようございます。落ち着きましたか?」

「心配をおかけしました。」

「誰もが通る道である。」


 温かい味噌汁を飲みながら、仲間がいるのは良いなと思う。昨日は逃げ帰ったが、また挑む勇気が湧いてくる。


「みんな、昨日はありがとう。みんながいたから無事に帰って来れた。これからもよろしくお願いします。」


 片付けも終わり、反省会の始まりに深く頭を下げる。さくらも頭を下げ、異世界人3人はまるで後輩の成長を見守るような優しい目をしている。


「うふふっ。良いんですよ、これからも頼って下さいね。」

「いくらでも力になるのである!」


 さて、反省会だが探索と戦闘は問題ないから魔石についてだ。回収できたのはこの1つだけ、この品質ならバッテリーとして使うのが一般的というのが異世界人3人の見解。

 魔石の品質は力の集中の度合いで決まるらしく、長命で強い魔物からは大きく高品質な魔石が取れやすい。また、魔石が属性を持っている場合もあるそうだ。

 そして肝心の魔道具はすでにエマさんが『水差し』という物を用意してくれていた。これは魔石を水に変える魔道具なんだそうだ。他にも同じ原理で熱や光に変える魔道具も作れるらしい。


「ですが、私は簡単な物しか作れません。本格的に作るなら職人を召喚する必要があります。」


 魔道具作りの職人、1番に候補に上がるのはドワーフ。次が魔道具作りが得意な魔女、少し条件から外れるがエルフも作れるそうだ。

 そもそも魔道具を生み出したのがドワーフで、それを研究し再現しているのが魔女。エルフは独自の技術を持っていて主に薬草や精霊との交信用の魔道具を作っているらしい。


「魔女を召喚するのは難しそうです。それに4人召喚状態を維持するのも難しいですね。」


 召喚士にはそれぞれ相性の良い相手がいて、ドラゴンや英雄を召喚する人もいれば動物や神を召喚する人もいる。自分の場合は妖精や精霊と相性が良く召喚しやすい。


「なので、地下3階を中心に探索を進めて魔石を回収。同時にマナを吸収しドワーフの召喚を目指します。」




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