終わったと思ったら始まりだった
あれ??
死んだと思ったのだが・・・死んでいなかったようだ。
それとも、ここが天国なのだろうか?
いや、天国に、こんなベッドは無いだろう。
見渡すと、普通の部屋だ・・・
あぁ・・・違う・・・さっきのは夢だ。
余りにもリアル過ぎて昔から、何度も見ているのに、いつまでたっても慣れない。
が、あの夢のお陰で、良い事もあった。
あの夢の中の『俺』は、まあ・・・楽観的というか無計画というか行き当たりばったりというか・・・
俺は、そんな『俺』を反面教師にして、地道にコツコツと、要領よく計画的に・・・
その甲斐合って、全国的にも一流と言われる進学校に入り、東大に入り・卒業し・・・世間でいう高級官僚になった。
まぁ、超高給取りというわけではないが、安定しているし各種手当ても、そこそこ入ってくる。
勤務時間も、最近は改善されて、しっかりと当たり前の時間に帰宅出来る。
24歳で、こんな事いうのもなんだが・・・良い人生だ。
俺はベッドから起き上がり、時計を見る。
まだ七時前だ。
休日だから、もっと寝ていたかったが・・・
ま、いっか・・・
今日も、あれをやるつもりだったから・・・
あの変な夢は、俺が子供の頃から、しょっちゅう見ている。
良くあるファンタジーというかライトノベルの世界というか・・・まぁ、俺は普通の家に生まれて、一攫千金を目指して、ダンジョンに入って・・・夢半ばで死ぬ、という纏めれば、そういう事だ。
で、それはそれとして・・・俺が小6の時に、『ダンジョン・マスター・クロニクル』というMMORPGが発売された。
ネットで発売キャンペーンのPVを見たときは、本当に驚いた。
俺が夢で見ている世界と一緒だったからだ。
早速買ってみて・・・やりこんだが・・・全く一緒だ。
大陸の中央の首都を囲むように、5つのダンジョンがあり・・・そして、多くの冒険者が、一攫千金を狙って、ダンジョンに入る。
いや、寧ろ、ダンジョンに入り、管理する為に、そこに首都が出来たようなものなのだろう。
え?わざわざ、何でダンジョン入る必要があるかって?
一つは、ダンジョンを放置すると、中の魔物が、外に溢れてくるから。
もう一つは・・・色々、効率が良いからだ。
何せ、向こうの世界では何故か、魔物を倒すと食料品や医療品、衣類なんかもドロップアイテムとして手に入るのだ。
小麦だと・・・普通の農夫が一年間一人で耕作や収穫なんかをすると、およそ2トンの収穫が、平均だ。
だが、ダンジョンであれば、その量を10日で手に入れる事も可能なのだ。
勿論、他の・・・例えば衣類や、それこそ宝石類なんかも!!
危険は伴うけど、人気の職業なのは、わかるだろ?
というか、治安維持の為に、王族や貴族は率先して入る義務がある位だしな。
深い階層までいければ、庶民でも爵位を与えられたりもする。
夢の中の『俺』も、それを目指して、無茶をしていたようなものだからな・・・
あ、ダンジョンっても、別に洞窟ではない。
石造りのそれなりに大きな門、扉があり、それを超えると異世界というか、ダンジョン世界に飛ばされるのだ。
で、一旦クリアした階層には、自由に、その門からワープ出来る。勿論、戻るときも一瞬だ。
え?それは夢の話?ゲームの話し?両方だよ。まったく一緒なんだから。
俺はゲームにログインすると、先日、上級職になった戦士系のキャラを選ぶ。
このゲームが人気がある理由(というか俺が、10年以上、やり続けている理由)は、その謎の多さ・・・というか運営の不親切さが原因だ。
何せ、プレーヤーが設定は自分で探さないとならないのだ。職業は何があるのか?転職条件は?スキルは、どんな物があるのか?
それらは一切、運営側から公式な発表は無いのだ。
だから・・・
このゲームの攻略掲示板には真贋織り交ぜて色々、書かれている。
そして、運営は基本的に、本当だろうがデマだろうが、何もコメントしない。ここまで放任主義、放置を徹底するのは見事なものだ。
『初級職を全て50以上にすると特殊なジョブが現れる。』
とかいう良くあるデマも流れている。
え?どうしてデマだって、わかるのか?
実際に本当かどうか確かめたからだ。50ではなく100まで上げて確かめた。お陰で、レベルの上限が100以上であることは確認できた。
このゲームで確定しているのは、初級職が11ある、ということ位か?
中級職・上級職は、現状、14こ、確認されているが、おそらくそれ以外もあるだろう。
スキルだって、800以上確認されているが、それで打ち止めだという保証はない。
ダンジョンにいたっては、最下層が何階なのかも不明だ。
とりあえず110階までは、確認されているが・・・そこから先も続いている。
敵が強くて最古参の廃人達でも110階で立ち往生してしまっているのだが・・・
俺は先に進むのは、一旦、諦めて、隠しジョブ、隠し設定を探す毎日だ。
こういう層がいるのも、このゲームの特徴だろう。
さて・・・・今日は・・・