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03.草食系男子の山田君

「山田って女の子に興味ないのか??」

「は……別に男が好きな訳じゃ、ないぞ」

「そんな事聞いてねーよ!! 今はちょっと女子が苦手かもしれないけど彼女も欲しくないのかなって」

「ああ、いらない。だってほら……見てアレ」


 山田が指さす方へ視線を向けるとクラスのカップルが大喧嘩していた……。


「ね?? 面倒臭いでしょ」

「喧嘩するの前提かよ」

「うちの母さんと父さんもあんな感じだけど」

「っく……分かってしまう……」

「だーろー、雪は彼女欲しいの??」

「えっ……んー、そう言われるとあんまりいらないかも。でも出来るなら欲しいかも」

「どっち……」

「分からん、ははっ」

「なにそれ、ふっ」


 こう話してみるとやっぱり山田は草食系男子というものなのだろう、ただ僕もそうなのかもしれないという事に気付いてしまった。山田よりはマシだと思うけど。


「もうすぐバレンタインだけど……山田、大丈夫??」

「大丈夫な訳あるか。一年で一番嫌いで怖い日だ」

「怖い??」

「当たり前だろ、漫画みたいに可愛くチョコレートを渡してくれる訳じゃないんだぞ」

「あ、あー……お前はそうだな……」

「まるで猛獣のように追いかけてくるんだ……怖すぎるんだよ」

「うーん……」

「それに靴箱にギュウギュウに入れられるから靴が潰れるしチョコの箱や包みもグチャグチャだ!!」


 うんざりした顔で深い溜息を吐いている。大変なんだな、モテすぎるのも。


「でもお前も悪いんだぞ」

「なんで俺が」

「お前は無自覚に女子の恋心を奪っている事に気付け」

「なっ!? 俺はそんなに馬鹿じゃない。あ……」

「どうした??」

「ちょっと、ねぇ、ちょっと」

「え?? 私??」

「うん。そのリップいいね、何使ってるのか教えてくれない??」

「えっ、ひゃい、ここ、これですぅ」

「ああ、これかぁ、ありがとう。それだけ」

「いえ、どういたしまして」

「お前、今なんで聞いた??」

「何か俺、唇の血色が悪いみたいなんだよね、だからそこまで色のつかない色付きリップ探しててさ」

「それだよ!! そーれー!!」

「え?? 何が??」

「あー、もう。今年またチョコ一個増えたからな!!」

「えぇ……意味不明」


 意味不明は山田だろ、と言いたい所で授業が始まった。僕と山田は隣同士なのでギリギリまでいつも話している。休み時間は退屈する事がない。でもそれが他に友達が少ない事にも繋がってるんだろうなーって思う。数人はいるけど。まぁそれで不自由してないんだから別にいいか。昼食前の授業、眠い。

 やっと午前中の授業が終わって僕と山田は購買にパンを買いに来ていた。早く行かないとなくなるというのに山田がのんびりした奴なので歩くのも遅い。


「早く歩けよ」

「えー、これ以上!?」

「今も早いのかよ」

「うん、精一杯」

「そうですか、まぁ大丈夫だろうけど」

「あ」

「なん――」


「大丈夫??」

「は、はい……」


 転びそうになった女の子を助けていた……瞬間移動みたいな事出来るんじゃん。それにしても……助けられた女の子は真っ赤になって山田をジッと見ている、またか……。この学校全ての女子を落とすつもりなのかな。それを見ていた女子達もコソコソ言いながら頬を染めている。


『何、かっこいい』

『誰誰??』

『一組の山田君だよ』

『あー、あの噂の』

『私も助けられたいー!!』


 はぁ、山田、お前という奴は……でも人を助けたのはいい事なので今回は特に何も言えないな……でも、あえて言うなら近いんだよなー!! 女の子はもう目がグルグル回っている感じ。どうして耳元で話しかけるんだよ!? そんな事するから……あーもー周りの女子達もキャーキャーうるさくなりだした。山田は全く気付いていないのは何故なのか教えて欲しい。


「おい、雪、どうしたんだ」

「あ、終わったのか!?」

「ケガはなさそうだったから戻ってきた」

「山田、お前周りの声とか聞こえないの??」

「は?? 周りの……声??」

「分かった、もう分かったよ山田」

「大丈夫か?? 雪」

「こっちのセリフな!!」

「だから何が」

「ああ、なんかお前より女子達が可哀想になってきたわ」

「なんだよソレー」


 昔からこうだけど……山田は、うん、こういう奴だ。

 なんとか購買でパンをゲットして教室に戻る間もチラチラ山田は見られている。そう、女子達に。モテるって凄い事だなーなんて。そんな事を考えていると山田が廊下のゴミを拾ってごみ箱に捨てた、普通の事だと思う人は多いだろう、けれど山田がそれをやったという事が重要であって重大なのだ。


『山田君、いい人すぎない!?』

『あの顔であの行動はやばいよねー』


 顔は関係ないだろう。


『もうあれだけでキュンときちゃうよね』

『うんうん、分かるー!!』

『あんなにかっこいいのにかっこつけてない所とかいいよねー』


「おい山田……お前、やっぱすげーわ」

「何だ、また嫌味か雪」

「だから嫌味じゃねーって、ただ……見ていて面白い」

「俺が?? 面白い……そう思っている雪の方が面白いんじゃねーの」

「んな馬鹿な」


 ――草食系男子、山田は無自覚だ。

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