表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/150

第37話「私は裏切らないよ。リーネとケインの名にかけて」

この話から第二部ラストのシリーズです。6話+短文エピローグ構成で、本日12時から18時まで1時間ごとに投稿します。


1/6

「…仮想世界で、本格的な戦争?」


 ようやく国内の試写会巡業が終わり、さて、国際展開はどうなるんだろと戦々恐々していた時、そんなトンデモ情報が入ってきた。


「はい、あの隣国の一方の勢力が、もう一方の勢力と国際調停機関に、そう提案してきました」

「そんな提案、黒幕は…」

「渡辺女史、でしょうね」


 暗躍最高潮って感じだ。何考えてんのよ、あの渡辺(なにがし)。そんな提案に乗るその勢力の幹部達もだ。VRゲームに現実の大部隊を投入したと思ったら、今度は現実の戦争にVRゲームを投入ですか?


「提案勢力の言い分としては、『国民や郷土が戦いで荒れるのは本意ではない。しかし、戦いでしか決着がつかないのも事実。ならば、仮想世界で決着をつけようではないか』と」

「頭湧いてんじゃないの」

「春香さん、キャラ変わってますよ」

「わかってる」


 変わってるっていうか、たぶんこれが私の素だ。頭のなかではわーわーきゃーきゃー言ってても、なかなか全てを口に出せない。だから、『役割分担』で吐き出しているのかもしれない。ロールプレイ万能説。


「これこそ、無視するべき」

「そうなのですが、調停機関がぜひ提案に乗ってほしいと…」


 提案した勢力曰く、その本格的な戦争のための仮想世界の構築と戦争進捗の監視を、我らがFWOグループにぜひ任せたい、とのことだ。(なにがし)の罠だと言っているようなものである。

 もっとも、罠だと理解しつつも、何をどうしたいのかが相変わらずわからない。これまでの暗躍は、私の能力を調べるための機会を作ったり、直接接触したりするためのものだった。では、今回は?

 もしかして、私の能力を過大評価しているのだろうか?一国の紛争に巻き込んでも十分利益が得られるような、そんな途方もない金のなる木だと思われているのか?失笑モノである。私のことながら。


「調停機関としても、人命が失われずに決着がつく可能性があるなら、その可能性にかけたいわけですよ」

「なら、他の企業や組織でも」

「春香さん、以前も申し上げましたが、我々は春香さんによって世界随一の多国籍企業として君臨してしまっているのです。他にそのような責務を負える企業は存在しませんよ。あの『コアワールド』管理組織でさえも」


 ある意味、自業自得、ということですか。これも織り込み済みで、手のひらで転がされているのだろうか。過大評価しているのであれば、あるいはその通りなのかもしれない。迷惑な話である。

 しかし、『コアワールド』管理組織も大したことないなあ。粛々と管理業務をこなしていくだけの体制なのだろうか。最先端技術で人類社会を平和に導く秘密国際組織じゃないのか。ああ、我が厨二病に待ったなし。


「ちなみに、『コアワールド』管理組織は、あの渡辺女史を中心に設立されたのではないか、という噂があります。更に言えば、そもそも『コアワールド』自体が、女史が大学の博士課程在籍中にたったひとりで開発したとも」

「!?」

「当然、組織の幹部達は否定していますけどね。『コアワールド』は各国の学術研究機関が共同で作り上げ、それゆえに緻密で広大な仮想世界を実現している、と。ひとりでなんて、不眠不休で何十年かかっても作れないとも。実際、その通りですが」


 仮にその噂が事実だとしたら、渡辺 凛という人物は、とんでもない成果をたったひとりで生み出した上に、その成果を誇ることなく管理組織に委ね、人知れず世界全体に多大な貢献をしてきたことになる。

 なにそれ、いい人じゃん。そんないい人が、なぜ悪堕ちしてまで私なんぞにこだわる?所詮は、噂ということか。


「話がそれましたが、そういうわけで、この案件は引き受けることになりそうです。我々自身、本当に、本当に不本意ですが」

「私に、拒否権はない。『エンターテインメント』の取締役会が決定したのなら、そのことに反論はしない」

「でも、春香さんが何か言えば、取締役会の結論が変わるかもしれませんよ?いえ、変えるでしょう。我々グループ社員全員、特に、元FWO創立時のメンバーは、春香さんが嫌がることは絶対にいたしません」


 おい、私が嫌がることを散々やってきた田中さんがそんなことのたまうか。

 いや、わかってる。わかってるよ。嫌がっていても、運営やプレイヤーのみんなが喜んでくれるのなら、私は何だってやってきた。それこそが、私の攻略とスローライフの(いしずえ)だったのだから。

 私はみんなを裏切らないよ。リーネとケインの名にかけて。



【エリア】FWO総合スレPart3122【飽和】


211: 名無しの弓使い

なんか、運営がとんでもない仕事引き受けたらしいな


212: 名無しの重騎士

>>211

一国の紛争を解決するためとはなあ

我らがFWOはどこに向かうのか

いや、クルーズ船の主砲はもういいから


213: 名無しの呪術師

>>212

クルーズ船はその仕事で活躍するらしいぜ

といっても、クルーズ船エリアじゃなくて現実のな

春香ちゃんが歌ったあの船、FWOに払い下げられたそうな


214: 名無しの八百屋

>>213

また機材積んで技術スタッフが出向するらしいな

あと、なぜかプロモーションの田中氏も


215: 名無しの魚屋

>>214

途中の主要国で試写会だよ!

春香ちゃんは日本からだけど


216: 名無しの釣り師

>>215

いつの間にか玉の輿に乗りやがったあねさんちっす


217: 名無しの魚屋

>>216

そんなこと言うならもう寿司あげない


218: 名無しの釣り師

>>217

ごめんなさい

マジごめんなさい


219: 名無しの門番

食い物の力はすごいな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=463137323&s ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ