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1-5話
翌朝。
「おはようございます、将吾くん」
校門近くで名前を呼ばれた将吾は足を止めて振り返る。
「ああ、おはよう彩乃」
自然と名前を呼ばれるのに対して将吾も当たり前のように名前で呼ぶ。練習の成果が確実に出ていた。
「それで、今日から色々と具体的な話を進めていきたいと思うんですよ」
「ああ、ボランティアするにしても何をどうするのか考えないと意味無いしな」
「そうですよ。目的はあくまでもイメージ回復なんですからそこを念頭に置かないと」
「……って言われると途端にゲスい感じになるのはどうしてなんだろうな」
将吾は苦笑いを浮かべてはいるが、気持ちは昨日よりずっと前を向いていた。
(いい方向に進んでるよな。このまま、全部のことが上手くいってくれればいいんだけど……)
将吾がそんなことを思っていると、
「おいおい、あれ九頭竜と蛇払じゃん。あいつらって仲良いのかよ」
また噂話がここまで聞こえてきた。
「ひょっとして……蛇払の近づくと出てくる殺し屋って……九頭竜なのか?」
「そういえば、誰か九頭竜に殺害予告されたって言ってたよな……」
噂話は急速に広まっていき、将吾と彩乃の周りにいた人ごみがいっそう遠ざかっていく。
将吾はガックリと肩を落とし、
「……」
彩乃は笑顔のまま口の端から血を流した。




