72話 女騎士は露出狂!?
「うわぁぁぁぁあ!や、やめてくれぇええ…あ、アレ?」
俺は真っ暗な意識の底から光の方へ必死にもがくような感覚から解放され、上体を起き上がらせた。
何だか恐ろしい夢を見ていた気分だ。
「ココは…ああ、寝室か…夢だったか」
「何が夢だったのでしょうか?」
うおぉ!急激に寒気がっ!!!
ココは雪山かっ!
よく見ると、寝室のソファに腰を下ろした鬼が…いや、ラフィか。
「あぁ、ラフィ。すごく怖い夢を見たよ…イビルドラゴンに…」
「夢では有りませんが何か?」
え…な、何だって…でも、体は無事…
「何度も破壊されては私が完全治癒を繰り返しましたから…
さて、あの時の事を詳しくお聞かせ下さいませんか?」
カタカタカタカタ
ふ、震えが止まらぬ!!
今の恐怖で思い出した…俺はあの後…
「ち、違うんだラフィ!
アレは完全な事故なんだ!俺が愛してるのは君だけなんだ!」
「…くっ、そ、そんな事は分かってますわ!
め、面と向かってそんなストレートに言わないで下さいまし!
は、恥ずかしいのですわ…」
え?オッパイを触った事を怒ってるんじゃ無いのか?
では何にお怒りに?
「あの女性騎士の方が、押しかけておりますわ。
辱めを受けた責任を取って欲しいと…どうなさるのですか?」
「何でそうなるんだ?俺はただドラゴンからあの騎士を助けただけだ!
辱めって言ったって、後ろ姿じゃあオッパイ丸出しなんて分からなかったし、そもそも女だって事すら分からなかった!
アイツが暴れなければ触る事も無かったんだ!
クソ!何でこんな目に…」
俺は涙が止まらなくなった。
完全な事故なのに…
「だいたいラフィも何だよ!良く確認もしないで俺の体を破壊して!
人命がかかっているあの場面で、俺がお前以外の女に手を出す訳無いだろうが!」
「…あなた…」
「うるせえ!みんな俺の敵なんだ!
良かれと思ってやった事が全部裏目に…何でだよ!
クソ!俺はみんなを!この街をスタンピードから守りたかっただけなのに…ぅぅぅ」
俺は目の前が歪んで見えなくなるほど号泣した。
信じていた妻すら俺の話も聞かず、一方的に体組織を破壊したのだ。
もう全てがどうでもいい。
ムニッムニッ
不意に視界が暗くなり、顔面に柔らかな感触が押し付けられた。
ああ…ラフィのオッパイだ…
「あなた、落ち着いて下さいまし。
あなたを破壊したのはお母様ですわ。
それはもう恐ろしい形相で…私は治癒術をかけるのに精一杯でした」
へ?最後に記憶していた打撃は母さんだったのか?
「破壊されては、私が完全治癒したと申し上げましたが…
それは私もあの時は頭に血が上りましたけど、何か事情があるのだと思いましたの。
そこにお母様が…『ラフィちゃんが居るのに、このバカ息子!』とおっしゃって…」
な、何だ…確かに振り返った瞬間に脳を揺らされたから、俺も良く見てなかった。
「あら、あなたったら…元気になってますわ」
え?いや、顔にオッパイを押し付けられたから不可抗力というヤツで…
「私が上になってもよろしいですか?」
あ…
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ラフィにたっぷりと搾り取られたお陰で、賢者モードに突入した俺。
女騎士の事をどうしようか考える。
「大体、あんな事故的なパイ揉みを辱めってどんな思考回路をしてんだよ…」
「あなた、あの方はその事を辱めだとはおっしゃってないのですわ」
では何を辱めだと?
「奥方と睦み合っている所申し訳ないが、果し合いを受けて頂きたい」
うぉっ、コイツ、夫婦の寝室に入って来たのか?
しかも、オッパイ丸出しのままじゃねえか!マジでクレイジーなヤツじゃん。
で、ラフィよ…何故自分のオッパイを見せつける?
「くっ、凄まじい破壊力の奥方だな!」
「あら、随分と慎ましやかなお胸をお持ちで…私の旦那様は豊かなバストにしか興味がございませんのよ?」
何故かオッパイ対決が始まっている。
そして、ラフィの中では完全に俺が巨乳愛好家になっているみたいだ。
「それより2人とも上に何か羽織りなさいよ。
特にラフィ、例え女性でも俺以外の人に裸を見せて欲しくは無いな」
俺の言葉で我に返ったのか、2人ともそそくさと胸を隠して顔を赤らめた。
ラフィの場合は下の方も隠して欲しい。
「くっ、やはり冒険者は下卑た男ばかりのようだな!
妻以外の女の胸をイヤらしい目で見るとは!」
「イヤ、お前の胸なんぞ見たくもねえから隠せって言ってんの。
で、何でお前と果たし合いをせねばならんのだ?」
「決まっている!王国騎士団のわたしが、冒険者如きに命を救われたなどこの上ない恥辱!
騎士としての誇りを取り戻す為に貴様を討つ!」
「やれ騎士だ、やれ衛兵だ、やれ冒険者だと何故差別しなければならんのだ?
騎士は命がけで他国から王国を守っているし、衛兵は命がけで犯罪から国民を守っている。
冒険者は命がけで魔物から人々を守っている。
職業の違いこそ有れ、命がけで国を守るという点では違いが無いではないか?」
「く、そんなものは詭弁に過ぎぬ!
犯罪者紛いのゴロツキが蔓延る冒険者供と、誇り高き騎士を一緒にするな!」
「は?騎士団にも悪い人間などゴロゴロしているだろう?どこぞの権力者に取り入って、悪事に手を染める騎士だって少なくない。
一部の悪い人間にスポットを当てれば騎士団など、権力者に群がるハイエナの集まりだ」
「ふざけるな!騎士道精神を持つ本物の騎士は、断じて権力者に媚を売る事など無い!」
「うん。それはこっちも同じで、冒険者としての矜持を抱く者は断じてゴロツキなんかじゃない。
要は、志を持ってその道を精進している人は、どんな職種でも尊い人間だって事さ。
だから、俺は命がけでドラゴンから王都を守ろうとしたアンタを尊敬こそすれ、卑下をしようとは思わない。
尊敬に値する騎士に対して、何が悲しくて刃を向けねばならんのだ?」
「し、しかし、ドラゴン討伐で貴様らに遅れを取った事は、我等にとって一生の不覚!」
「おいおい、対人戦に特化した騎士団よりも、魔物を討伐する事に特化した俺達の方がスタンピードの鎮圧に優れているのは当然だろう?
逆に他国との戦争になった時は、冒険者は騎士団に遠く及ばない。
不利な戦闘であっても、命を賭して王都を守ろうとした騎士団と共闘出来た事を、俺は誇りに思っている」
俺が思いの丈を女騎士に伝えると、彼女は呆気に取られたような顔をしたまま押し黙ってしまった。
そして、いつの間にか胸部を押さえていた腕が降りていて、小ぶりなオッパイが丸出しになっている。
マントを付けて居るんだから、胸に巻けば良いだろうに。
「フ、フハハハハ!全く掴み所のない御仁だな!
しかし、冒険者の中にも高い志を持つ者が居ると分かった。非礼を詫びよう。
そして、命を助けて持った事、心より感謝する」
ふむ、笑うと年相応の女性らしい愛らしさのある女性だな。
コレで冒険者に偏見を持たなくなると嬉しいんだが。
「いや、礼には及ばない。
アンタの様な勇敢な騎士と共に戦えた事を嬉しく思っているよ」
そう言って、俺は右手を差し出すと、女騎士もはにかんだ笑顔で握手に応じてくれた。
ホント変な事にならなくて良かったよ…
「そうだ、ヨシュア殿」
「ん、何かね?」
「人の胸をとやかく言う前に、自分の股間を隠した方が良いぞ」
あ…俺ちゃん全裸だった…




