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日記帳

掲載日:2026/03/31

日記帳


愛人も帰る場所もすべてなくなってしまった。すべて海の向こうから来たあいつらのせいだ。私の家族も愛犬もみな死んでしまった。「悲しいな。でも、涙はでないんだ。私」その言葉には、絶望では表せない、沈みきってしまった心があった。彼女は普段誰のものかも分からない異国の人から渡された知らない人の日記帳を翻訳して話をしながら彼らのもとで住み込みで働く日々を送っている。幸い彼女には知恵があった。それ故、異国の者の所で働いていた。だから食料には困らない。普通の人と比べて格段にいい生活をしているように見えるだろう。でも、実際は人権などそこには存在しない。みな自分に必死だ。そして異国の彼らは暴力をふるう。逆らうことなんて出来やしない。この前も隣に住んでいた宮本くんが、殺されたらしい。どうやら彼は、殴りかかったらしい。立派な大人なのに出兵しなかった愚か者なのに。変なとこで根性をだす阿保だ。死んで当然。でも私は死ぬほどの事はしてない。だから今日も異国の人のために働くのだ。生かしてもらうために。そして今日も日記帳を英訳して話す。毎日1日のぶんの日記を英訳する。この生活を一ヶ月続けて分かったことがある。どうやら、この日記の作者は相当な権威の持ち主だったらしい。どこかの財閥の者だろうか。それとも国の指揮をとっている者の一人だったのか。まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね。だったこの人はおそらく今の日記の持ち主に殺されたから、今私が日記を持っているんじゃないか。そして今日も日記を英訳して話す時間だ。いつも他の人が寝にいった後の時間でとても眠いが。異国の人はもうすでに、いつも話している木の箱がたくさん置かれた倉庫で待っている。そしてとても私と違って目が覚めている。人通りも少ない。だから私がこんな彼らに肩入れするような事をしているなんてだれも知らない。今日英訳した日にちは8月6日。この日記は8月8日までしかない。あと2日翻訳したら私は殺されるのだろうか。いやそんなわけなかろう。私は頭がいいんだ。そうして私は今日も彼に日記の内容を伝える。この日の日記は広島で起きた原爆?と言われるものについて書いている。日記の元々の持ち主はとても驚いているようだ。彼は8日に長崎へ出発するらしい。実家へ帰るようだ。心配しているようだ。他の場所に落とされないか。今自身のいる場や、母が住んでいる長崎へ。これが今日の日記の内容だった。異国の彼は、読んでくれたお礼に毎日チョコレートをくれる。少しベタついているが、そんなものなんだろう。でも彼が食べているのはベタベタしてないんだけども。そして私の食べているのと違って変な気持ちの悪い匂いもしない。でもきっと自分のよりいい物を私に彼は渡してくれているのだろう。そうした生活を日記帳が終わるまで続けた。最後の日の内容は「長崎に実家へ帰るから日記は、この場所に置いていく。楽しみだ。帰って続きを書くのが。」だった。なんで続きがないのだろう。そんなことより、私は明日からどうなるのだろうか。また貰ったベタついている変なチョコレートのような感情で出ていった。溶けきらない消化不良の志を目に宿して。

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― 新着の感想 ―
昔長崎に彼女がいたこともあって長崎の件が好きです。
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