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妄想のバスタブ

私は世界の何処へでも旅をすることができる。それも地球だけではない。

この前は太陽の中心部に行ってきた。あと、火星もけっこうお気に入りの場所だ。


チャプン…


今日は何処に行こうかな。フランスは昨日行ってきたばかりだから、イタリアに行こうかな。


ピチョン…


でも今イタリアの気分じゃないや。

さて、どうしたものか。まだ行ってない場所あったっけな。


ポチャン…ピチョン…


そういえば今日やったアクションゲーム、面白かったな。・・・・・・。


バシャンッ


そうだ!あのゲームの世界に行こう!

あ、でもまるっきり同じじゃつまんないよね。まあ、ところどころ変えればいいか。


私はゆっくり目を閉じる。頭にあのアクションゲームの世界観を浮かべた。

じわじわと草原が見えてくる。周りの建物は破壊され、そこら中に大きな木片や石が転がっている。

私はいつの間にかあのゲームの世界の中に立っていた。腰には長い剣が装備されている。

(中2の想像力ってすごいな。)

自分で自分にびっくりした。

そしてその草原の中には何故か赤い鳥居があった。その鳥居はどこか妖しい雰囲気がある気がした。

(確かゲートをくぐれば戦闘開始だった、よう な。)

サクサクと草を踏みながら、目の前の鳥居をくぐった。


ピチョ…


鳥居を抜けたら、一瞬ぐにゃりと草原が歪んだ。私の想像世界は本当に良く出来ている。そりゃあ、5年以上も妄想してたら良くもなると思うけど。

赤い鳥居はいつの間にか消えていた。その代わりに黒い男の子が少し離れた所で立っていた。

よく見ると黒いレインコートを着ているようだった。表情はよく見えない。しかしその雰囲気は見るからに怪しかった。

(多分あれと戦うんだ。)

冷や汗が流れた。でもこれはあくまで私の想像の中の話だ。むしろ私は楽しんでいる。

どうやって戦おうか。色々と頭で思考を巡らせてると、男の子が私の方に近づいて来た。

力は無さそうだが、異様な感じの雰囲気に私は少したじろぎ、一歩下がった。

それが合図だったかのように、男の子は急に猛スピードで私のもとへ走って来た。

私の背骨がザワリと鳴った。


逃げ…

殺さ…

死…


なきゃ…


ヤバい!



全力で逃げた。逃げた、逃げた、逃げた。

振り返るともうすぐそこまで男の子は迫って来ている。もう終わったと思ったその時、男の子は急に走るのを止めた。

それでも私は逃げるのを止めなかった。

(何だろう。)

男の子はレインコートの中から大きな拳銃のような物を取り出した。明らかに子供が片手で持てるような代物ではない。

銃口が私に向けられた。そして何の前触れも無く、撃ってきた。

私は咄嗟に頭を守り、近くの岩影に隠れた。それでもまだ撃つのを止めない。

ダンダンダンと心臓に響く音を聞きながら足がガクガクと震えていることに気付いた。

(戦わなきゃ死ぬ戦わなきゃ死ぬ…)

銃声が止んだ。ガチャリという音が聞こえた後、サクサクと私の方へ近づいてくる音がした。

手や額からじわじわと汗が出てくる。呼吸が浅い。

(落ち着け!落ち着け!これは私の妄想、倒そうと思えば倒せるんだ!)

一回だけ深く深呼吸した。

ふと自分の腰にある剣に目が止まった。さっきから邪魔くさいと思っていたが、今は天使に見えた。

(そうだ!剣があったんだった!)

私は慌てて剣を抜いた。なかなか丁度良い重さだった。

サクサクと男の子が私に近づいて来る。私は両手でしっかりと剣の柄を握った。

足音がだんだんと近くなってくる。やけに自分の呼吸と心臓の音がうるさい。それでも全神経を耳に集中して、足音で相手の位置を確かめた。


サク…


止まった!

「うわあああぁああぁぁ!!!」

岩影から出て思い切り剣をふった。でも手応えはない。

どうやらタイミングが早かったみたいだ。あと数センチという差だった。しかも空振りの勢いで体勢が崩れた。おかげで少し距離を開けることができたが、大ピンチだった。

レインコートの中で男の子はにぃと笑い、黒い銃の銃口を私に向けた。


そして、倒れた。


「ま…間に合った…。」

男の子の胸にはさっきまで握っていた私の剣が刺さっていた。

男の子が動かないのを見て、私は安堵の溜め息をついた。足はまだぶるぶる震えている。

しばらくしてヴ…ンという機械音が聞こえたかと思うと、倒れた男の子の上にLOSE という文字が浮かんで来た。

その文字が消えると同時に、男の子も一緒に消えてしまった。本当に、一瞬で。

そのまま一分ぐらい動けなかった。急にどっと疲れが出たのか、私はその場に倒れるように横になった。




バシャンッ!!




我に帰った。お風呂のお湯はすっかりぬるくなっていた。

それにしても…

今日の妄想はリアルだった。まだ心臓がバクバクなっている。

やっぱり毎日妄想してるとリアルになるものなのかな。

「はーーー…」

ちょ…超楽しい!スリルがあって、最高!明日もまたこの世界の妄想しよう。


ピチョン…


そろそろあがろう。お湯がぬるくなったから寒いな。でも今日は楽しかった。


「寒い。」

この度バスタブLink をお読み下さり

本当にありがとうございました!


稚拙な文章で申し訳ないです。


これからも読んで下さるとありがたいです!

あぁっ!石投げないで下さい!

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