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冬眠

作者: あまなす

寒い時期は

アパートの部屋から

出ないことにしていました

出たとしても

ごみ出しにちょっと

そんな感じでした


寒くなる前、食料をため込んでおきました

なるべく買いものに行かなくてすむように

できれば、春が来て、外が、あたたかくなるまで

買いものに出なくてすむように

だから、食料は、ちびちび使っていました


新聞の勧誘、出ません

郵便の類い、出ません

宅配便、そもそも注文しません

チャイムが鳴ったら

お布団を頭からかぶります

人が行ってしまうのを

ひたすら待ちます


仕事、してません

家にいるのが、わたしの仕事です

お給料は、もらえないのですが


昨日、だいぶ久々、外に出てみました

夏でもないのに、日差しが

やけに、まぶしく感じられました

外を歩く、多くの人にとって、日常の行為に

えもいわれぬ違和感を覚えながら、歩きました

自分の足が、うまく、くり出せず

歩く、ということが、ひどく難しく感じられました


ぎこちなく歩いていたら

けたたましくベルを鳴らしながら

自転車が真横をすり抜けていきました

寝起きの腹を空かせた熊なら、襲っていたでしょう

自分は、熊ではなくてよかった、と安堵しました


いえ、むしろ、熊であったほうが、よかったのかも

熊として、あの自転車と、自転車に乗る者とを

退治してやろうか、と

そんなよからぬことを頭に上らせました


公園に行きました

桜を見ました

キレイでした

キレイだと思う感情が

まだ、ココロの中にあるんだなあ、と

自分のことながら、感心してしまいました


もう少し、生きてみてもいいかなあ

そんなことを思わせてくれるような

美しい桜が、そこには、ありました


久しぶりに、おみそ汁に

玉ねぎを入れてみました

いつもより、甘く感じられました


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