串肉
「この状態だとあの森だと半日はかかるけど…夕食は取りたいからちょっと頑張るか。」
そう言うと彼は木に登った。
彼の地元ほどでは無いが、この森も切り開かれていると言えるほど見通しが良いわけでは無く、得られる物としては普通、太陽の位置から方角を知れる程度である。
だが、何故かその行動の後、難なく自身が付けてきた目印を見つけていることから何らかの意味があったのだろう、とは予測できる。
ほんとに彼は何なんだろうか?
エルフの末裔なのかと勘ぐりたくなる程、森との親和性が高いのである。
それから、少しの時間が過ぎた。
有言実行と言うべきか日が沈み始めた時の街には彼の姿があった。
「ホフホフ、やばい。これ熱い。フーフー。」
絶賛串焼きに苦戦中である。
お金はさっき行って来たギルドで薬草と交換した物だ。
百本近く採取したが、残念ながらだいたい20本ぐらいがシレンカ草だったので、80本程度の成果となった。
リュンデカ草は1本銅貨3枚の報酬なので、おおよそ240枚分になったのだ。
だが、テホが受け取ったのは大きめの銅貨2枚と、普通の銅貨46枚だった。
首をかしげたテホにカウンターのお姉さんが教えてくれた。
「テホ君はお金の価値を理解して無さそうだし説明してあげよっか。」
「んー、お願いしたいけど……その、赤ちゃんを相手している時みたいな顔としゃべり方辞めてくれると嬉しいけど……?ほら!流石に恥ずかしいからさ。」
「あ、ごめんね。ここの冒険者むっさいおっさんばっかりで、疲れてたのよ。純粋な瞳を向けられたら……つい、ね。」
少し前までカウンターのお姉さんだけが後ろから向けられてたちょっと殺気だった気配の、同質の物がその数倍になってテホの後ろからも来た。
テホはそれに気付いている。
気付いているが、何か俺なんかしたかな?なんて、聞く者が聞いたら巫山戯てんのか!って怒鳴ってもしょうが無いことを考えていた。
うん、男って度し難い。
まぁ、普通。訳が分からなくても、子供が殺気を向けられたら(いや、そもそも子供が気配を感じ取れることが可笑しいけど)泣き出しても可笑しくないのだが、テホはとても強かだった。
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悪戯というかお遊びには気づいた?