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44. 可哀想な魔人


ロイさんが目を覚まし、ギルド内に落ち着きが戻った後も再ロイさんはげっそりしていた。


「魔剣の次は聖剣かよ、しかもこんなに早い期間でダンジョン二つクリアって本当お前はデタラメだよな……

前まで駆け出しだったなんて誰も信じねーぞ。」


「いや~それほどでも」


「ほめてねぇよ!呆れんだ!」


ロイさんのツンデレをいただいたところで何も嬉しくないんだけどなぁ(笑)



ロイさんとのやりとりを楽しんだ俺は本題に戻ることにした。


「さっきも言いましたけど、俺達はこの国の封印指定級ダンジョンの攻略に戻ってきたんですけど手掛かりとかあったりします?」


ダメ元で聞いてみると、


「フッフッフ、当たり前よ!お前らが帰ってきた時ようにちゃんと探しといたぜ!まさかこんなに早く来るとは思わなかったがな!」


おお!流石ロイさんだ!どこまでも株が爆上がりする人だ。

かなり危険だったはずなのに、本当にどんなに強くなってもロイさんには頭が上がらない。



そう思っていると、しかし!という言葉が付け加えられた。


「場所を教える前に頼みがある。頼まれてくれねぇか?」


その問いには勿論即答で了承した。



「頼みというのはそこのお嬢ちゃんが前まで住んでたSランクダンジョンに関する調査だ。なんでも最近、強力で怪しい気配を感じるという情報が多発してな。一流の冒険者に行かせたが、奥に行く前に何かのオーラみたいなのにあてられて逃げ帰ってきた。これはかなりヤバいやつかもしれん。

だから、お前、いや翔達にしか頼めないんだ!」


なるほど、そういうことなら一肌脱ぐしかないな!

そうと決まればすぐに出発だ!


「カンナ、泥棒退治と行こうか!」


「はい!ボコボコにしてやりましょう!」




そう意気込んでカンナの元家にやってきたのだが…………


「なんでお前がこんなところにいるんだ?カイム」


そこに居たのはエルフのダンジョンで会った魔人のカイムだった。


「なんでって、それはこっちのセリフだ!

お前ら獣人の国ビストリアムに行ったんじゃなかったのかよ!なんで人間の国なんかにいるんだ?」


逆に質問で返された。まったく、質問を質問で返すのはよくないぞ!

まあ数少ない同世代の男だし答えてやるか。


「獣人の国のダンジョンならもう昨日クリアしたからな。次の目的地の人間の国に来たんだ。そしたら、知り合いにここの調査を頼まれてな。いざ中にはいればカイムがいたってわけさ。

ほら!こっちが話したんだからお前も話せよ!」


「はぁ~、もう驚くのも疲れるわ!この化物が!俺はな、俺は、お前のせいでなぁ……」


そう愚痴りながらぽつりぽつりと何があったのかを話し出した。途中で泣きだし、話の流れもむちゃくちゃになっていたが、要約するここういうことらしい。


俺達と別れてからすぐに魔大陸に戻ったカイムは魔王の所へ報告に行ったらしい。ダンジョンでのこと、つまり俺達のことをメインにだな。

カイムは魔王に絶対に手を出してはいけない者がいる、それが人間の翔という男だと伝えたらしい。すると、魔王は怒り狂いカイムを魔王城から追放したらしい。最も弱い人間に怯えているのが許せなかったらしい。


そして、場所を追われることになったカイムがフラフラとさまよって行き着いたのがここ、という流れだった。


「俺は、魔王様のために、言っただけなのに~。」


まだ泣いてる……


「あー!もう!鬱陶しいわね!結局アンタはこれからどうしたいのよ!」


「これからも何も、もう俺には居場所なんてねぇよ。帰る場所も、友人も。

全部魔王様のためだけに尽くしてきたんだからな。」


なんか可哀想になってきた。

ま、まあ男が俺一人でちょっとさみしいなぁなんて思ってたし、べ、別に仲間にしてやってもいいかな!


と、一人でだれにともなく言い訳をした後、


「行くところがないなら一緒に来ないか?」


可哀想な魔人をパーティーに誘うことにした。






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