子ども向け サマーパーティーが 急に色っぽくなった話
小学生の頃、英会話を習っていた。
夏休みのレッスンの中で、ネイティブの方を招いて、SUMMER PARTY なるものが催された。
いくつかゲームをして、その後お菓子を食べる……みたいな流れだった。
ゲームの中の一つに、昔ながらのタイプライターで、順番にスペルを一文字ずつ打ち、〝SUMMER PARTY〟という文字を完成させる、というものがあった。
ホワイトボードに先生が書いた、SUMMER PARTYの文字を見ながら、自分の順番が来たら前の人が打った、スペルの次のスペルを打つ というだけの簡単なルールだ。
子どもの頃の私は、独特な思考回路の持ち主で、言われている意味が、少しでもわからなくなると、思考がフリーズしてしまう子どもだった。
その時も、説明されたルールが理解できず、唯一わかったのは、タイプライターで文字を打つ、ということだけだった。
しかし、何を打てばいいのかわからない、何文字打つのかわからない……
一人静かにパニックに陥っていた。
ルールの説明は、もちろん日本語だったので、周りのみんなは理解しているようだった。
ヤバイ! と心の中で焦るものの、フリーズした頭は全く動かない。
そのうちゲームが始まった。
とりあえず何か打とう、と心に決め自分の順番を待つ。
しかし、何文字打つのが正解なのか? その答えがまだ出ていない! あー順番が来てしまった。
おそるおそる、タイプライターに近づく。
わからん! と思い、適当に一文字だけ打って、次の人にバトンタッチした。
偶然にも一人が打つべき、文字数だけは正解したのである。
その後も全員が打ち終え、先生がちゃんと打てたか発表してくれることになった。
紙に打ちこまれた文字を見て、先生は黙る。そして呟くように
「サマーパンティー」
と言った。
おそらく、SUMMER PANTY となっていたのだろう。
RでなくNを打ったのは、多分、私だろう。




