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05.猫系男子の山田君

『私はーやっぱりワンコ系男子が好きかなぁ~』

『えー、猫系でしょ~』


 女子達が好みの男子について楽しそうにおしゃべりしている……それにしても……


「山田、お前ワンコ系男子とか猫系男子とか意味分かる??」

「何それ……犬とか猫にされてるの?? 俺達」

「ま、まぁそういう事になるけど、ハハッ」

「猫系はジャンプ力が凄いとか狭い所が好きとか、犬系は散歩が好きとか……??」

「絶対違うと思うな」

「俺は……どっちなんだろうか」

「ハッキリは分かんねーけど犬じゃないだろ。猫だよ猫」


 山田は気まぐれだし無自覚に女子の心を掴んでしまうし……猫の方が分かって行動している気がする。僕も出会ってすぐの頃は結構混乱させられたなー。山田が何を言っているのか何をやっているのか不明な事が多すぎて……。彼……山田って……


「彼女出来た事あんの?? 山田」

「えっ!? カノジョ!?」

「え、何その初めて聞いた!! ナニソレ、みたいな反応」

「いや、さすがに分かるけどさー、俺彼女なんて出来た事ないから」

「え、半分どうせいた事あるだろう、何人くらいかって思って聞いたのに」

「何人って、俺を遊び人にするなよ」


 山田はむくれたふりして椅子をキコキコやってから机に突っ伏した。フリ、だと思ったのは友達だから、としか言いようがないな。山田は分かりにくいけどずっと一緒にいたら分かる事も出てくる。まぁそこも猫みたいかな、うん。


「入学してから何回告られた??」

「数えてないけど……」

「くぅぅ……数えないと分かりませんてか」

「自分から聞いといて怒らないでよねー」

「それはそうだな、わりぃ」

「謝られるほどの事でも……」

「お前めんどくせーな」

「突然の悪口~」

「悪口じゃない本当の事だ。冬休み前とかクリスマスあるから多かったんじゃない??」

「……思い出したくもない」


 相当だったようだ。僕の質問でなんかゲソッとしてしまった。


「あのさぁ……ん?? 何見てんだよ」

「飴……」

「あめ??」


 一点を真剣に見ている、ああ、さっき犬とか猫とか言っていた女子か。


「なになに~?? 山田君どうしたの??」

「飴、欲しいなって思って」

「いいよ、飴くらい。はいどうぞっ」


 女子は嬉しそうに山田に飴を渡してからついでに僕にもくれた。餌が欲しい時の猫じゃねーか。


『きゃー、可愛いんですけど~』

『ねー、いいなぁ私も飴持ってれば良かった!!』

『ああいう所も猫系男子って感じだよね』

『分かる~可愛い~』

『でも猫系男子って仲良くなるのに時間かかるんだよね。佐藤君凄いね』

『あー、あそこは仲良いよねー』


 山田は全く聞いていないようだ。嬉しそうに飴を口に放り込んでいる。そしてやっぱり山田は猫系男子なんだって分かった。だってなー、犬じゃないもんなー。ってか僕は猫に懐かれた人間、僕も何系男子なのか気になる。


「山田ぁ、お前さーそういうとこでモテてんのもあると思うよ僕は」

「え?? 飴もらったらモテるの!?」

「お前……そうじゃない。説明面倒臭いから自分で考えろよ」


 飴玉を口の中で右へ左へとしながら「うーん」と考えている、おそらくぼんやり考えているって感じかな。


「雪は犬系だよね」

「え、何今更」

「だって目がクリッとして頭ふわふわってしてるし……なんかなんでも顔に出るし」

「最初の方見た目だしそもそも猫にも当てはまるだろ、はぁ」

「雪は犬系」


 え、何、何でそんなに頑なになるの。今?? 今、頑なになるところだった?? 本当に分からない時はとことん意味不明だよな。まあこういうところも僕は嫌いじゃないというか面白いと思うから友達なんだけどさ。そんな事を考えていると山田がふと立ち上がって飴をくれた女子の所へ行った、おお、珍しい事もあるもんだ。


「これ、お礼」

「君にも、はい」


 アレめっちゃスース―するガムだ……。


「山田君ありがとー!!」

「私にまでありがとうね」


 うん。山田に貰ったら何でも嬉しいよな。そうだよな。二人とも可愛らしい笑顔で嬉しそうに山田と話している。


「なんか話に巻き込まれて来たー」

「巻き込みってお前……でもお返し渡すなんてえらいな」

「アレ間違って買っちゃったガム」

「お前それでかい声で言うな……」

「でも二人は喜んでくれたよ」

「それはガムに喜んだんじゃなくてお前に貰ったからだろ」

「え……なんで。あのガムが好きだったんじゃないの??」

「じゃあもうそれでいいよ。ガムが好きだったんだろうな」

「うん。絶対そう」


 こいつの頭の中はどうなっているんだろう。まぁこういう所が面白いのはずっと思ってる事だけど。

 放課後、そろそろ帰ろうかと山田と話していると飴の女子が山田に話しかけてきた。


「山田君さ、どんなお菓子が好きなの?? 飴が好きなの??」

「んー、どうだろう。でもそうだね、飴は好きかな」

「何味が好き??」

「イチゴ」


 可愛いな!! 女子か。


「イチゴね、またあげるねー!! じゃあバイバイ」


 山田の為にこれから毎日イチゴ味の飴玉を鞄に入れておくんだろうな―あの子。


 ――飴一つで女子を落とす猫系男子山田は無自覚だ。

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