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後編

翌日、俺は少し遅い時間に目を覚ます。

今日はネトゲはメンテの日。


「どうしよっかな……」

また暇を持て余してしまった俺はまた考える。外は雨……なるべくなら外には出たくないが……


「そうだ!正美ちゃんの家へいこう!」

そう思った俺は、黒いポロシャツに合羽を羽織ると家を飛び出した。

正美ちゃんは音楽部に所属している幼さを武器に人気の高いかわいい子。部ではピアノを担当している。


ある日の音楽の授業が終わった時、あまり親しくない友達とちょっと肩を当たってよろけた際に、正美ちゃんが使っているビアノにぶつかってしまった事があった。

その時はすごく怒られた。


「ちょっと!気を付けてよ!」

強く放ったその正美ちゃんの言葉には、ケガをしないように注意しなきゃダメじゃない!そんな心配する心が籠っていたのを感じていた。俺はその時、あまりにその気持ちが嬉しくて、無言で立ち去ってしまったが、今度きちんとお礼を伝えたいと思っている。


「結構降ってきたな……」

俺は視界が見えにくい道をひたすらママチャリで急ぐ。


その甲斐あってか20分ほどで正美ちゃんの家へ到着した。近くにママチャリを止め正美ちゃんの居るはずの2階の部屋の様子を窺った。


「おっ、いたいた」

窓から正美ちゃんがピアノを弾いているのが分かる。


うんうん。ちゃんと練習している。

俺は正美ちゃんが一心不乱に練習している様を見て、心にぐっと熱いものが込み上げてきた。俺はまた心の中で「頑張れ」そう呟いた。


そんなことをしていたら、正美ちゃんがふとこちらをみて目があった。

驚いた顔。


そんな正美ちゃんが窓から見えなくなる。きっと走り出しているのかも……まあ見つかってしまっては一声かけておかなきゃな。練習の邪魔をしてちまったのは素直に謝ろう。正美ちゃんの顔が……見たかったから。


そしてしばらく時間が過ぎて、玄関のドアが大きな音をたてて開いた。

そこには、木刀をもった正美ちゃんの父親が、鬼のような形相をして立っていた。とっさに悲鳴をあげながら隠れた俺だが、きょろきょろと周りを見渡すその正美ちゃんの父親が家の中に戻るのを見て、ホッとため息をついた。


「そうだよね……年頃の娘を持つ親としたら、どこの馬の骨とも分からないボーイフレンドに、過敏に反応してしまうのは仕方がない事か……」

俺は「今日のところはごめんね」と、俺の顔を見る事ができなかった正美ちゃんの、残念そうな顔を浮かべながらママチャリを漕ぎ、家まで帰っていく。


帰りがけ、またパトカーとすれ違う。最近物騒だな。そう呟きながら家路までの急いだ。


翌日……またもすることがない俺は昼過ぎに目を覚ます。


「ふぁーあ、寝すぎたな」

つけっぱなしのPCに目をやると、臨時メンテの文字が目に飛び込んだ。


「なん、だと……」

昨日なぜか負けまくっていたのはこれのせいか……

昨日の夜は久々の10連敗をくらっていた俺。なんとなくラグがあったような気がしたからな……バクのせいで負け続けた俺の時間を返せ!そう思ったがまあそんなことはどうでもいい。


俺は、ここ何日かのことを振り返る。


どうやら、俺はここ何日か誰かに見られている気がする……きっとどこかに隠しカメラでもつけられてしまったかな?

きょろきょろと見渡す俺は、ある一点を凝視する……


「あっ!」

俺はゆっくりとその視線について考えた。


「そうだ!今日は……キミの家に、行こう!」

俺は、俺をいつも興味深く見つめている、きっと俺に惚れてしまったであろうキミに、ほら、そこのキミ。俺は絶対キミに会いに行くことを決意して……この部屋から飛び出した……


待っててね……

ちょっと遠いから時間がかかるかもしれないけど……


絶対会いに、行くからね……


良ければそこのキミ!他のも読んで頂ければ嬉しいです。

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