33話「非才無能、新しい仲間を探す」
俺達は29階層まで攻略できていた。
そして、壁にぶつかっていた。
「次は、30階層ですね」
「そうだな……」
俺はため息をついた。
三十階層は、冒険者にとって一つの壁とされている。
その理由として、ボスのランダム性がある。
複数確認されており、どのボスモンスターが出るかは実際に行ってみないとわからない。
現在確認されているボスモンスターは、Aランクモンスターが三種類と、Sランクモンスターが一種類。
「シャドウブレード」……影の刃で構成された人型に近い精霊。影から影へ移動する能力と、剣術を駆使して戦う。Aランク。
「インフィニットビースト」……無尽蔵に増殖するどの動物のようでもありどの動物とも異なる獣。生命力が強く、環境に適応して姿を変える。Aランク。
「フラッドスライム」……洪水のごとく膨大な質量を持った鉛色のスライム。倒すにはコアを壊す必要がある。Aランク。
「プレーンホッパー」……詳細不明。討伐報告は上がっていない。Sランク。
「へえ、こんな情報よく集めたね……」
「俺が元々いたパーティはかなり有力なところでね。顔が効いたから、情報も集めやすかったってだけだ」
なにせ期待のAランクパーティだからな。
すでに30階層を突破した『聖女の英雄』に期待する者達は多く、その中にはSランクパーティもいた。
彼らから情報を得るのは、決して難しいことではなかったのである。
「いやいや、でもこうやって正確な情報を集めてまとめてくれてるのはそれだけでありがたいよ。誰にでもできるようなことじゃない」
「そ、そうですね。それが作戦とかにもつながっていると思いますし」
「いよっ、流石リーダー」
「ありがとう……」
「で、でも最低でもAランクモンスターが相手なんですよね。あの、こう言ったらなんなんですが、私たちで勝てますかね?」
「どうだろうな……」
正直、勝てる勝てないで言えばかなり難しいと思っている。
俺はAランクや、Sランクのモンスターに勝ったが、それは本当に相性が良かったからだ。
これまで《裁断の剣》で倒してきたのはあくまでも機動力がなく、それでいて防御力が異常に高かった相手のみ。
機動力が高かったり、躱しきれないレベルの範囲攻撃ができたり。
そういう相手には、勝つのが難しい。
「でも、俺達は戦士じゃない。冒険者だ」
「といいますと、どういうことでしょうか?」
マリィが俺の隣で首をかしげて答えを促す。
うん、どこまで計算してるのか知らんが、話しやすくて非常に助かる。
「つまり、俺達は俺達だけでSランクモンスターに挑む必要はないってことだよ」
「なるほど、目的のためには手段を択ばない。それでこそのご主人様です」
「……ありがとよ」
「スポット、というかソロ冒険者とのアライアンスを組もうと思う」
「同盟、ですか」
「理由を聞いてもいいかい?」
「ああ、まずなんだが、俺達だけの実力でこれ以上の攻略は難しいと思ってる。勘違いしないでほしいんだが、みんなは強いよ。十分すぎるくらい」
もちろん、みんな強いし、さらに強くなっている。
強くないのも、強くなれないのも、すべては俺だけの問題だ。
「でも、それでも足りない。Sランク以上のモンスターを相手取るなら、さらなる戦力の増員が必要だと思う」
ライラックならあるいは戦力を追加する必要などなかったのかもしれないが、俺は違う。
「わかります。Sランクのモンスターは別格だと聞いてるので。私達じゃ、Aランクまでが限界だと思う」
「ま、そうだねえ。相性次第ならモミトちゃんとマリィちゃんで対処できるはずだけど……それも難しそうだしねえ」
「アタシは賛成!仲間が増えるのはいいことだと思うし!」
「それでご主人様、声をかける相手にあてはありますか?」
「もちろん、実は一人有力な知り合いがいるんだ」
◇
「そういうわけで、攻略を手伝ってくれる冒険者を募集してるんです。協力していただけませんか?」
翌日、俺は呼び出した喫茶店で、一人の女性と向かい合っていた。
その人物とは――。
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