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【旅路に風を】



 ここは地獄に続く道だろうか。イリスは、赤い沼の中に身を浸からせながら考えた。

 服はほつれた軍服で、ほとんど癖のない髪は胸の辺りまで伸ばし放題。それらを赤に染める沼からは、低い怨嗟の声が聞こえては沈んでいく。


(この声は、私が殺した人たちの声だ)


 途中から数える事をやめた、たくさんのリセルト人の顔が水面に映る。


 祖父母を殺し、そして私に殺された、そばかす顔の少年。

 短槍を手に背後から襲いかかってきた、ぼろぼろの服の女。

 正々堂々勝負を挑んで来ようとして、私に撃たれたひげ面の戦士。


 赤い液体を散らし、急速に濁っていく瞳。消えていく灯火。

 闇に呑まれていきながら、最後まで光を失うまいとあがく意思の反響。

 何十もの瞳が、そんな光を灯しながらこちらを凝視していた。


「……」


 イリスも彼らの視線を拒むことはしなかった。自分もこの血みどろの沼に加わるべき存在だと悟っていたから。

 恨みを抱いて、怒りに身を任せ、与えられた希望すら、自らの手で絶望に堕とした。

 血にまみれた手を見下ろして、イリスはぽつりと呟いた。

 

「何が……『過去は既に終わった事』、よ」


 自分の言葉を鼻で笑って、イリスは歩き出した。

 沼の奥へ奥へ。さらなる深みへ。膝までだった液体が腰までせり上がり、下半身の感覚がなくなっていく。

 自分が消えていく感覚に、不思議と恐怖は感じなかった。更にもう一歩……イリスが、進みかけた時だった。


『イリスちゃん!』


 足が止まる。振り返る事はできなかった。声の主が、自分と同じ奈落の淵にいるわけがない。

 だからこれは幻だ。私の弱い心が生み出しただけの、振り返ったら消えてしまう、儚い幻。


『よかった、ここにいたんだね。早く帰ろ?』


 幻は語りかけてくる。イリスの心の中で泣いている、幼い姿の自分を引きずり出そうとするかのように。


「ごめんね、紫苑。そっちには行けない」


 だからイリスは、それを拒絶した。渦巻く水面に視線を落とし、そのまま言葉を続ける。


「あんたを助けた時から、予感はしてたんだ。私はあの街で、あいつが体験したことと、同じことを繰り返してるんだって」


 過去が未来に影響を及ぼすなんてあり得ない?

 過去と同じ事は起きない? そんな事は絶対に、絶対に認めない?


 嘘だ。私の言った事は全部嘘。

 私は自分の身に降りかかった過去を、そのまま紫苑に繰り返しただけだった。


「同じ結末に辿り着いて、絶望しながら消えていく……これが、私に与えられた報い。あいつから私に課せられた、呪いなの」


 だから私は、あんたに救われるわけにいかない。幻だと分かっていて……縋るわけにはいかない。

 歯の隙間から絞り出した声に、幻はしばらく答えなかった。


『イリスちゃんはさ、たくさんの人に愛されてきたんだね』

 

 そして、ようやく返してきた言葉は、イリスが予測していない言葉だった。


「愛され……て?」


『そうだよ。エリック先生も、オーウェル先生も……それからたぶん、あの教会の人達も』


 分からない。分からなかった。なぜ、紫苑の幻がそんな事を言い出したのか、イリスには全く理解ができなかった。


「教会の連中は、私の恩人を殺したのよ。あいつを殺して……私の事も殺した。それのどこが愛だっていうの」


『たぶん、語れるほどは私も分かってないかな。イリスちゃんの恩人の事だって、よくは知らない。

 でも、あの人達ね……すごい苦しそうだったの。

 悩んで苦しんで、あの人達なりに出した答えが、たまたま私達と違っていた。あれはきっと、そういう事なんじゃないかなって思うの』


 音のない波紋が背後から迫ってきた。振り返ると、紫苑の幻が沼の中に入ってきているのが見えた。

 しかし妙だ。振り返った先にある紫苑は、なぜか私よりも背丈が大きい。


『大人の人達ってさ、きっと私達が思ってるよりも不器用なんだよ。

 イリスちゃんの事を助けたい、未来をあげたい、苦しみから解放してあげたい……思ってる事はみんな同じなのに、イリスちゃんの事を想って行動してるのに、全部裏目に出ちゃったんだ』


 気絶していた紫苑は、ジェシカと自分の会話を知らないはず。

 そんな思考が湧く前に、イリスは後ずさっていた。

 イリスはもう、胸の辺りまで血の沼に浸かっているのに、紫苑は膝までしか沼に沈んでいないのだ。


『ジェシカさんは、イリスちゃんに銃を向けたんだよね。でも、ジェシカさんはイリスちゃんの事を本当に大事に思ってる。自分がやった事を、悲しいって思ってた。

 イリスちゃんも、それを分かってたからジェシカさんを助けたんだよね。あの人の事……許したんだよね』


 大きな少女に見下ろされたイリスは、とうとう震えた。

 これはただの幻なのに。なんでこの人は、この()きな()は、私に近付いてくる。


『エリック先生も、本当はイリスちゃんを閉じ込めたくなかった。撃ちたくなんてなかった……でも、きっと、そうやって迷ってる間に、選べる選択肢がなくなっちゃったんだよね。

 でも、イリスちゃんはエリック先生にも怒ったりしてないでしょ?』


 彼女はとうとう、こちらに向かって手を伸ばしてきた。大きな手に肩を掴まれて、イリスは反射的に口を開く。


「──嫌! こっちに来ないで!」


 イリスは叫びながら、腕を振り回した。目の前の大人は殴られて、それでも動じない。痛がらない。

 立ち向かいようのない影が、大人が、覆いかぶさってくる。イリスは思わず、目を瞑った。


『……ねぇ、イリスちゃん。この世界はさ、なんでこんなに寂しいんだろうね』


 しかし、痛みも苦しみも感じない。目を開けた時見えたのは、紫苑の細い肩だった。


『誰かを愛したい、愛されたいって、皆が願ってる。こんなにも祈っているのに……愛したい気持ちが、呪いになっちゃうなんて……寂しいね。苦しいよね』


 イリスを抱きしめた紫苑は、泣いていた。

 ずっとそうしている間に、強張っていたイリスの身体からもやがて力が抜け、若草色の瞳に涙が滲む。

 温度のない世界の中で、紫苑の身体だけが暖かい。それは、生きているものだけが持てる温もりだった。


『……ねぇ、イリスちゃん。イリスちゃんはさ、エリックおじさんとジェシカさんの事、怒ってないよね』


 紫苑は、静かにイリスと向き合った。

 乱れた髪をかきあげ、うっすらと涙で濡れた頬の輪郭を、指先でなぞる。


「ええ」


『教会の人達がきっと、イリスちゃんの事を想って行動してたって事……理解はしてくれる?』


「……紫苑に何かしようとした事は、絶対に許さないけど」


 ふくれっ面で答えた子供に、紫苑は苦笑しながら頷いた。


『それでもいいよ。私だって、アレは理不尽だーって思ったもん』


 くすくすと笑ってから、紫苑は躊躇うようにイリスの背後を見た。

 その視線を追ったイリスは、思わず目を細めた。


『じゃあ、さ……その人の事も、許して貰えないかな?』


 紫苑がその人、と呼んだのは光の球だった。

 『その人はずっとイリスちゃんのそばにいた』のだと紫苑が説明しても、イリスには分からない。そもそもソレは、人の形すらしていなかったのだから。


「……」


 それでも、イリスはその光に手を伸ばした。

 光の色は、色とりどりの落葉が舞う、秋の木漏れ日色。はちみつのような、あわい黄昏の色。心の奥底を揺り動かし、懐かしい記憶を呼び起こさせる……そんな光だった。


 紫苑が息を詰めて見守る中、イリスは宙に向かって手を伸ばした。幼く大きな若草の瞳に金色の光が映り込み、そして──



『あぁ、わしは……私はこの子に、なんて事を……』



 ──次の瞬間、映像が弾けた。血に霞んだ誰かの視点で、イリスは誰かを見下ろしている。

 目の前にいるのは、軍服を着た子供だった。

 身体がおかしな方向にねじ曲がった状態で倒れ、顎骨とそれを繋ぐ筋肉がむき出しになっている。

 胸まで伸びた金髪は絵筆のように赤く染まり、惨劇の跡を覆い隠そうと必死になっていた。


(これ……私だ。『イングリッド』だった時の、アナストリアにいたときの、私……)


 あいつに駆け寄ろうとして途絶えた意識の、先の光景。

 虚ろな眼窩からどろりと落ちる塊は、かつて見慣れた若草色を宿している。


 イリスはそれから目を背けたいと思った。しかし視界の主人はそれを許さない。 

 瓦礫の中にがくんと膝をつき、震える手で、『イングリッド』を抱き上げる。

 

『そんな……あぁ、嫌だ、やめてくれ。わしは、私は、お前だとは、思わなくて』


 ぜいぜいという荒い息遣いの合間から聞こえる声の持ち主が、そして今イリスが視界を借りている身体の持ち主が誰なのか、イリスはもう気付いていた。


 彼女は震える手を『イングリッド』にかざすが、星沁の光は霞んで消えてしまう。

 腹に食い込んだ弾丸が命を吸い取り、視界も次第に暗くなっていく。


『わしの身体も……もう、保たない』


 悟った声の主から、絶望の声が上がった。


『このままでは残らない。私の生命も、わしらの記憶も、この子の生命も! あぁ、だめだ。そんなのはダメだ……!』


 流れ出る生命の液体が滴り、混ざり合い、うっすらと積もった雪を紅蓮に彩る。

 頭を抱え、絶望の歌を張り上げかけた彼女は……動きを止めた。


『わしの生命を保たせるには、星の力が足りん。だが、人間の生命を維持する程度なら……?』


 可能性を思い付いた彼女は、呼吸を荒げた。イリスには理解できない迷いに思考を乱し、だが刻一刻と迫る死を目前にして、決断する。


『はちみつ髪……いや、イリスよ』


 彼女は、抱き上げた少女と額を合わせた。遠くから見れば、今にも食らい付きそうに見える位置に、血に濡れた牙がのぞく。


『お前に、私の力を、忍び寄る足を、地上の星をも嗅ぎとる鼻を……全てあげよう。

 この身体に宿る全てを、ひ弱なお前に与えよう。だから、どうか……』


 お前の旅に、私が、わしらが守ってきた記憶の……ひとかけらだけでもいい。共に連れて行っておくれ、わしらを絶やさないでおくれ。


 記憶の残像は、もはや声に出さない祝詞を紡ぎながら、光に消えていく。

 イリスは、『あいつ』の身体に同期して見えていた記憶が遠ざかり、夜空に身を飲み込まれかけている事に気付いて、走り出した。


「──待って! 待ってよ、何よそれ!」


 そんなのは知らない。

 私はあんたの記憶に飲まれて、周囲に憎しみの感情しか覚えられないまま死んでいく事を課せられた。そう思っていたのに。


 ──あいつが私に流し込んだのは、星沁だけじゃない。

 自分の記憶を、生命そのものを注ぎ込む事によって助けられたのだと、イリスははっきり自覚した。


「そんなの、言われなきゃ分からない! あんたと私じゃ、価値観が違いすぎたのよ!

 あんたの愛は痛くて、つらくて、重すぎて……みんな、私まで、呪いだと思っちゃったんだから!」


 向かい風の中で必死に走る。黄金に輝く世界に浮かび上がった、抱き合うふたりの影に手を伸ばす。


「忘れない。忘れないし、あんたから貰ったものはちゃんと背負って行くわ! あんたがくれた足で、目で、ちゃんと最期まで旅をしてみせる!」


 手が届く。こちらを振り返りかけている、大きな背中に手が触れる。


「それがあんたが課した呪いであり、祝福なんでしょう。ねぇ、そうなんでしょう『思い出させる者(コンヴェキノ)』! 」


 振り返った瞬間、あいつ──『思い出させる者(コンヴェキノ)』と呼ばれていた妖獣の記憶は、大きな口に笑顔を浮かべた。

 駆け寄るイリスに向かって手を広げ、抱きしめ、そして──



『どうかお前の旅路に、風の守護と祝福がありますように』



 ──(ほど)けた光は、イリスの腕をすり抜けた。


「あ……あぁ」


 光は蛍のように舞い上がり、闇色の空に黄金色が溶けていく。


 憎たらしいほどに広く、青い空。赤く濡れた苔の感触。

 木洞の形に切り取られた景色。樹々の隙間から溢れる、木漏れ日の揺らぎ。


 舞い散る紅葉。

 陽光に輝く水面を弾きながら着水する水鳥の群れ。木の実をほおばり走っていくリス。草地で沈黙したまま、動かない星夜術刀(シュテルン)


 からっぽの自分を抱き寄せた、(あだ)し友の大きな手──様々な情景が波のように押し寄せては、消えていく。


「うぁ、あぁあぁあああ……!」


 イリスは泣き出した。乾いた砂地に降る雨のような、静かな哀しみに胸を満たされて、涙が止まらなかった。

 だから彼女は、己の若草色の瞳に黄金色が焼き付いた事にも、自分の手から包丁が滑り落ちた事にも気付かなかった。


「……」


 イリスはそのまま、自分を抱き寄せた誰かにむしゃぶりついて泣き続ける。

 消えゆく黄金の光は、抱き合う少女たちの影を暖かく包んでいた。



◇◇◇



 幼子だったイリスの姿が、自らの腕の中で変わっていくのを、紫苑は息を詰めて見守っていた。


 小さかった身体は紫苑よりも頭ひとつ分大きくなり。

 長い金髪は解け、乱雑に切り揃えた髪が姿を現わす。

 最終的な彼女は、紫苑が見慣れていたイリスのものとほとんど変わらない姿だった。


 唯一違うのは、その瞳の色だ。明るい若草色の中に、秋の夕暮れを彷彿とさせる金色の斑点が見えている。

 『森の木漏れ日』──そんな言葉が、紫苑の頭をよぎった。


「……そろそろ離して貰える?」


 しばらくすると、平手でぐいっと身を押し返された。

 強気そうな眉、生意気そうな垂れ目に、薄い唇。

 彼女は紫苑が見慣れた姿をしているのに、百年を生きた賢者のような、穏やかな表情を湛えているようにも見えた。


「ごめんなさい、紫苑。私があんな事をしなければ、こんな……」


「ううん、大丈夫だよ。だから、早く帰ろ?」


 紫苑が手を引くと、イリスは戸惑ったように言った。


「帰り方なんて分からないわ。真っ暗で、どこにも道なんて存在しないもの。そもそも、私はもう」


「生きてるよ」


 紫苑は言い切った。証拠は無いのに、確信だけが胸の中に満ちている。

 

「私もイリスちゃんも、生きてるよ。私たちはまだ、旅を続けられる」


「でも……」


「あっちに、光の風みたいなのが流れてるでしょ? あの風に逆らって歩いていけば、帰れると思うんだ。そっちの方角からね、私の鈴の音が聞こえるの」


 紫苑が光の風を指で示しても、イリスには分からないようだった。

 紫苑が指した方向を見て眉をひそめ、やがて諦めたように首を振る。


「あんたの言ってるものが何なのか、全く分からないわ。今の私にはあんたしか見えてないし、あんたの声しか聞こえてない」


「じゃあ、私が先に歩くよ。イリスちゃんは、私の手を握ってて」


 戸惑うイリスの手を取って、紫苑はさっさと歩き出した。

 この異様な空間に道と呼べるようなものは存在しないが、聞き慣れた鈴の音を頼りに進んでいく。


「あんたって、見た目よりも強いわよね。何というか……精神的に」


 背後から聞こえた声に、紫苑は苦笑をこぼした。


「そんな事ないよー。イリスちゃんよりも、判断するのに時間がかかるってだけだもん」


「それでもよ。私よりも意志が、ずっと……」


 と、そこで。紫苑の身体はがくんと背後に引っ張られた。

 慌てて振り返ると、イリスが膝から崩れ落ちている。


「イリスちゃん⁈ 」


「ごめん……私の方は、わりと本気で、動けないの。身体が重くて、足が……」


 鈴の音に近付くたびに身体の感覚が戻る紫苑とは対照的に、彼女の身体は揺らぎ始めていた。

 まるで、風に流されていった、あの光たちのように。


「──っ!」


 紫苑は迷わなかった。イリスの両腕を自らの肩に掛け、引きずるようにして歩き出す。

 向かい風を叩きつけられ、自身も身体が重くなって行くのを感じながら、それでも歩みを止めない。


「紫苑……私の事は」


「ぜったいに置いていかない!」


 叫びながら、一歩を叩きつけた。

 生前の顔を宿した光たちとすれ違いながら、背中にかかる重さに耐えながら、それでも歯を食い縛って進み続ける。


「だって私たち、まだ入学すらしてないんだよ。せっかく学問の街にいるのに、入学前に脱落なんて、つまらないと思わない?」


「……そう、ね」


「大人の人達はさ、私たちを箱庭みたいに囲って、押し込める事で守ろうとして来た。この後もさ、ちょっと窮屈な思いをする事はあるかもしれない」


「……」


「でも、大丈夫だよ。先生達が大人になったみたいに、私たちだって成長していくんだから」


 まぶたが重い。足の感覚が鈍くなっていく。背後のイリスからは、浅い呼吸の音しか聞こえてこなくなっていた。


「すぐにとは行かないかもしれないけど……ちゃんと話し合って、向き合いに行こう。

 そしたら……苦しい事も、寂しい事も、きっとなくなるよ。お互いを想う、気持ちが、すれ違わないように、きっと……」


 真珠色に輝く出口は、もう目前だ。それなのに紫苑は、最後の一歩を踏み出せなかった。


「もうちょっと、なの、に」


 身体が解け、浮き上がり。意識が遠のきながら、ゆっくりと風に流されていく──紫苑が絶望を宿した、その時だった。


『…………』


 トン、と。何かに背中を突かれて、紫苑は前につんのめった。

 頭から真珠色の光に突っ込んでしまい、訪れた冷気が、強制的に目を覚ましてくる。


「な……」


 完全に飲まれる直前、紫苑は背後を振り返った。

 一瞬だけ見えたのは、星空を背景に立つ、クマともオオカミともつかない白銀の獣。

 『それ』は黄金色の光に飲まれながらも、こちらをまっすぐと見据えていた。


「……」


 紫苑は無言で頷き、即座に前を向いた。

 真珠色の空間を通り抜けた瞬間、刹那に訪れる闇と、重すぎる身体の感覚。

 紫苑は、痛いほどに冷たい空気を吸い込むと同時に──



「招鬼:【竜牙旋風(りゅうがせんぷう)】」



 ──竜牙鈴(・・・)を、掴んだ。


 

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