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17.完璧令嬢は愚かな王子を幸せにする


 

 それもこれも、全部ライのためよ。

 


 両親からも、側近からも、臣下からも、暗殺者からも、私が全てのものからあなたを守って幸せにしてあげる。

 

 

 どうか真っ直ぐで優しく、私のことを愛している貴方のままでいられますように。貴方がずっと愛していてくれるなら、王位も私のからの愛も全て惜しみなくあげるわ。

 

 

 愚かな両親のように遊び暮らしたって私は許すのに、国民のことを大事に考える優しいライオネル様。

 だから、戴冠式の後は彼が賢王として讃えられて国民に好かれるよう印象操作をしようと思う。賢王として名を残してもらうのだ。

 

 国を挙げての盛大な結婚式も楽しみね。

 遠くにいるロザリア様とアリスも出席してもらううもりだ。しかし、側近候補達には招待状を出すつもりはない。


 

 宰相の息子のエリオットは学園卒業後、雑用係として一日中働いていて忙しい日々を送っているらしい。しかし、仕事が丁寧で勤勉な態度から近々下級文官になるための試験を受けられるようになるだとか。

 私が彼の処遇を決めたのはスタート時点だけだから、自分の努力で這い上がるなら邪魔することは無い。精々この国のために沢山働いて欲しいものだ。

 将来、今の宰相のように働いていてくれるのなら私の仕事が減るので万々歳だと思う。


 

 オスカー先生は当初抵抗をしたり、王都に戻ろうとしていたようだが、その度に私が派遣した兵士達に押さえつけられていた。

 娯楽も無く、若い女性もほぼ居らず、塞ぎ込みがちな彼を助けたのは意外にも彼の生徒である無邪気な子供たちだったらしい。それからは教師という仕事に生き甲斐を見出して、今ではとてもいい教師になっているらしい。

 ここで予想外の出来事がひとつ。どこから彼の噂を聞きつけたのか、リアナがオスカーの事を気になっていると話していた。そこの二人が結ばれると色々複雑なので上手くいかないで欲しいと思う。邪魔まではしないつもりだが。




 伯爵家の次男坊のローレンスは辺境伯に雇われ辺境の兵士になったのだが、ヒョロヒョロの彼は仕事に就くよりも先に血反吐を吐くほど鍛えられたらしい。

 鍛錬と栄養満点の食事で遅めの成長期がきたのか、小柄だった彼は身長を伸ばして筋肉をつけていった。学園の時のローレンスを知っている者が彼を見かけても同一人物と気づけないのではないか。

 彼は兄に劣等感を覚えてたらしいがここでは大した悩みではないと思い直したのか、今では溌剌と魔物を追い回しては狩っているだとか。年上の面倒見のいい女性兵士に気にいられ、姉さん女房に尻に敷かれているとも聞く。


 ローレンスと婚約を破棄した侯爵令嬢……今では侯爵家当主の彼女は、敏腕な仕事ぶりで女性だからと侮られることも多い中数多くの功績を残していて尊敬の念しかない。

 そして彼女もまた親戚筋から婿を迎え入れて、穏やかな家庭を築くことが出来ているらしい。仕事中クールな表情を崩さない彼女が、家庭のことを聞けば幸せそうな笑みを浮かべるのだ。


 



 王族のみ結婚式の使用が許される大聖堂で、何年も前から準備していたウェディングドレスをライオネル様の隣で着て並ぶのが楽しみだ。


 

 これからもやる事が山積みでしばらくは仕事に生きたいが、子どもが生まれないと側室を求める声が出てくるから見極めが必要ね。きっと彼との子なら可愛いだろう。

 

 

 今では予約待ちで人気の家庭教師となっているリアナが、私達に子供が産まれたら必ず家庭教師になると息巻いていたのを思い出す。

 そうね、私に似て優秀な子が出来たら早めに王位を譲って田舎でライと二人で穏やかに暮らすのもいいかもしれない。


 

 そんな未来設計をしているとは露知らず、ライはいつもの間抜け顔で私を見つめている。この私に見蕩れている時の表情がとてつもなく好きだった。

 私からもキスを贈れば、タコみたいに顔が赤くなるのも可愛くて大好き。

 


 

 初めて出会った時から、私はあなたが好きだった。

 

 

 日々の楽しみなどなく勉強カリキュラムをこなすだけだった、ただの人形だった私を心から褒めてくれて、体温を教えてくれた。



 

 貴方からの手紙は宝物で、全部大事にしまってある。

 所持者にしか認識出来ない宝箱を作ったのも私だ。他の人にライからの大切な手紙を見られたくないもの。

 


 貴方が私に会いに来てくれるから、日々の泣きたくなるほど辛い王妃教育も耐えることが出来た。

 目を赤くして部屋から出てきた私にライは全然気の利いた事は言ってくれなかったけど、それでも心配してくれたのが嬉しかったの。

 


 王族の貴方が命懸けで公爵令嬢の私を守ろうとしてくれていて、本当に嬉しかった。

 でもライに死んで欲しくないから毒消しのブレスレットはずっと付けていて貰っている。そうしたら安心して貴方が食べている様子を眺められるもの。



 貴方が私に贈ってくれたものはどれも大切な宝物だ。センスが悪かろうと私のことを想ってくれていた。

 幼少期から可愛らしくない子供だった私は、女児らしいものをおねだりすることもなく育っていた。だから私に似合わないぬいぐるみもブレスレットも、素直になれないだけで本当は嬉しかったの。



 貴方とダンスを踊るのが好きだ。踊っている間は、海のような輝かしい瞳を私が独占することができるから。

 他の人と踊らせたくないのは、技術の問題ではなくて正真正銘嫉妬からだった。可愛い令嬢たちをよりどりみどりだったはずのライは、素直じゃない私の気持ちをくみ取って他の人と踊らずにいてくれた。



 貴方は、聖女アリスではなく私を選んで婚約破棄をしないでくれた。

 ライが聖女の伝説が好きで憧れていたのを知っていた。だから私らしくもなく怯えていたのだ。聖女と側近たちと遊び歩く貴方に行かないでと言えなかった。

 それでも最後は私の隣を選んでくれて本当に良かった。

 


 


 ライは私に一生愛されて幸せになるの。

 


 仕事よりも、世界の何よりもライが大好きだ。

 そう思って、私は彼を強く抱きしめた。




 

 

 冷徹な完璧令嬢は、愛しき愚かな王子を手玉にとり裏の支配者になりました。


 


 あぁ、なんて素敵なハッピーエンド。



 


最後まで読んで頂きありがとうございました!



「面白かった!」と思っていただけたら、下にある


☆☆☆☆☆から、作品の評価やブックマークで応援してくれると嬉しいです!


どんな評価でも嬉しいので、読んだそのままの感想・評価をつけて貰えたら大丈夫です!!



短編版もあるので比較して楽しんでいただければと思います!


また、


『夢の異世界転移したけど、元の悪役令嬢が好きなヤンデレ男に脅されているので現実世界に帰れる方法を死ぬ気で探します!』


という短編を投稿したので、そちらも読んでいただければ幸いです!



これからも異世界恋愛の物語を書いていきますので、よろしくお願いします!

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