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60話 祭りの後

 


「……何で父さんと母さんが居る?」



 せっかくハルトのキョーダイが抑えてくれたスイートルームのリビングで、イチャイチャする両親の姿を見て、俺は只々ため息しか出てこない。



「だってぇ、ママはヨシュアちゃんがラフィちゃんを満足させられるか心配なんだよ?」


「そうだぞ。それにベッドルームが2つも有るんだ。

 お前に妹を作ってやらないとな」



 おいおい、何だ?若い俺たちに当てられて子作りするつもりかよ。

 大体、妹はもう3人も居るんだ。弟だって1人いる。これ以上増やしてどうする?



「いい加減にしてくれよ。

 もう2人とも40だろ?仲が良いのは嬉しいけど、子供の前でイチャイチャするのは流石にどうかと思う」


「まぁ、細かい事は気にすんな。

 息子が可愛い嫁さんを貰ってよお…嬉しい反面…何だか寂しくってなぁ…」


「ハァ…まぁ今から帰らせるのも気が引けるし…今日はここに泊まって良いよ。

 ただ、明日は帰ってくれよ」



 コレで両親も大人しくなるだろう…






 そう思っていた時が俺にも有りました。



「コイツと来たらよう、12にもなって女の子にフラれたっつって一晩中泣いてたんだぜぇ!!

 エマちゃぁん、エマちゃぁん…なんつってよう。

 ガッハッハ!!!」


「あら、ヨシュア様程の方が失恋なんてするのですね。フフフフ、ヨシュア様ったら可愛いですわ」


「だろ?もしラフィちゃんにフラれたら、コイツは1ヶ月は泣くね!

 ラフィちゃぁぁん、ラフィちゃぁぁん、捨てないでぇぇってな!

 ガッハッハッハッハ!!!」



 地獄だ…何で俺の8年前の話を覚えてるんだよ…

 それを新婚の嫁さんに話すか?ああ、ダメだ。このオヤジは。



「あとよう、ヨシュアが14の時に、ベッドの下のエロ本が…」


「黙れクソ親父ぃぃぃ!!!」



 俺の渾身のオーバーハンドライトが、父さんの左のテンプルを捉えた。

 父さんはソファから転がり落ち、無様にダウンしている。

 コレは10カウント以内に立ち上がる事は出来まい。



「テ、テンメェェ!父親の俺に手ェ上げたな?」



 父さんは事もなく立ち上がり、凄まじい殺気をぶつけて来やがる。

 俺はすかさずアップライトに構えた。

 対する父さんは左のガードを下げて、右の拳を顎下に付けている。

 一見L字ガードにも見えるが、父さんに限って守りは考えないハズだ。



「フリッカーか!」



 父さんの空気を切り裂くようなフリッカージャブが、俺の右頰を掠める。

 しっかりシフトウェイトで体重を乗せているので、ジャブとは言え、もろに喰らえばダメージになるだろう。

 俺はフリッカーを打った父さんの左手の戻しに合わせて、ダッキングで父さんの右サイドに踏み込む。

 父さんは狙いすましたようにオーバーハンドライトを打ち込んできた。



「見え見えなんだよ」


「ッ!このガキ!」



 俺は更に踏み込んで頭を低くする事で、父さんの強烈な打ち下ろしを躱すと、左脚を軸に左のボディフックを父さんのリバーに叩き込んだ。



「グハァッ!クソが」



 父さんの体がくの字に折れた所に、コンビネーションの右ショートアッパーを放つ。



 ガコッ



 何故か俺が膝を付いていた。

 追うようにして鈍い痛みが右のテンプルを襲って来る。

 なるほど、左のフックを貰った訳か。

 少し足に来ているが問題ない。



「ハハッ、右アッパーなんぞ見え見えだったぜ。

 左の外回りのフックを警戒しな、くぼえぇぇ!!」



 急に父さんが膝をついて蹲り出した。



「私のヨシュアちゃんになんて事するの!!

 もう、今日はエッチ無しだからね!!!」



 鬼の形相の母さんが立っている…

 目視が出来ない程のボディアッパーだ。しかも父さんの死角からの無慈悲な一撃…

 あの苦しみ方…肋が2本くらい持って行かれたな。

 っていうか、マジでエッチする気だったの?



「ヨシュア様、大丈夫ですか?

 ああ、こめかみが赤くなって…お父様なんか大嫌いですわ!!!」


「うげぇぇっ…いや、最初に殴られたの俺なんだけど…」


「ヨシュア様を傷つける人は、お父様であっても許せません!!!

 さ、ヨシュア様、横になって下さいまし。今、冷えたタオルを持って参りますわ」



 何だか父さんが気の毒になって来た…

 俺が被弾したのは1発、父さんは3発、しかも最後の母さんの1発で、かなりの重傷を負っている。



「ラフィ、俺なら大丈夫だよ。まだ戦える。

 それより父さんは右の肋骨にダメージを負ってるハズだ。

 次のラウンドで左ボディを攻めれば、試合続行は不可能になるだろう」


「い、いや、ヨシュア。2R目は無理なんだが」


「レイ、何を言ってるの?

 ヨシュアちゃんはカウント内に立ち上がったわ。

 次のラウンドが勝負よ!絶対に右のガードを下げたらダメだから。

 右ボディを庇った瞬間離婚よ」



 母さんに檄を飛ばされ、父さんはフラフラながらも立ち上がった。

 父親のプライドがファイティングポーズを取らせるのだろう。



「くそっ、肋が痛んで右が打てねえ」


「拳闘にアクシデントは付き物って父さんは言ったよね?」


「ヨシュア様、左ボディですわ!そう!そこ!

 ナイスボディですわ!!」


「ヨシュアちゃん!あと一発よ!ボディに一撃でパパは沈むわ!」





 結果、2R30秒KOで俺に凱歌が上がった。

 父さんは試合後そのまま治癒院送りとなり、セコンドの母さんも一緒に治癒院へ付き添って行った。

 目出度く俺たちはラブな新婚初夜を迎えまして…



 1R47秒でラフィさんに精を吸い取られました。ハイ。



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