23話 漢達の宴
今日から純愛パートに突入です。
とはいえ魔族なんかの絡みが有るので、完全なラブストーリーにはなりません。
「オイ!マジで言ってんのか?
幾らキョーダイでも、後から冗談でしたじゃあ済まねえぜ!?」
俺はハルトのキョーダイのある提案を聞いて、柄にもなくハルトに詰め寄っている。
例のイレギュラーダンジョンの調査依頼の報告、ボス級モンスター2体の素材、5日前の『ミッドナイト・ランブラー』の報酬などで、短期間で1人800万ゲスもの大金を得た俺たち『漢ブラザーズ』。
あの大規模探索から5日間。ギルドの調査も進んだらしく、レジーと名乗った男が爆死した際の遺留品等から、『ミッドナイト・ランブラー』の正体はハゲットだかバレットだか言うユークライン連邦国のAランク冒険者という事で落ち着いたらしい。
ハゲットだかは悪評の絶えない冒険者として連邦国では有名らしく、最近はあちこちでレジエルト・オブライエンの事を悪く言っていたとの事。
取り敢えず犯人はバラバラ死体になった訳で、『ミッドナイト・ランブラー』の件は片付いたようだ。
そして今日、ハルトがゴタゴタが片付いたので、共同でこなしたクエストの打ち上げをド派手にやろうと言って来たのだ。
「ワッシャッシャ!兄弟を揶揄うなんて真似はしねえぜ!
ガチで『アリアナ・エアライン』のCAを5人程揃えるぜえ」
そう。話の肝はハルトの言うソコだ。
魔導飛行船の国際線CA…それは世のメンズならば誰もが一度は妄想でオカズにした事の有る、高嶺の美女軍団である。
しかも、『アリアナ・エアライン』のCAは特にレベルの高い美女揃いだと聞く…
そんな美女軍団を打ち上げに呼ぶだと?ハ、ハルトのヤツ…
「行く!絶対に行く!死んでも行く!
いやぁ、流石はハルトのキョーダイ!漢っぷりが一枚も二枚も違うぜえ!」
俺は思わずハルトに抱きつきながら喜びを口にした。
「お、おおう…兄弟にそんなに喜んで貰えるなら、セッティングした甲斐が有るってもんだ。
じゃあ、3日後の土曜に王都の噴水広場で昼の12時に待ち合わせな」
「おう!土曜の12時に噴水広場な。
あ、でもラフィ達に来られるとマズいな…どうしよう?」
「ラフレシアの姐さん達には最高級エステの特別優待券を渡してあるぜ。
モチ土曜の昼からの予約でな」
ハルトはとても気の回る良き漢だ。ワイルドな風貌に反して男にも女にも気を遣えるなんて…女子アナ達が笑顔でトップレスになる訳だ。
俺は満面の笑顔でハルトと握手を交わし、鼻歌混じりでパーティーハウスへと戻った。
ああ…今から土曜日が楽しみで仕方ない…
◇◇◇◇◇
「あ!何かヨシュア様がおめかししてるの!」
俺が洗面所でヘアワックスを髪に塗り付けてセットしていると、エレナがわちゃわちゃと騒ぎ出した。
くそぅ…本当にエレナは空気が読めねえロリっ子だぜ…
「あら、ヨシュア様…す、素敵ですわ!美男子過ぎますわ!今すぐ抱かれたいですわ!
い、いえ!そんな事よりも、そんなに着飾ってどちらへ行くのですか?」
エレナの声を聞きつけて、ラフィが秒でやって来た。
ラフィから好意を抱かれているのは分かっているし、俺もラフィに惹かれているので、彼女に対して言い様のない後ろめたさを感じる…
だが、同じパーティー内でそういう関係になるのはマズいと思って、俺はラフィとは一線を越えてない。
未だに同じベッドで裸のラフィと寝ていて、悶々とし続けているのだから、せめてCAさんに童貞を奪って貰うくらいは許されると思うんだ。
しかし、そんな自分の本心をラフィに伝える事は躊躇われる。
「ああ、言ってなかったかな?今日は漢のAランク冒険者だけで昼から会合をするんだよ。
ホラ、俺って今まで女性冒険者としか接して来なかったし」
「はぁ…殿方の集まりに、そのような女性ウケしそうな格好をして行くのですか?」
ラフィはそう言って、怪しむように俺の足先から頭の先までを見て来た。
しかし、全然ラフィの言う事は勘違いだ。
王国で一番人気の『カム・デ・バルソン』のゆったり目の上下セットアップに、同じくバルソンのサックスブルーを基調としたクレイジーパターンシャツを合わせているのは女子ウケを狙っての事では無い。
「いやいやいや、女子ウケとかじゃねえっていうか?男が体にピタッとした服を着るのとかダセェっつうか?適度にゆったりした『バルソン』の服が私服に丁度いい的な?寧ろ女子ウケって何?そんなの考えた事も無い的な?」
「な、何でそんなに必死に否定するんですの?
必死過ぎて引いてしまいますわ…」
ふぅ…ラフィの勢いを何とか殺せたようだ。
さて、準備も出来たし1つ打ち上げを楽しみますか!
◇◇◇◇◇
「おう、兄弟!随分とめかし込んで来たじゃねえか!」
俺が約束5分前に噴水の広場に到着すると、ハルトのキョーダイが軽く手を上げて声をかけて来た。
スペルト、グラフ、そして彼の舎弟であるエコーザというロン毛男もいる。
エコーザは、俺がハルトと最初に揉めた時にハルトの横にいた男で、ハルトと飲みの時は大概彼も一緒にいる。
「めかしちゃいないさ。コレは俺の普段着だよ」
「またまた〜、『バルソン』のSSコレクションで纏めててサレオツじゃねえですか。
いつものヨシュアのアニキも男前でやすが、今日は一層男前に磨きがかかってやすぜ!」
やんわりと否定する俺に、エコーザがすかさずヨイショして来やがった。こういう部分がコイツの抜け目ない所で、エコーザが飲みの場に居るとハルトも俺もとても良い気分で飲めるのだ。
「おう!フランシア!こっちだ!」
俺がエコーザに持ち上げられて悦に浸っていると、CA御一行様が到着したらしく、ハルトが大きな声を上げて手招きをし出した。
ハルトは2mのゴリマッチョなので、そんな事をしなくても直ぐに分かりそうなモノだが。
「ハルちゃんお久しぶり〜!ちゃんとウチの綺麗所を連れて来たわよ?」
ハルトの前に急ぎ足でやって来たのがフランシアという女性だろう。洗練された都会のイイ女っていう感じがバンバン出ている。
化粧映えするクッキリした目鼻立ちに、手入れの行き届いたブルネットのセミロングヘア。適度に膨らんだバストに括れたウエスト。
嗚呼…こんな女性の制服姿を拝みたい…
いや、いかんな。ハルトと話す距離感からして、彼女はキョーダイにホの字っぽい。
漢ならその辺は推して知るべしだろう。
フランシアに続いてやって来た女性4人も、何も洗練された美しさムンムンの逸材ばかりだ。
嗚呼…クソビッチパーティーに居た頃では味わえなかったであろうこの多幸感…
無論、ラフィ程の隔絶した美少女は居ないけれども、俺のようなしがない童貞野郎にはラフィに手を出すなんて烏滸がましい。
ここに集結したCAさん達で充分贅沢なのだ。
「キャア!アナタがヨシュア様ですか!?
どうしよ〜!凄くカッコいいんですけど〜!」
「私、冒険者マガジンで見て以来、ヨシュア様の大ファンなんです〜!」
「え〜!ズル〜い!私の方がずっと前からヨシュア様ファンなのに〜!」
「あ、あの…は、ハグとかして貰っても良いですか?」
俺の姿を見るなり、4人の見目麗しい女性たちが俺を取り囲んで、キャッキャし始めた。
ヤバイな…コレは露骨に鼻の下が伸びる案件であるぞ。
「ヨシュア様、いきなりゴメンなさいねぇ?ヨシュア様と合コンだって言ったら、この子達目の色を変えてしまって」
ハルトに身体を預けるようにしなだれかかっていたフランシアが、俺に詫びて来た。
いや、全然嬉しいから別に良いんだけど、まさか俺がCAさん達に認知されている程有名だとは…
「見た所ヨシュアのアニキって、意外とその手の事には自覚が無い見たいッスね?
ヨシュアのアニキのファンってかなり多いんすよ?Sランクな上にイケメンなんですから普通に考えれば分かりやすよね?」
比較的冷静なグラフが、俺にこそっと耳打ちをして来た。太鼓持ちのエコーザとは違い、グラフの言う事は信憑性が高い。
確かに今までその手の話を耳にする機会が無かった。まぁ、クソビッチの奴隷みたいなモノだったし当然か。
「皆の衆、盛り上がるのは店に入ってからにしようぜえ!
付いて来てくれ!俺が贔屓にしている洒落た店が有るんだ」
ハルトの言葉に冷静になった俺たち。周りの目も有るので、早急に店に移動する事にした。
◇◇◇◇◇
「こりゃあ凄えシャレオツな店だな」
ハルトが予約を入れてくれたのは、高級なバーラウンジのVIPルームだった。
20人は入れそうな広い空間を贅沢に使っており、高価そうな石材を天板に使った大きなテーブルの周りには、これまた高価そうな革張りのソファーが並んでおり、室内の間接照明やBGMも洗練された雰囲気を引き立てている。
既に部屋にはお高いシャンパンのマグナムボトルが、キンキンに冷やされて用意されていた。
取り敢えずそのシャンパンで乾杯をして、それぞれ簡単な自己紹介を行なった。
因みに席順だが、お誕生日席に当たる2人掛けのソファーにハルトとフランシア。
右サイドの5人掛けのソファーに、グラフ、シエラという藍色髪の女性、エコーザ、マロリーというオレンジ髪の女性の順で座っている。
左サイドの5人掛けソファには、リンジーというアイスブルーの髪の女性、俺、アリアというプラチナブロンドの女性、スペルトの順に座っている。
「まさかハルちゃんが、ヨシュア様とお友達だなんて思わなかったわ」
酒が入って頬を染めたシンシアが、ハルトにベッタリしながら話しかけた。
「ワッシャッシャ!兄弟分になったのはつい最近だったもんでな。
最初は気障ったらしい嫌味なヤツかと思いきや、メチャクチャ良いヤツでよぉ。しかも兄弟はスゲエ強えんだぜえ!
このハルト様でも、舌を巻いちまう程強え!」
ハルトも酒が入って随分とご機嫌な様子で俺の事を話し出した。面と向かってそう言う風に言われると、かなり照れてしまうな。
「ははは、それ程でも無いさ。俺なんかよりも、ハルトの方が凄い評判だぞ?
ギルド内の噂の類に疎い俺ですら、キョーダイの噂は耳にしてたからな。色物枠で有名な俺よりも、実力で高名を得ているキョーダイの方が万倍凄えぜ」
「もう〜、ヨシュア様ぁ、男同士でイチャイチャしないで、私の事をもっと構ってぇ」
「リンジーの言う通りですぅ。男同士の飲みなんていつでも出来るじゃないですか。
それより私、胸の所がとっても窮屈なの。ヨシュア様ぁ、ブラウスのボタンを開けて下さらない?」
リンジーとアリアが両サイドから密着しながら甘えて来た。特に、この面子で一番巨乳のアリアは、俺に胸元を開けて欲しいようだ…
「んんっ、ゴホン。どれどれ?お、オッパイがとっても苦しそうにしているね。
ボ、ボタンを外すんだよね?セクハラで訴えられたりしないよね?」
「イヤ〜ン、ヨシュア様ってば面白〜い!
セクハラとか言うわけ無いですよぉ〜」
アリアは妖艶な笑みを浮かべて、両腕を窄めるようにしてパイオツを寄せて強調させ出した。
完全に彼女のエロワールドに魅了された俺は、震える指先をアリアのブラウスのボタンにかけて、ゆっくりと第2ボタン、第3ボタンと順に外して行く。
!!…白くて豊満な胸の谷間が!!!ブラは情熱の赤か!!!
「イヤーン!氷が落ちちゃったぁ!
ヨシュア様ぁ、お口で取ってぇ」
俺の目がアリアの胸の谷間に釘付けになっていると、上の方から氷が落ちて来て、オッパイの間に挟まって行った。
アリアのセクシーな口調のおねだりに応えるように、俺はアリアの胸の谷間に顔を埋める。
途端、女性特有の甘い香りが俺の鼻腔を擽り、脳が揺さぶられたような感覚に襲われた。
ああ…この柔らかくも弾力のある感触…女の子のオッパイに顔を埋めるって凄く幸せだなぁ…
「ワッシャッシャッシャ!兄弟、ここはVIPルームで客目を気にする必要はねえぜえ!
興が乗ったなら、一思いにぶち込んだって良いんだぜえ!」
ハルトのキョーダイの言葉で我に返り、ふと周りを見回すと、キョーダイは既にフランシアを半裸にひん剥いてあちこち触っており、グラフはシエラを床に押し倒して腰をカクカク振っている。
エコーザとスペルトに至っては、2人がかりでマロリーにけしからん事をしているではないか。
「ヨシュア様ぁ、私達も愛し合いましょ?」
ほんのりと頬を染めたアリアの甘い誘惑は、俺の理性を崩壊寸前に追い込んだ。
「私の事を忘れちゃダメェ!」
左サイドにいたリンジーはそういうと、何か頼りない布というかヒモのような物を俺の頭からすっぽりと被せた。
紫色のソレから、なんともけしからん香りが漂って来る。
「リンジー、何でヨシュア様にパンティなんて被せるのよ!?
ヨシュア様に失礼でしょ!?」
アリアは不貞腐れたようにリンジーに文句を言う。
俺を挟んで言い合いが始まったが、俺はリンジーのパンティの芳香に脳が痺れており、喧嘩の仲裁どころの騒ぎでは無かった。
ああ…CAさんって、パンツまで良い香りがするんだなぁ…バラの香水のような…そんな華やかな中にも、何ともけしからん成分が1つまみ程感じられる…
「……ヨシュア様…随分と楽しんでおいでですわね?」
CAパンツで意識が浮世を離れている最中、背後から氷よりも冷たい声が響いた。
慌てて振り返ると、アブソリュート・ゼロ・スマイルを浮かべたラフィが、腕組みをして立っている…
「今日は殿方だけの集まりと伺っておりましたが…コレは一体どういう事なのか、教えて頂きたく存じますわ?」
ラフィの声色は、絶対零度を下回る程の冷気を周囲に撒き散らした。
アカン…俺、死ぬかも…




