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10.愚かな王子は会議で発言する



「……ィ、リリィ」

 

 過去の回想をしていた私は、ライオネル様の声で意識が現在まで戻ってくる。


 

「はい、ライオネル様」

 

「もう五回は呼びかけたが反応がなかったぞ!」

 

「あらそれはごめんなさい」


 

 全然気が付いていなかった。長い長い回想で、ぼーっとしてしまったらしい。


 

「随分ぼんやりしていたが、やはり疲れているのではないか? この後の会議のために呼びに来たのだが、やっぱり俺一人で行った方がいいだろうか」

 

「えっ」


 

 おっと、この後の会議のことすっかり忘れていた。

 てっきりライオネル様が寂しくてここに突撃してきたのかと思っていたが、私を呼びに来ていたのか。

 

 

 いや、普通呼びに来るのは私の使用人の仕事だから、私と一秒でも早く会って話したかったライオネル様が使用人から仕事を奪い取ったのだろう。

 

 

「もちろん私も行きますわ! 呼びに来てくれてありがとうございます。助かりましたわ」


 少し得意げにしているライオネル様に笑いかける。

 私は優秀なため会議用の資料は早めに完成させていたためそこは特に困らない。

 ちらりと一瞥し内容も確認したので、秘書も兼ねている文官に資料を持たせ会議室に向かうことにする。

 

 ライオネル様と腕を組んで威厳を保ちながら部屋に入れば、嫌な視線が向けられる。新参者の私達のことを舐め腐っていると言ってもいい。

 


 ここにいる重臣達は、先代から変わらず私腹を肥やしている者たちの集まりだ。貴族の象徴のように肥えて必要のないほど宝石をつけている。


 

 身分を問わず優秀なものを引き入れ、次は国の重臣達という膿の排除をしなければ。

 側近候補とは違い、簡単に総入れ替えが出来るものでは無いので骨が折れているところだ。それでも、ライオネル様の戴冠式までには何とかするつもりだ。


 

 そして会議が始まる。

 

 議題は我が国の不作の改善案と失業者の減少案を練るというものだ。暫く無駄な話し合いが続き、私は脱線する会話を引き止めて、元の話を促す。これの繰り返しだ。



 

 一人が、厭らしい笑みを浮かべてライオネル様に問いかける。


 

「民衆から不満が出ていますが、王太子殿下はどうお考えですかな」


 

「まずは貧民街を中心に炊き出しを行い、失業者に補助金を出し仕事を斡旋するつもりだ」

 


 真っ直ぐな瞳でそう答えるライオネル様に、重臣達は目を見合せて笑い出す。

 

 

「そのお金は何処から出すつもりです?」

 

「いやぁ、流石心優しい王太子様が考えることは違ってますな!」

 

「仕事を斡旋するにも金がかかりますからね」

 

 

「しかし! 夜会の数を減らし、先の案にあったカジノの建設を見送れば資金は出来るはずだ」

 

 ダン、と机を叩くも意味は無い。嘲笑が増えるだけだ。


 

「いやはや、貴族を敵に回すつもりですかな」

 

「逆に資金援助を絶たれると思うがな」

 

 

 下品な笑い声が部屋の中に響いて、言い返すことも出来ないライオネル様は悔しそうに唇を噛む。

 賢い宰相や私の息がかかった人物は今も黙り込んでいた。



 


 

 愚かなライオネル様。


 

 国のためだと思って思ったことをそのまま口に出してしまう。悲しい事ながら、綺麗事だけでは政治はできない。

 

 貴族たちの不満が増えれば貴方は王太子の座を奪われかねないし、貴族の意見に偏れば国民が苦しみいずれ国は傾く。バランスが重要なのだ。

 

 

 そして資源やお金は有限で、国民はそれをわかっていないのだ。

 

 お金や物資を恵んでばら蒔いて一時期は栄えても、更に更にと求められるだけ。資源がなくなってきて節約のために切り上げでもしたら民衆から不満が溢れ、王家や貴族は叩かれるだろう。

 

 

 彼らに憎まれるのが役目、そんな見方もできる。

 

 それでも幼い頃から変わらず真っ直ぐな貴方は繊細で、愛し守るべき国民から憎まれたらとても傷ついてしまうだろう。




 

 姉君であるロザリア王女殿下も、ライオネル様も、あの人の心がない両親から生まれたというのに、非常に優しく真っ直ぐに育たれた。


 

 ロザリア王女殿下とライオネル様は両陛下から、愚王になるような洗脳を受けていた。

 

 何時までも自分たちの言いなりになるよう余計な知恵を吹き込ませまいと、まともな教育を受けさせず人格を歪めるような人材を配置した挙句、育児放置をしていたのだ。

 

 

 優秀な私を婚約者に置いたのも、面倒な仕事を全て押し付けるのに丁度良かったらしい。


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明日はお昼から夕方までかけて七話分を投稿し、ついに完結します。良ければ最後まで見ていってくださいね!

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