07.席替えと山田君
山田はモテたくないのにモテてしまう。それは見た目だけの問題ではない、むしろそれ以外のところにある。山田自身は無自覚でモテる行動をとったり言動だったり……同じ男としては嫉妬する、それは他の男子も同じだろう。しかも見た目があるからこその無自覚モテであって決して誰がやってもモテる事が出来る、という事ではないのだ。ただ真似が出来るのならやった方がいい事もありそうだけど。だけどあの言葉を知っているだろう?? そう、あの有名すぎる「なおイケメンに限る」だ!! 間違えたら女子に殺される!! 社会的に!!
「さっきから何ブツブツ言ってんの??」
「はっ、山田、俺口に出てた??」
「うん。結構……殺される、とか。何か大変な事に巻き込まれた?? それとも少し遅れてきた中二病??」
「中二病とか言うな!! 変な組織に狙われたりしてねーし」
「…………」
「『やっぱり』みたいな目で見るなよ、ホントに違うから」
「今日席替え楽しみだよな」
わざと話題変えやがった……。
「まぁ、お前の隣は楽だったけど一番前の席は嫌だったからな」
「俺も嫌だった……なんか疲れる。ずっと先生に監視されてる気分」
「だよなー、やっぱりなー」
「まぁ今までありがとう」
「山田、僕達一応同じクラスだから……お別れみたいな事言うなよ」
「お別れじゃん??」
「まあ間違ってもないかもだけど」
チャイムが鳴りお楽しみの席替えタイムだ。後ろの方がいいなー。でもやっぱり山田と近いといいなと思う。同じクラスに友達あまりいないんだよな、何故か他クラスに散らばってしまった。
先生の声で皆がクジを引きに教壇へ列を作り出す。面倒だから最後の方でいいや、なんて思っていると山田も同じような事考えている感じだった。
「おー、俺、一番後ろの窓際だ、やった」
「え、俺お前の前の席だ!!」
「マジか!! また近くだな、それに隣より話しやすそう……うん」
皆が席を確認して机を運びだしている。
「僕達も行こうか」
「うん」
ガタガタとぶつかり合いながら後ろへ移動する。ああー本当に前の席から離れられて嬉しい。自分の席に着くと山田も嬉しそうにしていた。
「良かったな」
「ありがと、嬉しい」
「あ、隣??」
山田が隣に座った女子に話しかける。コイツ本当に凄い。
「えっ、あ、うんっ」
「よろしくね」
「よ、よろしく」
「何かあったら遠慮なく頼ってね」
「ひゃっ、は、はい!!」
気だるそうに言う山田は色気を醸し出している。どうやったら高一でこんな色気出せるんだよ!? しかも優しい奴だなおい!! 隣の女子はめちゃくちゃに緊張してしまってガチガチになっている。良いのか悪いのか……まぁ良いんだろうけど。
「僕もよろしくね」
「うん、ありがとう」
とりあえず僕も話しかけてみたけど全然緊張とかしないんだ、僕は少し緊張したよ。
「山田ぁ……お前日の光浴びてイケメンが過ぎるぞ」
「何言ってんの」
「ホントなんだって!!」
「ふーん……じゃあカーテン閉めよう」
「夕焼けとかになったらヤバそう」
「ぷっ、ヤバそうって何だよ」
ケラケラ笑う山田は珍しい……。
「休み時間だからってうるさい」
「悪い悪い、だって雪が変な事言うからさー」
『あの二人また席近いよ!?』
『やーん、すっごい楽しそう山田君!!』
『可愛い、尊い、可愛い、尊い』
『いいなー私も隣の席なりたかったよー!!』
『なんか話しかけられてたよ!!』
『羨ましい』
「山田が席替えするだけでクラスがうるさくなる」
「えー?? 俺のせいかな」
「あと、別の何かにも僕が巻き込まれている!!」
「……やっぱり中二病なんじゃん……大丈夫??」
「うるさい!! 違うって言ってるだろう」
「わぁ~怖い」
「ぶふっ、何だよソレ」
「はははっ」
「ははっ、ホント山田は」
「雪だろう、変な事ばっか言って笑わせてくるの」
本当に変な事に巻き込まれている訳だけども……それでも山田と席が近いのは楽しいな。少し不安だったけど良かった良かった。
少し新しい席にも慣れてきた頃、昼休憩だ……あーお腹すいた。
「山田、弁当??」
「いや、俺は購買に行くー」
「僕も飲み物買いに行くから一緒に行く」
「ああ、行こう」
廊下を歩いてもやっぱり視線を感じる。当然僕じゃない、山田を見ているんだ。あ、今日も購買はいっぱいだなー……でもパックのコーヒー牛乳は購買にしかないから仕方ない……。
「何、どのパン?? 届かないの?? 取るよ」
「えっ!? すみません、そこのチョコの……」
「ああ、美味しいよね、このパン。ウサギだし、可愛いよね」
「ひゃぁいぃぃ……」
購買でちょっと目を離したすきにまた女子に親切してるーっ!! 女子はふらふら真っ赤になってるし!! どうして山田って友達そんな多くないんだろう、基本山田は男子にだって親切だ、ただ女子の反応が凄いからたまにナンパ野郎みたいに言われていて腹が立つ。今もごちゃごちゃ言ってる男子がいる。
『アイツ女子に優しくしては振ってるんだろ??』
『付き合ってはすぐ振ってるって聞いたぜ』
『ただの女好きだよな、うっとうしい』
なんて。腹立つけど前に食って掛かったらボコボコにされて山田にめっちゃ怒られたんだよな……俺は気にしないから何もするなって……次やったらもうしゃべらないとか小学生みたいな事言われたし。とにもかくにも……
――席替えでも購買でも山田は無自覚だ。
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