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第17話「せっかく黒歴史に悶えながらロールプレイしているのに」

【不敬】FWO佐藤春香様を崇めるスレ【滅殺】


355: 名無しの信者

春香様に男は要らない

常識


356: 名無しの信者

でもよう、春香様とて人間だろ

いつかは結婚して子供ができて


357: 名無しの信者

>>356

春香様は男などいなくとも子供は授かる

告知天使ガブリエルの伝説を知らんのか


358: 名無しの信者

ていうか、春香様自身が天使なんじゃね


359: 名無しの信者

>>358

おお、そうだったな

天使春香様ー


360: 名無しの信者

天使様ー


361: 名無しの信者

春香様ー



 ―――孤高の魂よ、我が刃の盾となれ。


【全体メッセージ:プレイヤー『ミリー』率いるパーティが第81エリアのボスを討伐しました。第82エリアを開放します】


「ふむ、このエリアのボスはなかなか強かったな。だがまあ、それでも(わらわ)の敵ではなかったがな!」


 …おや?せっかく私が頭の中で黒歴史に悶えながらも『ハルカ』のロールプレイをしているのに、ミリーの反応がない。


「何考えてるのよこいつら…春香は崇めるものじゃなくて愛でるものなのよ…ああ、失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した」


 なんか、ミリーから呪詛のようなものが垂れ流されているんですけど。怖い。


「ミリー殿?ボス討伐直後に掲示板とは余裕じゃのう。リーダーのお主が妾に手柄を取られても悔しくないのか?ん?」

「うっさい。終わったんなら、さっさと帰ったら?」

「ふん。では、妾は失礼する」


 ログアウトのため宿のあるエリアに向かう、『ハルカ』としての私。しばらくしたら時間が加速を始めるから急がないと。さすがの私も、10倍加速が2アバターに及んだら他のアバター(・・・・・・)が動かせなくなる。


「春香…なんでよ…」



「ん、姉貴のパーティがボス攻略に成功したようだな」

「そうみたいだね。リーネがいなくてどうなるかと思ったけど」


 魚屋2号店で寿司をつまみながら歓談する、ケインとしての私とビリーくん。この店も寿司が定番メニューになりつつあるなあ。んまんま。


「まあ、ボス攻略の時だけ『ハルカ』が加勢するみたいだからな。でも、なんでボス攻略時だけなんだろ。時間加速が関係あるんだっけ?」

「さあ、僕も今回は詳しく聞いてないんだよね」


 はい、理由は、10倍加速でケインとハルカを動かしたら、別の(・・)VRゲームにログインしているリーネが動かせなくなるから、です。


「でも、リーネちゃん…佐藤先輩、どうしてあんな仕事引き受けたのかなあ。もともと、いろんなVRゲームをやってきたらしいけどさ。俺もそうだけど、姉貴がキレ気味で」

「その理由も僕は聞いてないんだよね。そもそも、このことを知っているのはまだ僕らだけだし」

「だからよー、掲示板がうるさいんだわ。リーネちゃんはどうしたって」


 んー、そろそろ私が【運営No.00】として直接書き込んだ方がいいかな?まあ、様子を見よう。あんまり話題にされても困るし。って、今更か…。



 とある場所に建つ、ひとつの兵舎。

 中では、部隊の隊員が整列している。


「おい…」

「嘘だろ…」


 隊員の間にざわめきが広がる。


「FWOより派遣された、リーネ・フリューゲル。階級は、少尉待遇」


 部隊の制服に身を包んだリーネとしての私が、隊員の前でそう述べる。ケインとしての私が、FWOでスローライフを送っている間に。



「見える…あたしには見える…。春香が、硝煙漂う戦場で戦ってまで、ケインに貢ぐという構図が!」


 キッ、とケインを睨みつける、ミリー。確かにその構図はきっついけどさー。


「何度も言うようだけど、今回のこともリーネ…春香が言い出したことだから」

「わかってるわよ。ただ、そうしてのほほんとお寿司を食べてる姿を見て、腹が立ってきただけよ!」


 いや、そういうミリーも食べてるじゃない、お寿司。

 『ハルカ』とのボス攻略が終わってすぐに魚屋に来てまで。気に入ってるんでしょ?


 しかし、ミリーもケインに容赦なくなったなあ。図書館で出会った頃がなつかしいよ。私を憂いてくれるのは普通に嬉しいけど、自業自得とはいえケインも私だから複雑な気分。

 でも、美里のこういうところって、本当に直情的よね。リーネとわかるまでだってそれほど話してなかったのに、FWOの掲示板をきっかけにすぐに仲良くしてくれた。

 もし、高校に入学した頃によく話すようになっていたらどうなってたんだろう…あれ、なんか涙が出てきたような。今頃花粉症?仮想世界で?


「姉貴、先輩とケインの関係なんていつものことじゃないか」

「ビリー!もしもあたしが戦場に駆り出されたらどう思う!?」

「どうって…」


 少しばかり思いを馳せる、ビリーくん。

 そして。


 がしっ。


「姉貴、すまん!俺が悪かった!」

「わかればいいのよ!」


 お互いの手を握りしめ、見つめ合う、ふたり。


 はー、この光景も慣れて…ないよ!ケインの死んだような目なんて、ロールプレイにないよ!いや、私だってミリーが徴兵される姿を見るのは嫌だけどさ。

 ていうか、リーネとしての今の私は、別の世界で対人戦闘中なんだから。なんなのよ、このシュールな視覚情報。

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