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40.カンナの相棒、来る!


真祖の初擊を少しくらってしまったカンナだったが、それ以降は全て避けていた。


真祖「何でだ!俺は今神話級の武器を装備してるんだぞ!なぜこうも軽くあしらわれるんだ!もしやお前の武器も同格のものなのか!?」


カンナ「え?これは白銀のレイピアですよ、武器屋で勝ってもらったSRランクの武器です!」


真祖も流石に本気で同格と思っていたわけではなかったようだが、それでもSRランクの武器で互角以上の実力を見せつけられていることにショックが隠せないようだった。


真祖「もうこうなったら仕方ない、最後の手段だ!俺が俺でいられなくなるが、これでお前らも道連れにしてやる!」


と言い、またアイテムボックスに手を突っ込んだかと思うと今度は赤い液体が入った小瓶を取り出した。


どんだけ奥の手持ってるんだよこいつ……自分のこと強いとか言ってたくせに全然自分の実力信用してなくないか?


真祖「俺は真祖故に血液を必要としないが、飲むことで絶大な力を得る。しかし、一度血液を摂取してしまうと他の吸血鬼とは違い理性が消し飛んでしまう。

まあ、どうせ殺されるなら足掻いてから死んでやる!」


一息で血液を飲み干す真祖。

真祖の身体が急激に膨れ上がり、爪や牙もより鋭利になり最早ただと化物に変わった。理性を失った真祖は汚い咆哮をあげながら強化された爪でカンナに襲いかかる。


ザシュ!グサグサ!ザシュ!


そして、一瞬で細切れにされた肉塊だけが残った。





もちろんその肉は真祖のものだ。


いくらパワーアップしたとは言っても理性を失って聖剣を手放してしまえばそうなる。

LR武器の大幅なステータス上昇と防御不能という条件でさえ叶わなかったのに、聖剣を手放してちょっとバーサーカーモードになったくらいじゃあむしろ弱体化するに決まってる。


本当に、最初から最後まで小者なボスだったな。

エルフのダンジョンボスよりかは強かったんだろうけどねー。


カンナ「やりました! やりましたよ、翔さん!

私、世界最高ランクダンジョンのボスをソロで倒したんです!」


翔「うん、ちゃんと見てたよ。

しかも完全勝利だったね。」


カンナ「はい! これも全部翔さんのお陰です。

本当にありがとうございます!」


感極まって泣きそうになっているカンナに改めてお疲れ様、と告げると泣きそうな顔で笑っていた。


「あ、あの~いい感じのところ申し訳ないんですけど~…」



急に横からそんな声が聞こえてくる。


聞いたことない声だけど誰だ?

見てみるとそこには大人しそうな女の子が居心地悪そうにこちらの様子を伺っていた。とても神秘的なオーラを放っていたので聖剣の子だとすぐ分かった。


見た目的にはリーシアよりも年上に見えるくらいお姉さんって感じに見えるな。

でもおどおどしてるのと可愛い系の顔だから、可愛い後輩系お姉さんって感じだ!……なに言ってるんだろう……

まあでも、要はすごくタイプの見た目だった。


翔「あー、ごめんね。さっき真祖に使われてた聖剣……フロッティだったよね?どうしたの?」


フロッティ「えっと、そのですね。あの……、今から言いますね。うーんと、」


すごく歯切れが悪いけど何を言いたいんだろうか?でもこういう子は無理に話させようとすると余計にテンパっちゃうから待ってよう。


ティル「いつまでウジウジ言ってるのよ! さっさと言いなさい! 全くアンタは、昔から変わらないわね~。」


フロッティ「うー痛いよ~、そういうティルは相変わらず厳しいな~。あと、遅くなったけど、久しぶりだねティル!さっきは挨拶できなくてごめんね。」


ティル「ふん!アンタもあの時は敵に使われてたからしょうがないわよ。

それよりほら! さっさとお願いしなさい!」


二人は知り合いなのか、にしても仲良さそうだな。

こうしてると普通の女子同士にしか見えないや。

それにしても何をお願いするんだろ?聖剣のお願いってすごそうだ、とか思いながら待つ。


フロッティ「あの、カンナさん! 私をあなたのものにしてくれませんか?」


ドラマのヒロインばりの熱い告白だった。


カンナ「え?私でいいんですか?」


フロッティ「はい、前の私の持ち主を倒したあなたに是非私を使ってほしいんです。お願いします!」


カンナがこちらを見てきたので、


翔「この子がカンナが良いって言ってるんだからいいじゃないか!

使いこなしてあげなよ!」


と言ってあげると、すぐに持ち主になることを承諾した。


こうして、俺のパーティーにおそらく世界最高クラスのヴァンパイアと世界最高ランクの武器が一気に仲間になった。


俺はダンジョンをクリアしたので帰る準備をしながら、

どんどんうちのパーティーが強くなっていくなぁと他人事のように考えていた。






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