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第33話「食事会という名の合コンはもう聞き飽きました」

 FWOでもリアルでもいろいろあったが、大学生活も順調である。大学生の本分は学業だもんね!


「この自然数全体の集合というのは、無限集合として扱って良いのですよね?」

「ええ、そうね」

「でも、自然数全体の集合は、可算集合でもあるのですよね?」

「ああ、可算だからといって有限とは限らないのよ。つまり…」


 ああ、この先生も素敵な人だ。女性としても憧れるなあ。どこぞの渡辺(なにがし)とかいう若作…人と違って。

 うん、将来は数学の先生といっても、研究者としての大学の先生もいいかもしれない。ちょっと考えてみようかな。


 ばいん、ばいん。


 …よ、容姿と学問は関係ないよね?よね?


「どうしたの、佐藤さん?」

「…いえ、なんでも。ありがとうございました」

「でも、佐藤さんって、こうして何かを学んでいる時は、またイメージ違うわね。普段とはもちろん、あの記者会見での様子とも違うっていうのかな」


 ああ、そうかもしれない。昔博覧会で会った、いろんなことを丁寧に教えてくれたお姉さんの影響かな?それがロールプレ…


 ―――ッ


「…!?」

「佐藤さん、本当にどうしたの!?大丈夫!?」

「い、いえ、なん、でも、ないです…」


 …どうしたんだろ。10年くらい前に両親と出かけた博覧会のことを思い出そうとしたら、頭が痛く…ううん、痛いっていうよりも、何かが急に溢れ出ようとするような…んー、もう、消えちゃった。

 これまでにも何度か起きたような記憶があるんだけど、結局何だったのかわからない。まるで、夢の中でいろいろなことがあったような気持ちだけが残って夢から覚めたような…。


「そう、何もないならいいけど…。あ、そうだ!佐藤さんって、言語学の伊藤先生のことよく知ってるわよね?もし良かったら、一緒に…」

「伊藤先生、既婚者ですよ?中学生の、お子さんがふたり」

「わ、わ、わかってるわよー!ただほら、同じ職場の同僚として、他の先生方と一緒に食事をして交流したりとかー、ほら」


 食事会という名の合コンはもう聞き飽きました。伊藤先生、やっぱりモテるんだなあ。というか、不倫、ダメ、絶対。

 はあ…大人の女性になるというのは、こういう風になってしまうことでもあるのかもしれない…。


「あ、それか、ケインくんの中の人が男の人だったら」

「お断りいたします」

「ひっ!…そ、そんな顔しなくても、何もしないわよ、もう。ほら、ケインくんの知り合いとか…」


 …そんな顔?私、どんな顔したんだろ?先生、なんか少し怯えてるんですけど。ん?



「ああ、歌詞の分析は少しずつ進んでいるよ。基の言語の体系や性質がわかるにつれてね」

「そうですか…。あ、この単語、『大河』っていう意味、だったんですね」

「同系統と思われる言語群と比較するとね。ただ、切り出したまとまりが必ずしもひとつの意味をもつ単語とは限らない。他の言語と似ているからという先入観で切り出してしまっただけかもしれないし」


 んー、なかなか難しいなあ。

 伊藤先生はもちろん、民資研の先輩方も頑張ってはくれてるんだけど。


「歌詞の全体の意味を把握して日本語訳にまでもっていくには、まだまだ時間がかかりそうだね」

「そうですか…でも、しかたがないですよね」


 でもまあ、今までわかった意味合いで…


「Fbalk sylok wpoc wat et kaptau hwo, orshpamf, ...」


 …こんな感じかなあ。あとは…


「Xhayy wkiyko, tens nocf texpi prup, ...」


 …うん、意味があまりわからないよりはマシかな。

 ケインの中の人の見ていた風景に近づいたのかな…。


 ん?


「佐藤さんが入ってくれて、本当に良かった…」

「生きてるって、こういうことだよな…」

「ああ、癒される…」


 民資研の先輩方…ちょっと気持ち悪いです。


「大丈夫だよー、録音してバラまこうなんて考えてないよー」


 あ、はい、そうですね、そうですよね。

 今日ここであったこと、後で田中さんに話そう、そうしよう。



 少しだけど歌詞の意味がわかってきたということで、あらためてあの男の子のいる現地FWOを訪ねることにした。こないだ押しかけた時は時間が合わなかったんだよね。

 今回は急な話ということもあって、リーネとケインのみで。私ひとりと相手の男の子の都合だけ調整がつけばいいしね。でも、今回の方が新婚旅行っぽいなあ。

 待合せ場所は、この間もお世話になった、マスター他愉快な傭兵仲間の方々のレストラン。でも、待合せ場所にできるほどレストランが有名になったらしく、傭兵プレイヤーは廃業したらしい。


「お、お久しぶりです、佐藤、春香さん。あ、リーネさん、の方が、いいですか?」

「ひさしぶり。どちらでもいいよ…ん?その娘は?」

「え、えっと、その、佐藤さんに、会わせたくて…」


 当時の『ケイン』アバターの男の子の隣に、リーネ似のアバターが立っている。手をつないで。

 ははあ、なるほどなるほど。この娘は中身も女の子だね?リア友だね?よきかなよきかな。

 うん、サイン奮発しちゃうよー!


「…」

「ありがとう…」


 ケインとしての私が、『春香』アバターのリーネである私に、そっとハンカチを差し出す。

 ふふふ、こんな時でもロールプレイを忘れない私ってえらいよねー。えらいえらい。

 …ぐすん。私も、振り切ろう…。

突然で申し訳ありませんが、第二部第二章最後にあった凛と春香のセリフを第一部エピローグとして書き換え、移動させました。それに伴い、後書きやら章構成やらも修正しています。この方がいいかなあと思って書き換えたのですが、更新チェック方法によっては読んでいる方に御迷惑をおかけしたかもしれません。


活動報告でも少し捕捉しましたが、しばらく1日1話(おそらく12:00更新)が続きます。今のところの予定では、10/1(日)までこのペースが続き、10/2(月)に一気に第二部ラスト数話分を投下する見通しです。現在、SSのネタを模索中。

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