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15話 友達と日常と天沢くん

完全結衣ちゃん視点からになります!

委員会というものに高校で入って初めて入った。去年も部活をやっていないこともあって引き受けようかとも思ったのだが、入ったら入ったで問題になりそうだなと思いやめたのだ。特にどうしても片方は男の子になってしまうから。


だから今年も入らないつもりでいたんだけど……天沢遥くん、彼と一緒にならやってみたいと思った。きっと彼には迷惑をかけてしまったけど、珍しくわがままなことをやってしまった。



そして今日はゴールデンウィーク前最後の委員会登板である。私たちの入った図書委員というのは、当番制で図書室の掃除だとか貸し出しを担当する。初めての当番の日はなんの用もない人たちがかなりの人数、野次馬として来てしまい迷惑をかけてしまったが、司書の先生から禁止令が出されたことで、いまは落ち着きを見せている。


だから今日は落ち着いた時間を過ごせそうで、内心楽しみというわけなのです。



「なーんかさあ結衣、最近ずいぶんと楽しそうじゃない?やっぱりなんかあったでしょー?」


「別になんにもないってば。ほら、もうそろそろゴールデンウィークでしょ?それで楽しい気分になってるのかも」


「去年はゴールデンウィークなんて別にーって感じだったのに?どうせ私と千尋とかと遊ぶくらいしか予定ないからって。今年は……ほかの誰かとも遊ぶのかなー?」



伊織ってば妙にするどいときがある。別にやましいことをしているわけじゃないし、ただただ友達として仲良くしているだけだ。それに彼女は信頼できる友達だし。


言ってもいいはずなのに……どうしてか教える気になれないのはどうしてなんだろう。



「はいはい、ひな、えっと妹とね動物園に行こうと思ってるの。どこかに出かけるのも久しぶりだから嬉しそうで、すっごい可愛いんだから!」


「へえ……動物園ねえ……でもそれだけなのかなー?だって妹ちゃんが可愛いなんていまに始まったわけじゃないわけでしょ?あっやしいなー!」


し、しつこい……!いままでそんな話したことはないから知らなかったけど、もしかすると恋バナが好きなのかな……?いやいや、そもそも恋バナとかじゃないけどね!


「私も結衣ちゃんに聞きたかったことがあるんですよ。ズバリ!なんで今年は委員会に入ったのか……です!」


ぐぅう……!なんで今日に限って千尋まで!普段はふわふわしてる感じじゃん!?


「べ、別にー?私部活も入ってないし、委員会とかは帰宅部がやるべきみたいな風潮あるから、それだけよ」


「へー、いやてっきり図書の男子、天沢くん?でしたっけ。彼が気になってるだと思ってました!いやーごめんなさい、早とちりしちって!」



千尋はてへぺろって顔をしている。私は内心でドキドキしているし、心臓はバクバクだ。学校では、少なくとも教室では話していない。図書室でだって野次馬が多すぎて話す時間なんてとてもじゃないがなかった。



「な、なんでそう思ったのかな?べ、別にほんとに全然、全然!違うんだけどさ!一応?参考までに……!」


「んー?勘……?天沢くんの名前が書かれてから、結衣ちゃんが立候補したような気がして?あとは最近誰かと連絡とるのに夢中っぽかったですし、当番のある今日も楽しそうなので、なんとなく……?です!」



え、これって私悪い……?鋭いとかのレベルじゃなくない?たしかにちょっと浮かれてたのは認めるけど……!


「うわー!ガチっぽい!千尋お手柄よ!なーんか怪しいなあとは思ってたけど……天沢くんとはとんだ大穴ね」


「全然!ぜーんぜんそんなんじゃないんだから!……ただ仲良くしてもらってるというか……お友達ってだけ!そういう伊織が考えてるような感じじゃないから!変にからかったりするのはやめてよね」



せっかく仲良くなれたって言うのに、私の友達にからかわれたりしたら天沢くん、すーぐ心閉ざしちゃいそうなんだから。いろいろと助けられっぱなしだし、そんな裏切るような真似はしたくない。


「あ、ガチなやつだ。えーでもさでもさ、天沢くんのどこが良かったわけ?言っちゃ悪いけどさ地味め?だし、あんまり明るいイメージもないんだけど。まぁ結衣が気に入るくらいだし良いやつっぽいのは分かるんだけど」


「まぁたしかに派手な感じではないねー。でも不思議と落ち着くっていうか、信頼できるなって思うんだよね。……絶対勘違いしないで欲しいんだけど、ほんとに恋愛とかそういうのじゃないからね!?」


ふたりしてニヤニヤと……。ああ、絶対勘違いしてるなあ……。絶対ほかの人には言わないでよと念押しておくと、それだけは絶対大丈夫と約束してくれた。

からかったり勘違いしたりはするものの、ふたりともたしかに信頼できる友達だから。





ーー


「ってことがあってね。だからないとは思うんだけど、私の友達ふたりに絡まれたりしたらすぐに教えて、すぐどうにかするから!それと変な勘違いさせることになってごめんなさい!」


放課後になって、私と天沢くんはふたりで図書室の当番用の席に座って話している。司書さんの一喝もあり、すっかり野次馬もいなくなっているので、こうしてふたりで話していても無問題というわけ。



「なるほど……!まぁでも俺は大丈夫ですよ。こうして仲良くしてもらってることを友達にまで隠してくれとは思いませんし。」


「でもさでもさ、嫌じゃない?無理させてないかなって心配で……」


「そりゃ二人きりで話せとかみんなの前でとかは無理ですけど……。俺は友達ふたりを信じてる白坂さんを信じようと思うので。あ、でもその代わりみんなにバレて俺がいじめられたりしたら、ちゃんと守ってくださいね?」



天沢くんは優しく笑って、少し茶化したような言い方をする。こういうこちらに負担にならないような気遣いが上手いひとだ。いまみたいに大人っぽい落ち着いた雰囲気かと思えば、変なところでひなと張り合ったりして子どもっぽい一面もあったりする。それが妙に魅力的に見えてしまうのだ。


彼は最近特に、取り繕おうとせずに素を出してくれるようになった。そのおかげで私もありのままでいられる。


いまもこうして無言でも和やかに過ごせている。もし会えなくなったら……ひなだけじゃなくて私の方も結構しんどいかもなあ。



「ああそういえば、動物園行こうってなったじゃないですか」


急に心臓がぎゅっとなる。そもそも一緒に来てくれるという状況自体が奇跡的なのに、断られることが怖くなった自分に、わがままなになったなと思う。


「そうだね……もしかしてやっぱり厳しい……?全然予定あったら気にしないでいいからね」


「え?いやそうじゃなくて、こどもの日なら小学生無料らしいですよ。それでこどもの日がいいかなって思ったんですけど、混んでるしちょっと先だから、どうなのかなって」


想像よりずっと真剣に調べてくれていたことに驚いた。それと同時にどうしようもなく嬉しくなってしまう。


「そうだねえ、どっちにしろひなは子ども料金だから平日がいいかもね。ちょっとは混雑マシだと思うの」


「ですよね、並ぶのに疲れちゃうと可哀想ですし。できることなら動物園史上最高の楽しい思い出にしてあげたいです!」


「ひなってば幼稚園の遠足以来だからすっごい楽しみにしてるんだよ。」


前の子の背が高かったり、ぐいぐいと前に出れるタイプじゃなくてあんまり見れなかったらしいから今回は見せてあげたいなあ。象とかキリンとかの大きい動物は満足いくまで見れたと嬉しそうだったけど。


「はー、ひなちゃんのゾウ推しにはそんな背景があったんすね。じゃあなおさらトラやライオンを見せてあげましょ!きっと好きになりますよ!なんてったってかっこいいですから!」


わずかに見えるキラキラとした瞳は少年らしさが出ていて可愛らしさすら覚える。

あー落ち着く、ほんとに可愛い人。


「家族か幼稚園以外だと初めてのお出かけだからはりきってて、わがまま言ったりしたらごめんね?」


「じゃあ意味で初デートみたいなもんですね!ひなちゃんのわがままなら大歓迎ですし、今さら遠慮はいらないですからね?」


優しく微笑むような話し方。


ん?デート……デートなの!?私だってまだしたことないのに、ひなに先越されるってこと……?いや……これはもしかして、私にとっても初デート……ってこと?いやいやそれは流石に自意識過剰よね!だってこれはひなの話だし、それに冗談めいてデートですね(笑)なんて言われて本気にしてたら、流石に痛すぎない……?



さっきまで一緒にいて一番落ち着く男の子、なんて言ってた自分がバカみたいだ。一番落ち着くどころか一番落ち着かない!


当の本人は、今日はあんまりひと来ないですねー、なんて気にした素振りひとつない。こっちはおかげさまでうまく目も見て喋れないのに。


「天沢くんさあ……敬語、戻ってるよ?ふたりの時はふつうに話してくれるんじゃないのかな?」


「約束したのはふたりの時じゃないですよ、ひなちゃん含めて3人でいるときだけです。それにふたりきりじゃないしどこで話聞かれてるか分からないですからねー」


「じゃ、じゃあさ!ふたりきりなら敬語やめてくれるってことでいいのかな?」


「そうですね……。たしかに、そうしましょうか」


「ちょっとだけ、ちょーっとだけ!いまタメ口やってみてくれない?」


「えー?んー……いまはダメだよ……みたいな?……なんか改めると恥ずかしいですね。ひなちゃんいるときは全然なんですけど、ふたりだとちょっと変な緊張あります。あ、全然嫌とかじゃなくって!」


恥ずかしいそうに微笑む天沢くんを私は直視できなかった。

自分から頼んでおいて情けないよ……!


自分ばっかり落ち着かないから、少しからかうくらいのつもりで振った話題で、まさか私の方がやられるとは思わなかった。


天沢くんは誰かに聞かれたら困るでしょ?と笑っていたが、私はいっそ誰かに聞かれてしまったらいいのにと思ってしまう。






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