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4話 美少女パーティーへの加入

 


「いや、いつまでも全裸なのは恥ずかしいんだが」



 少しの沈黙の後、ラフィが慌てて俺の服を持って来てくれた。

 もう、マジで恥ずかしくて死にそうだった。


 無事に服を着させてもらった俺は、3人に連れられてギルドへとやって来た。

 善は急げという事で、早速俺の加入手続きをしに来たという訳だ。

 来る前から予想はしていたが、周りの冒険者達からの憎しみが篭った目線が痛過ぎる。


 受付で俺の加入を伝えると、俺を除いた3人が別室に案内された。

 俺のパーティー加入に際して不正な取り引きなどが無いかを確認するのだろう。

 これは2ランク以上上の冒険者を加入させる際に必ず行われている事なので、特に問題はない。

 全裸の美少女と密着した事以外に疚しい事など無いので、俺は1人でクエストの掲示板を眺めて暇を潰すことにした。



「おう、テメエ。どんな汚ねえ手を使ってラフレシアの姐さんのパーティーに入ったんだ?」



 ふむ、テンプレ展開だな。

 俺のような雑魚認定されているイケメン冒険者が美少女だらけのパーティーに入ると、決まってこの手のイカついスキンヘッド肉達磨が因縁をつけて来る。



「別に汚い手など使っていないさ。ラフィに頼まれて入っただけだ」


「あぁ?ラフレシアの姐さんが無能のヨシュアなんかに頼むわけねえだろ!」


「そうだ!コイツは矢鱈とハンサムだからな。顔を武器に取り入ったに違えねえ」



 俺は勤めて冷静に対応したというのに、スキンヘッドの男と、彼の舎弟っぽいロン毛のムサい男が難癖をつけてくる。


 やれやれ、確かに俺は他人が羨むほどハンサムだ。

 でも仕方ないだろう?

 俺の母さんは王国一の美人と言われ、母さんを巡って決闘するヤツらが大勢居たと聞く。

 そんな母さん似の俺が超絶ハンサムでも何も不思議は無い。



「おい、俺の母さんは『傾国のアグネス』と呼ばれたアグネス・ラムジーだぞ。

 あ、今はアグネス・ワイルダーか。

 その息子の俺が超絶ハンサムなのは当たり前だろ?」



 母さんが大物だと聞いて怯んだのか、スキンヘッドの男は愕然とした表情で固まっている。



「な…あの絶世の美女にして、白銀の悪魔と呼ばれたアグネス・ラムジーが母親だと…

 そ、そう言われれば、お前も白銀の髪をしているな…

 なぁ、お前の母ちゃんの若い頃の水着写真とか持ってないのか?」


「いや、アニキ。食いつく所…」



 何やら話の矛先が変わってしまったようだが、穏便に済むならそれで良いだろう。



「ゴメン、今は持って無いんだ。

 でも、来月辺りに実家に帰るから、その時に海水浴に行った時の写真を何枚かアルバムから抜いてくるよ」


「え、マジで!!!

 お前マジで凄えイイ奴だな!さっきは無能とか言ってゴメンな。

 あ、今度吞み奢るからRINE効果しようぜ」



 俺は魔導端末を取り出して、快くRINE交換に応じた。スキンヘッドの男はAランクパーティー『ヒャッハーズ』のハルトと名乗った。

『火出武のハルト』は結構知れた名だ。



「ヨシュア、お前の事を馬鹿にする奴が居たらこのハルト様に言えよ!

 ボコボコにしてやるからな」


「おう、ありがとな。じゃ、また今度吞み行こうぜ」



 豪快な笑い声を上げながら、ハルトは舎弟を連れてギルド併設の酒場へと向かった。

 最初は嫌な感じの男だと思ったが、話してみると気のいいヤツじゃないか。

『宵闇の戦乙女』にいた頃は、他の冒険者と交流する暇もなく雑用を押し付けられていたからな。

 初めて同性の冒険者仲間が出来たみたいで嬉しい。


 それから30分程してラフィ達が戻って来た。

 当然何の問題も無かったので、その後は冒険者カードを提出して魔道具でパーティーデータを上書きする。


 全員分の上書きが終わった時だった。



「アッ…え、何コレ!?魔力が…凄っ!」

「はふぅ…ちょ、ちょっと、す、凄いの!

 力がヤバみんなの!!」



 シンシアとエレナが『フェロモンイーター』の強化に驚き出した。

 相当ヤバみんらしい。

 ラフィは声こそ上げないものの、顔を上気させて腰をクネクネさせている。



「ヨシュア様のパワー本当に凄い!

 こんな凄い人を追い出したクソビッチとかいう奴らマジでアホだわ!」


「ぅぅぅぅ…ヨシュア様ぁ、さっきは酷いこと言っちゃってゴメンなの。

 特別に、ホントに特別に!!ラフィお姉様を全裸にひん剥いて、押し倒して色々した事は許してあげるのぉぉお!!!」



 ちょっ、ギルドの受付で大声で変なことを言うのやめてぇ!!!

 あちこちから飛んで来る殺気が物凄いって!!!



「ま、待てエレナ!俺はそんな事断じてしてないから!!

 大体、ラフィお姉様が俺を押し倒して、全裸にひん剥いたんだからね!」


「そうですわ。

 私の初めてを捧げるつもりで、ヨシュア様を押し倒して服を脱がせたというのに、何故ヨシュア様は私を抱いて下さらなかったんですか!?

 やはり、私如きの裸では抱く気にもならなかったと言う事ですのね…」



 え、ラフィさん…なんか凄い事言っちゃってますが…



「おい、マジかよ…無能のヨシュアのくせに、ラフレシア様からのお誘い断ったってのか?」

「あぁぁ、ブッ殺してえ!ヨシュアを撲殺してえ!」

「やめとけって、ヨシュアって実は鬼強えらしいぞ。

 ソロでコカトリスを狩って来たって話だ」

「ハァハァ…私もヨシュアさんに狩られたいわ…」

「イケメンで強えとかチートかよ!リア充は爆発しろ!」



 なんかあちこちから良からぬ声が聞こえて来る…

 って言うか、パーティーに加入しに来ただけなのに、何で関係ない奴らからこんなに好き勝手言われなきゃならんのだ。

 マジでムカついて来た…



「ウオラアァ!!!

 クソ雑魚ども!俺様のダチに文句があんなら、このハルト様が相手になんぞボケがぁぁ!!!」



 さっきRINE交換したばかりのハルトが、怒号と共にギルド併設の酒場からこちらにやって来た。

 流石に『火出部のハルト』に刃向かうバカは居ないようで、文句を言ってた連中が水を打ったように静かになった。


 よく見たら、そのゴツい手に割り箸を握ってる。

 メシを食ってた最中なのに、わざわざ俺の為に来てくれたんだな。



「ありがとな、ハルト。

 危うくコイツら全員ボコボコにする所だった。助かったよ、ホントありがとう」


「ワッシャッシャ!!

 ダチがあんな言われ方して黙ってられなかっただけだ」



 あぁ、コイツマジで良い奴だ。

 こういう漢気のある友達は大切にしないとな。

 お、ハルトの舎弟までこっちに小走りで来てくれた。



「アニキー!王様引いたのに何やってんすか?

 アッチで女子アナ達がアニキの命令を楽しみに待ってやすぜ!」



 じょ…女子アナ達と王様ゲームだと…

 やっぱ『ヒャッハーズ』程の名の通ったパーティーになると、女子アナ達と合コンし放題なんだな。

 勇者パーティーの時は遊ぶ暇なんて無かったから、そんなにモテるなんて知らなかったぜ。



「せっかく王様引いたのに悪かったな。また今度ゆっくり飲みに行こうぜ!」


「おう!そうだな!

 さて、さっきはトップレスにさせたから…次は下を脱がせるか…」



 ハルトがなんか凄い事を言いながら、酒場の方に戻って行った。

 あ、ホントにオッパイ丸出しの女の人がいる…

 めっちゃ笑顔でハルトに手を振ってるし…

 女子アナが真っ昼間からこんなハードな王様ゲームに興じるってどうなの?


 なんか凄えゴタゴタしたけど、エレナとシンシアも俺を認めてくれたようだしホント良かったよ。

 良い友達も出来たし最高の一日だったな。



 ギルドを出るとラフィが俺の歓迎会をやりたいと言いだし、シンシアもエレナも大喜びで賛成してくれた。


 何年も不当な扱いを受けて来て、毎日無能だと、雑魚だと罵倒された。

 それでも仲間たちに認めて貰いたくて必死で努力した。

 結局努力は認められる事なく追放までされて、昨日は怒りと絶望を味わった。


 今はラフィと出会って、追放されて良かったとさえ思える。

 ラフィも、シンシアも、エレナも出会ったばかりの俺を凄いと言ってくれた。

 仲間として受け入れてくれたんだ…

 俺は頬を伝う一筋の熱い雫を袖で拭って、先行く可愛い仲間達の下へダッシュした。



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