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第24話「えへ、なんか照れる。…思ってみたかっただけだよ」

6/8 -- 2017/09/22 17:00

 現地の宿に宿泊。という体裁で、一旦ログアウト。

 ちなみに、新婚旅行中の設定の『春香』とケインは、宿の同じ部屋から。えへ、なんか照れる。…思ってみたかっただけだよ。いいじゃんかー。

 しかし、ミリーとビリーも同じ部屋なのはいかがなものか。『上司』さんとミッキー高橋さんは、まあ、妥当。一人部屋の伊藤先生もしかたない。


「現実世界で、50分後に」

「FWOでの8時間ちょっとだね!じゃあ、おやすみー」

「おい姉貴、引っ張るなよ」


 ホントに大丈夫かいな、この姉弟。ログアウトせずに8時間もいちゃついてますとかないよね?

 まあ、今回は見逃そう。偉そうだな、私。


 さて、その約8時間でカタをつけないと。



 現地FWOからログアウト後、早速あの仮想世界に接続してログイン。私の当時の旅人ロールプレイの『リーネ』アバターがまだ残っていて、なんとなく嬉しくなる。FWOのそれより更にシンプルだけど。

 一緒にアクセスしてもらった田中さんと伊藤先生は、アバター新規作成。やはり個人VRローカルサーバの転用だからなのだろうか、アバターの種類が少なく、カスタマイズの幅も狭い。

 その世界の初期ポータルポイントに、小娘とおっさんとおじさまの3人が降り立つ。どちらがおっさんでどちらがおじさまかは言うまでもない。カスタマイズにもその人のセンスが出るものなのだなあ。


「これは…」

「酷いですね…」

「…」


 『最初の町』が荒廃していた。ずっと放置されていたのであればそれもしかたがない。しかし、明らかに銃弾や砲撃、地雷などの衝撃で荒れているのは…なんとも言えない気持ちになる。

 いや、それだって、別にこの世界は私の所有物ではないのだし、今までログインしていなかったこともあって、このような状態にとやかく言える立場ではないだろう。


 でもね。


「おい、君、大丈夫か!?」

「うう…」

「こっちのプレイヤーも苦しそうだな…」


 明らかに痛覚設定されているであろうアバターがあちこちケガをしていて、そんなプレイヤーが何人も道に転がっていたり壁にもたれかかっていたら、そりゃあ悲惨に思うだろう。

 まあ、ケガといっても、戦争VRゲームと同じく、リアルな傷口とかが表現されているわけではない。痛覚にしても、ケガ判定部位が圧迫されたり、状態によって体の動きが鈍ったりする程度だろう。

 とはいえ、これらが『戦闘』の結果起きたのであれば、精神的には厳しいのではないだろうか。足にケガを負ったという判定で引きずって歩くのはとてもつらい。見ている方も。


 見ていて辛いとはいえ、何かできるわけでもないのがもどかしい。声はかけたものの、とりあえず放置するしかない。


「戦争ジャンルに世界設定が書き換えられたにしても、概してこのような設定を公共的な仮想世界に行うのは、条約で禁止されています。たとえ、現実と同じ痛覚設定ではなかったとしても」

「あと、たとえ個人用VRローカルサーバであっても、アバターにはこのような設定ができないよう施されているはずですよね」

「はい。まあ、非合法の設定スクリプトやNPCも裏市場で流れてはいるのですが」


 そう言えば、あの詐欺事件で被害を隠していた人が、そんな非合法なデータのことを匂わせるようなことを言っていたという話を聞いたなあ。美少女NPCとか。

 なんだろー、はるか、よくわかんなーい。…嘘だよ。私はその方面は耳年増だよ。ふん。


「なら、この世界の情報を集めて、しかるべきところに、報告する」

「今見ているこの状況のスクリーンショットを撮って提出するだけでも良さそうですけどね」

「でも、また場所情報を変更されたら、見失う」

「そうなんですが…」


 なら、やることはひとつ。

 この世界のサーバシステムの場所情報を固定してしまえばいい。


「VRのコアプログラムにアクセスするのですか!?」

「そんなこと、プレイヤーとしてできることなのですか?」

「普通は、できない。でも、この仮想世界のシステムは、古い。不具合が、残っている」

「セキュリティホールを突いた干渉は、運営に携わったこともある私には不本意ですが…」


 そこはほら、アバターを動かしていたら不必要なデータにぶち当たって、ちょっと無理をしたら、たまたま穴に入り込んだだけなんだよ。そればっかだな、私。

 そんなワンパターンな言い訳を考えながら、プレイヤーとしてVRコアプログラムにアクセスできる場所に移動していく。

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