探索 外出
いつもより少し長め。
ほんとに少しだけど。
「へー。この、毒々しい薬は解読薬なんだね」
紫色の毒々しい色の薬をテホは、手に取ってそう言う。
「そうじゃよ。と言ってもしばらくはお主には関係ないじゃろうがの」
「え?何で」
「やはり、知らんかったか。お主は見るからに冒険者なりたてじゃからのう。毒など状態異常の効力を持つ魔物や収集物の回収や討伐は最低Dランクからしか受けられん。つまり、それまでは買う理由が無いゆえ必要ないという事じゃ」
「そうだったんだ」
もう少し深く説明すると、扱いが難しく、危険なものの扱いの仕方を習えるほどお金と経験が最低限貯まるのが大体、Dランクという事なのだ。
「うむ、例えばメヘドータという蛇型の魔物じゃが、こやつは特殊でな。こいつのランクは基本Cランクという位置づけだ。基本と言うのは最低という意味合いも持っておっての。育った環境、個体差により多種多様な状態異常獲得する。単なる毒から猛毒まで麻痺から石化。霧状から液状と、個体差が激しい事で有名での。通称、メへの蛇。そのまんまじゃが、恐怖の象徴であるがゆえ飾られないのじゃよ。何せ、あやつらは様々な環境に適応するため何所にでも現れる。定石が無い故単純な戦闘能力が試される。どうじゃ?説明されればされるほど怖くなってくるじゃろ?」
「うん、勝てる気がしない」
「まだそれは気にせんでも良い。まず、お主がしなけばならんのは地力つける事じゃ。強くなることで世界の見方が変わることがある」
「どういう風に?」
「それこそ、メヘドータなど目じゃ無いほどに多種多様に世界は広がっておる。同じ体験は出来ても、同じものは見れんのよな。たが、強さに良いも悪いも無い。これだけは覚えとくといい」
「何で?」
「年の功からの経験則じゃよ。……自分を受け止めることの出来ない時を強いと錯覚するものがおる。自分の力を支えにするのは辛いものじゃ」
「成る程……?」
言葉の意味は分かるが深意が分からない。と言う顔をしてテホは少し首をかしげながら次の言葉を待ってお婆さんと目を合わせた。
「まだ、分からぬか。ではそれを知るために体を、心を鍛え、体験してみるしかないのう。そうさな、昨日リュンデカ草を取ったと言う話をしていたの。やる気があるのなら森に入って取ってくるのと平行して体を作ってくると良い。ギルドより高く買ったるから張り切ってやるがよいぞ」
「ほんと!あ、えっと。ありがとうございます」
「うむ、行っておいで」
「行ってきます!」
今さっきまで、興味のあるものに頭をひねって、悩ましくも楽しそうにしていたものが既に違うものに視点が移ってる。
そんな彼を、薬屋の中から保護者のように温かく見守る老婆は「彼は……いや、彼の周りはいつも賑やかで愉しくありそうじゃの」と、独りごちた。
少し、した後。
次は彼に何を見せてあげようかと考える老婆の姿があった。
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次は今週の土曜日です。