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403-31 新しいお医者さんたち

 寂しいやら恥ずかしいやらな報告をしてくれたフレット先生の予定では、マリューが派遣してくれると言う新しいお医者さんが到着して、引継ぎをしてからミフロを発つとのことだった。

 送別会のようなお見送りはいらない、と先んじて拒否されてしまったので皆で集まってお別れ会といったものはちょっとやりづらくなってしまったけれど、個人的にまた挨拶に行ったり、餞別(せんべつ)ノレーブ(葡萄酒)やシロップ漬けを贈ったりした。

 そして翌週。

 お昼を過ぎて少し経った頃、いつものように調薬棟で仕事をしていたらエイラちゃんの声が掛かった。


「……サクラ様、お客様です。フレット先生に代わりいらっしゃった先生方です」

「あ、はーい。すぐにー!」


 作業を止めて出てみると、そこにいたのは女性だった。

 40歳くらいだろうか、メガネを掛けてすらっとした体躯(たいく)の落ち着きのある雰囲気をまとった人だ。


「お初にお目にかかります。不死の魔法使いであるノノカ様ですね? 私は王都から参りました治癒魔道師のコーレイトと申します。以後お見知り置きを……」

「これはご丁寧に……。初めまして、わたしは──えと、サクラ・ノノカと言います。こちらこそよろしくお願いします」


 相手の──コーレイトさんの挨拶に合わせて名乗ろうとして、その時ふと思ったことがある。

 はて、わたしの肩書はなんなのだろうか?

 まぁ別に、なくて困るものではないし、今は気にしないでも良いことだと思うけれど……


「よろしくお願いいたします。ノノカ様のことは、マリューから伺っていますよ」

「え、マリュー? お知り合いですか?」

「ええ、もう知り合って20年ほどになりますね。ふふふ、どうやらマリューは、ノノカ様のことを(いた)くお気に入りのようですね?」

「それは……、ど、どうなんでしょうね……」


 ちょっと恥ずかしかった。


「今後しばらくは私が前任者に代わり医師としての務めを果たして参りますが、実はもうひとり、治癒魔道士の卵を連れてきておりまして。……こちらがそのヘリッタです」


 先生の紹介に合わせて、真後ろに隠れていた女の子がひとり、前に出る。

 その顔を見て、わたしは驚いた。


「ロミリー!」

「えへへ、お久しぶりですーノノカさん」


 その女の子は、わたしがまだこの世界で目が覚めて1年も経っていなかった頃、王都の魔法学校で一冬マリューの手伝いをしていた時に知り合った学生さんだったのだ。

 かれこれ、2年ぶりの再会になる。


「わぁ久しぶり……。元気そうで良かった」

「はいー、もちろんですよー」


 再会を喜び、手を握り合い、握った手をぶんぶんと振って、そしてハグされて、ぎゅむぎゅむとされて、ぽんぽんとされて、さらにぎゅむぎゅむとされて、ぎゅっとされて、時間が過ぎて……。

 ……さすがにそろそろ抜け出そうかな、と考え始めた頃になって、ようやくロミリーは離れた。

 かと思ったら、なぜか不服そうな表情になっている。


「……ノノカさん」

「ん、ん? どうかした……?」

「ノノカさん、相変わらず細過ぎます……、もっと食べてください」

「え? ……あぁ、ちゃんと食べてるんだけれどね、あはは……」


 2年前には長かった癖のある黒髪は大分短くなっていたけれど、それ以外には変わりなさそうだ。

 ……いや、着込んでいるから分かりづらいけど、ちょっとふくよかになってるかも?

 まぁ、それはそれとして、それよりも。


「ところで、今さっきヘリッタって……?」


 以前お別れした時まで、ロミリーはロミリー──つまり、姓は持っていなかったはず。

 でも確か、姓は〝良い頃合い〟が来れば付けるつもりだとも言っていた気がする。


「はーい、そうです。先日、姓を付けてもらえましたー」

「わぁ、おめでとうロミリー!」


 実のところ、姓をつけることはそんなに特別なことではない、らしい。むしろ国としては結構前から姓をつけることを奨励しているとか。

 だから遅かれ早かれ、ロミリーも姓はつけていたことだろう。

 でもロミリーが言っていた〝良い頃合い〟と言うのが、〝無事に卒業〟のことだったのだ。

 ちゃんと卒業できたら姓を考えてもらって、家族で名乗ろうと思う。そう言っていたロミリーが姓を付けたと言うことは、無事に卒業できたと言うことで、それはすなわち喜ばしいことだ。

 ──はて、でも卒業ってこの時期だったかな……?


「……サクラ様」


 ちょっと考え込みそうになったところに、エイラちゃんから声が掛かる。


「ん……んん? ど、どうしたの、エイラちゃん……?」


 呼び掛けられて目を向けた時、一瞬、なぜかエイラちゃんが少し怒っているような雰囲気をまとっていてびっくりした。

 あくまで少し、そんなにはっきりとしたものではなかったけれど。


「……お話でしたら、母屋でお茶をご用意しますが」

「あ、ああ! そうね、その方がいいね、ありがとうエイラちゃん」


 確かにエイラちゃんの言う通り立ち話もなんだ。

 わたしの気が回らないものだからエイラちゃんに気を使わせてしまったみたいで、反省。

 場所を移すこと伝えるとコーレイトさんも、是非に、と言ってくれたし、わたしもロミリーもまだ話したいこともあったから、長旅の後で申し訳ないとは思いつつ、わたしたちは母屋に移動してお話の続きをすることにした。



ちょっとお話の流れが駆け足過ぎるような気もする……?

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