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お題シリーズ4

子供用ラーメン

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/08/02



 今もまだ子供だけど。


 今よりもまだうんと小さい時は、たくさん食べれなかった。


 だから、外食をする時にはいつも、大人の食べ物を分けてもらっていた。


 大きなドンブリで食べる大人の横で、小さな器を用意してそこに盛ってもらう。


 それを時間をかけて少しずつ食べていくのが普通の事だった。


 けれど僕はそれが、あまり好きじゃなかった。


 早く大人になって、たくさん食べれるようになりたい。


 大人と一緒のテーブルにつくたびに。


 そんな事を考えていた。


 半人前扱いされているみたいでいやなのだ。


 大人と対等になる事に憧れを抱いていた。





 そんな時、外で食べようとなった時にいつものお店が満員だったから、別のお店に行った事がある。


 そこは、他の地域にあるラーメン屋。たくさんのメニューがあるお店だった。


 そこでは、大人用だけでなく、子供用のメニューまであった。


 大人用ラーメンの半分の金額で、子供用ラーメンが用意されている。


 それを見つめた時に思った。


 大人から分けてもらわずにすむ。


 子供用だけど、一人前の食べ物が食べられる。


 そう思ったから、少しだけ一人前になった気分で子供用ラーメンを頼みたいと言った。


 数分の待ち時間を経て、やってきた子供用ラーメン。


 少し口につけて、食べてみて思った。


 あたたかさが違った。


 小さな器に盛られていた時とは違う、熱の塊がそこにあった。


 なみなみと注がれたスープから立ち上る水蒸気は、迫力があった。


 とても美味しそうだった。


 いつもよりすごくおいしそうだった。


 大人はこんな食べ物を今まで食べていたんだと、衝撃をうけた。


 けれど、そう思ったと同時に。


 ああ、もう戻れないんだな。


 と。


 たった少しの変化だけど、その事を明確に意識した。


 その子供用ラーメンを食べた時に。


 子供である事からほんの少し卒業してしまったのだ。


 大人のまなざしを感じなくなった。


 どれくらい食べたのかな、なんて見てもらえなくなった。


 目と目をあわせて、おかわりいる?


 なんて聞いてもらえなくなった。


 あんなにも欲しかった一人前には、寂しさというものが存在するのを初めて知った。


 子供用ラーメン。


 子供でも一人前として扱ってもらえるメニュー。


 美味しかったけど、なんでだかちょっと苦かった。


 少ない量の麺をすすりながら、今よりうんと幼かった僕は、そんな寂しさを抱えていた事がある。




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