74話 シスコン疑惑!?
「ティファ、ダメじゃないか。
来るなら来るって通話をくれないと。
お前みたいな可愛い子が、1人で外を出歩くのはとっても危険なんだぞ?」
俺は最愛の妹・ティファニーを膝の上に乗せて、頭を撫で撫でしながら諭すように語りかけた。
「もう〜!ティファは子どもじゃないんです!
お兄ちゃんは過保護過ぎるよ〜」
子どもじゃないと言いながらも、ティファニーはニコニコと愛らしい笑顔を向けて来る。
間違い無く天使である。
「う、うん?
ヨシュア様の妹さんって言う事は分かったけどさ。
ティファちゃんってどう見ても成人だよね?」
「あ、ハイ!16歳です!」
ティファの返事を聞いたシンシアは、異常者を見るような目で俺を見て来る。
コイツ、失礼なヤツだな。
「それより今日はどうした?
あ、お小遣いが足りなくなったんだな?
仕方ないなぁ、50万ゲスくらいで足りるか…」
「ティファ、学院を追放されたんだ〜」
な、何?が、学院を追放された?
こんなに可愛くて、賢くて、性格の良いティファが追放だと?
「…ちょっと…学院ブッ潰して来る…」
俺はティファを優しく膝の上から下ろして、立ち上がると、異空間収納から魔法剣を取り出した。
「あ、あなた!落ち着いて下さいまし!
め、目が怖いですわ!!」
「ええい、離せラフィ!可愛いティファを追放するなんて言語道断じゃ!!
クソ教員どもに地獄を見せてやる!!!」
「ちょ、ちょっと、ヨシュア!!
取り敢えず落ち着いて!ティファニーの話を聞かないと!」
怒りに我を忘れた俺だったが、見兼ねたらしいラフィの掌底で脳を揺らされ、椅子に縛り付けられた。
更にサイレントをかけられた為、話す事も出来ない。
正に一生の不覚である。
「お兄ちゃんの気持ちは嬉しいけど、ティファは追放されて良かったと思ってるんだ。
学院のヤツらって、ティファが絶世の美女だからって凄く僻むの。
最初はブスどもがゴチャゴチャうるさいなぁって程度で流してたんだけど、その内有る事無い事教師に吹き込んだりしてメンドくさかったんだ〜」
何と…俺の可愛い妹が、ペリス魔導女学院でそんなぞんざいな扱いを受けていたなんて…
ゆ、許せん!そのブスどもも纏めて地獄を…
パーン!
ラフィにめっちゃビンタされた…
「あなた!殺気をダダ漏らさないで下さいまし!
ティファさん、ご挨拶が遅くなって申し訳無いのですわ。
私、ラフレシア・ワイルダーと申しますわ。
先月ヨシュアさんと結婚を致しましたの。
ですから、ティファさんの義姉という事になりますわ」
「あ、はじめまして。ティファニー・ワイルダーです。
お母さんから色々聞いてましたけど、お母さんより綺麗な女の人を始めて見ました!
あ、オッパイも凄く大っきい!ちょっと揉ませて下さいね!」
「あっ、ちょっと、ティファさん?
あんっ、イヤッ、んっ…」
ティファはラフィのオッパイが気になったらしく、遠慮のない手付きでめっちゃ揉みまくっている。
ラフィからなんとも言えぬ声が漏れており、俺も欲情せずにはいられない感じだ。
「な、何かヨシュアの妹って、色々と凄いよね」
「兄妹揃ってヘムタイなの!」
「めちゃくちゃ可愛いのに、なんて言うかぶっ飛んでる感じがする」
アマンダ、エレナ、シンシアはティファの事をディスってやがる!
くそぅ!
ややあって。
「お兄ちゃん、ラフィお姉ちゃん、ティファも冒険者になるから、このパーティーに入れて!」
ティファの表情からも、真剣に考えての事だろう。
でも…
「ダメだ!ティファに危険な事はさせられない!
大丈夫だ。
お兄ちゃんがティファを養うから、一生遊んで暮らせるぞ?」
「へぇ…では、私は危険な冒険者をしても良いし、養わないと仰るんですね?」
ラフィが馬鹿な事を言い出した。
「そんな訳無いだろ!
だいたい俺はラフィに冒険者を辞めて貰いたいくらいなんだ。
ラフィみたいな可愛い奥さんに、危険な冒険者を続けさせたいなんて思う訳がない。
王都に屋敷を買って、そこで2人には豪遊して暮らして貰いたい!」
「何言ってんの!勝手にリーダーを引退させないでよね!
ラフィの精霊術が無かったら、災害指定特区ではやって行けないわ!」
「そうだよ!いくらヨシュア様でも、そんなの横暴よ」
「エレナもラフィお姉様と離れなくないの」
むぅ、やはり反対されたか…確かに広域を殲滅出来るラフィはウチの主戦力だ。
リーダーとして、的確に指示を出してくれるラフィが抜けるのは、大幅な戦力ダウンになるのは間違い無い。
だが…夫としては妻が危険な冒険者を続けるのは、正直キツいものがある。
「大丈夫ですわ。
私は冒険者を辞めるつもりはございませんから。
優しい旦那様に守って頂けますから、私は危険だと思っておりません」
「ぐぬぬ。まぁ、ラフィの事は何が何でも守り抜くけどさ。
でも、ティファが冒険者になるのは反対だ」
「どうして?ティファはお兄ちゃんより強いんだよ?
ティファがお兄ちゃんを守ってあげるから!」
い、妹よ…兄は嬉しいぞ…でも、お前に危険な目に遭わせる訳にゆかぬのだ!
「え?ヨシュアより強い訳無いでしょ?」
「いいや、ティファは俺の3倍は強い。
兄の贔屓目無しに、本気のティファと戦闘したら俺は瞬殺されるだろう」
そう、ティファは強過ぎる。家族の中でもダントツに強い。
普段は魔力を抑えるブレスレット型の魔導具を付けているので、周りの人も普通に話せているが、外すと皆失神するだろう。
現に父さんは過去に2回、ティファに殺されかけている。
「強いなら全然問題無いでしょう?
パーティーは最大6人までだし、ティファちゃんも入れようよ」
「力を制御出来るならな。
ティファは自分の膨大な魔力をコントロール出来ないんだ。
魔力が暴走して、自分の身を傷つける事もしばしばだった。
お兄ちゃんはな、お前の身体が心配なんよ」
正直、妹のやりたい事は、出来るだけやらせてあげたい。
でも、ちょっとでも感情が昂ぶると、魔力が暴走してティファの体を破壊して行く。
絶対にあんな目に遭わせたく無いんだ。
「ダイジョーブイ!
ティファは5年間猛特訓して、魔力をコントロール出来るようになったからね!
このブレスレットも、例の魔導具じゃないんだよ?」
ティファはそう言うと、徐にブレスレットを外した。
確かに、以前のように周囲に魔力を撒き散らすような事は無いようだ。
しかし、ただ抑え込んでいるだけという事と、自由自在に使いこなすというのでは訳が違う。
「では、お兄ちゃんと模擬戦をしよう。
ただし、自分の体を破壊しない事。周囲に危険を及ぼさない事。
お兄ちゃんを半殺しにする程度の力加減で攻撃する事。
この条件を全てクリア出来て、お兄ちゃんを瀕死に出来れば、ティファが冒険者になる事を認めよう」
「何!?アンタバカなの?
なんで半殺しにされる事が条件なワケ?」
俺の提案に何故かアマンダが食い付いて来た。
はぁ…コイツは意図を汲んでくれると思ったがな。
「アマンダよ。
お前は力のコントロールの大事さを分かってくれていると思ったんだがな。
それから、俺を半殺しにする事の難しさは、俺との稽古に熱心なお前が一番分かってるだろう。
俺は、稽古にがむしゃらに打ち込むお前を、自慢の仲間だと思っている。
俺の意図を汲み取ってくれ」
「わ、分かったわよ…
そ、その代わり…後で…アタシのお尻をギュッてして欲しいんだけど」
何がその代わりなんだ?
何やらアマンダは赤面してモジモジしている。
「ア〜マ〜ン〜ダ〜さ〜ん…
私、泥棒猫は絶対に許しませんことよ?」
あ…ラフィが凄まじく凶暴なオーラを放っている…
「フ、フン!
泥棒猫はどっちよ!
言っとくけど、ヨシュアはアタシの初恋の人なんだからね!
アタシにだって、ヨシュアの愛人になるくらいの資格はあるわ!」
「いや、人の妹の前で教育に悪い事言わんでくれるかな?
それに、俺はラフィ以外の女と、そういう事はしたくないのだ。
申し訳ない」
俺がアマンダに頭を下げると、アマンダは露骨に舌打ちしたけれども、「ただの冗談よ」と呟いてそっぽを向いた。
アマンダが不機嫌になった理由は分からないが、ともあれティファとの模擬戦が決まった…
俺、殺されないよね?




