2話
カナメ「よし、腹拵えもしたしどこへ行こうかな」
池の周りを半周したあたりでまた森の中を進む。
今度は歩いて。
そこに一本丸々木が落ちている。
カナメ「5分の1でこの距離か…重力と空気抵抗も普通なのかな」
木を拾い上げ、再び投げ、乗る。
カナメ「うーん。全く見当たらないなぁ」辺りを見回すが一面森。
木のスピードも落ち、落ち始める。
っどーん、と大きな音を立て、木と一緒に落ちてくる。
カナメ「誰もいないのかな…」仰向けになり空を見上げる。
飛ぶ鳥を目で追うと不思議なことが起こる。
カナメ「消えた…?」
飛んでいた鳥たちが急にいなくなった。目線を切ったわけでもない。
カナメ「ひょっとしてここって守られている場所なのか?」
木を全力で真上へ飛ばす。そして消える。
カナメ「やっぱりだ…落ちてこないし出たら戻れないタイプなのか生き物だけ出入りができるのか。でも出てみないとわ
からないな」
全力で走る。周りの木が風圧で倒れていく。
カナメ「ここかな」手を出すとその部分から別の空間へ行ける気がする。
身体も入る。
カナメ「ん?」
目の先には村がある。
そして中心には木が刺さっていて、そこに人が集まっていた。
カナメ「あのー…すいません」
村人「はい?」
カナメ「ここってどこですか?」
村人「ここはクル村ですが…あなたは?」
カナメ「カナメって言います。旅人です」
村人「そうですか…この木が降ってきたのを見てお越しになられたんですか?」
カナメ「えぇ、まぁ」
村人「神様からの思し召しですかね。この木は神樹と言って御伽噺のようなものだと思ってたのですが…」
カナメ「へぇ…そうなんですね…」
(そうするとあそこは聖域ってことになるのか…)
戻ろうとするが、既に空間がなくなっていた。
カナメ「なるほどね…」