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第23話「いいもん、思い切り自作自演しちゃうもん」

5/8 -- 2017/09/22 16:00

【穏やか】FWO総合スレPart2761【ゆるゆる】


234: 名無しの重騎士

【悲報】リーネちゃんまた不在


235: 名無しの八百屋

>>234

しかも、ケインと新婚旅行だとよ

はあ…


236: 名無しの門番

姉御と商人も同じだろ、アレ

姉弟だが


237: 名無しの釣り師

魚屋のミッキーもリアルで付き合ってるとか

リア充にも程がある

やっぱり縁切るか


238: 名無しの漁師

>>237

お前まだ切ってなかったのかよ


239: 名無しの釣り師

>>238

寿司がんまくてな…


240: 名無しの剣士

リーネ&ミリーがいないとボス攻略がまた滞るな

なんか、ハルカもしばらく活動休止とかって


241: 名無しの槍使い

んだよ、ハルカ使えねえな


242: 名無しの魔法剣士

>>241

ん?妾の刀のサビになりたいのか?


243: 名無しの呪術師

げっ



 だって、しかたないじゃん。今回は10倍加速下での活動がほとんどなんだから。

 しかし、掲示板ひさしぶりだなあ。ハルカの時はたくさん読み書きしてたっけ。

 …ログってまだ残ってたっけか。運営No.00として隠蔽するべきか。横暴な運営だな、私。


 現地サーバへの転移当日。

 集合場所は、毎度おなじみ魚屋1号店。


「あ、ねえ、リーネ。現地で討伐とかあんまりしないなら、クルーズ船エリアの時のように『春香』アバターで行ったら?」

「…え?」

「リーネとケイン、じゃなくて、春香とケイン。こないだはあんまり見てないよね?」


 ミリーの言う通りかも…。

 あの男の子の都合がつかなくて『春香』アバターのことは考えてなかったんだけど。


「…!ミリーさん、それいいですね!」

「そうね!さあさあ春香ちゃん、早くお着替えしてきて!」


 ああ、上司な田中さんとミッキー高橋さんがヒートアップ。このふたりはいろいろ知ってるからなあ。

 同じく今や知ってる伊藤先生は苦笑するだけだけど。


 ということで、少し待ってもらってお着替え…いやいや、ログインし直し。

 ちなみに、私はもはや運営権限でFWOにいくつもアバターを作れることになっている。

 この『春香』アバターだって、どちらかというとお仕事用だ。本来の姿の方がお仕事用って、ワーカホリックかい。


「んー、こうしてケインと並ぶと、リーネの時とあんまり変わらない?」

「先輩、背格好はアバターと同じだしな。あ、でも」

「ビリーくん、その先は言わないで」

「春香が滑らかに喋った…」


 ぺったん、ぺったん。ぐっすん。

 いいもん、もうこうなったら、思い切り自作自演しちゃうもん。


「うわ、春香、大胆」

「腕を、組んでるだけ」


 ちょっと、恋人っぽい感じで。

 手をつなぐのもいいかなあと思ったんだけど、そっちの方がなぜか恥ずかしい…。


「おおお、これは…!」


 素材厨の上司な田中さん大復活。しかし、高橋さんが見てる前で…。


「かわいい。かわいい」


 おい。魚屋ミッキーも元はケイン厨だったでしょうに。



 そうしてようやく、現地サーバの第1エリアに転移。

 んー、まだまだプレイヤーが少ないな。騒ぎにならなくていいけど。

 クルーズ船エリアの時は、甲板まで移動する時が酷かった…。


 あ、ひとりの女の子が寄ってきた。


「あ、あの、佐藤春香さん、ですよね?」

「うん」

「握手して下さい!」


 喜んで握手する。いきなりサインとかハグとかよりいいよね。…うん、私も反省してるよ?


 しばらくそんなことを繰り返しながら、みんなで第1エリアを歩いていく。

 んー、街並みは日本サーバと同じだなあ。こちらの人達にとってはこの方が落ち着くのかな?

 でもそれって、日本サーバで江戸とか平安京とかにしてるようなものだよね。捉え方が違うのかな?


「よ!ウチらのレストランにようこそ!」

「よろしく」

「素敵な店ですね」


 傭兵プレイヤーの店は、なぜか日本のザ・洋食屋だった。なんでも、昔流行ったジャパニメーションの影響らしい。あと、傭兵プレイヤーではなくレストランの店主だ。マスターと呼ぶことにしよう。…いいよね?

 ちなみに、リーネじゃなくて『春香』のアバターで来たけど、と謝ったら、むしろおっけーと言ってくれた。マスターの料理仲間から『キショーカチ』とか日本語の単語が聞こえた気がしたけど気のせいだよね気のせいであってくれ。


 クリームシチューおいしかったです。え、もっと他のも食べろ?好きなんだもん…。

 お返しに、というわけではないけど、ミッキー高橋さんより刺し身&寿司スキルを贈呈。涙を流して喜ぶマスターとその仲間。


「春香ちゃん、はい、あーん、お寿司だよ♪」


 スキルと引き換えに、ついに高橋さんの餌食となった私。今回はあきらめるしかないか…。


「ぬぐぐ…」

「ううう…」


 血涙再びのミリビリ姉弟。

 もうなにがなんだかわからない。これが典型的な日本文化と思われないことを祈る。



「あ、そうそう、あの戦闘マニュアルなんだが」

「ん?」

「別の仮想世界にデータとして流れているのを見た者がいた」

「「「!?」」」


 マスターの言葉に、私とケインと『上司』さんが反応する。ミッキー高橋さんと伊藤先生も事情は知っているが、知らないふりをする。姉弟はふたりしてパスタにがっついている。


「その人に、会える?」

「いや、FWOにはしばらくアクセスしないって言っていた。だから、その仮想世界の情報をもらっておいた」


 そうして、示された情報。


「…!?」

「春香さん、どうしました?」

「位置情報は、違うけど、識別コードが、同じ…!」


 見つけた。『ケイン』と過ごした、あの仮想世界。

 その世界にも、あの戦闘マニュアルのデータが?

 そして、あの行方不明の社員の情報も…?

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