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第13話「孤高の魂よ、我が刃の盾となれ」

 とは、いえ。


「あたし達…ううん、リーネはあっさり倒したけど、他のパーティが心配ね」

「FWOはプレイヤーの能力が総じて高レベル。でも、PvPに慣れていない」

「あたし達のせいかしらね…」


 うん、ありがとう、ミリー。リーネのせい、などと言わないでくれて。


「ボス攻略じゃないから、私達が手助けするのは、問題ない。すぐ行こう」

「相変わらずタフね…」


 伊達に毎朝走り込んでいませんよ。動きだけじゃなくて、基礎体力もプレイヤースキルとして反映されるものである。


「…あれ?もしかして、10倍の加速時間に戻っていないの?通常時間の流れのまま?」

「みたい。運営がシャットダウンを考えているのかも。通常時間なら、強制ログアウト処理が滞らないから」

「でも、今回は不正ツールとか使ってないんでしょ?システムに異常がなくても、そんなことできるのかな」


 あら、正解。

 そう、真の目的は、私の『おかしな特技』を使うことを想定してのことだ。

 田中さんと事前に打ち合わせて、そうすることにしておいた。あまり想定したくないことではあったのだが。


「わからないけど、通常時間のままなら、なおさら急ぐ必要がある」

「そ、そうね!」


 私達パーティは、エリア数の大きい順から第1エリアに向かって、順次対応していくことにした。その方が、先ほど討伐したエリアから近いためだ。最前線ゆえに。



 第1エリアの露店地域。


「姉貴達、大変そうだなあ…」

「そうだね。僕らが出張っても何もできないし、見守るしかないかな。せいぜい、レベル1土魔法で短時間全員の足止めをするくらいだし」

「全員って…。まあ、そうだな。今回は極大魔法も使っていないみたいだし、確かに見ているだけ…お、おい、どうした!?」


 ケインとしての私がビリーとそんな話をしていると、ひとりのプレイヤーがふらふらとやってきた。あれは…重騎士?大怪我している!?


「た、大変だ…。やつら、今からこの第1エリアに攻め込む気だ…。小隊…っていうのか?そんな規模の集団が複数、郊外に…。俺はたまたま鉢合わせて、なんとか逃れて…」

「なんだって!?今の第1エリアは、プレイヤーの数こそ多いが、生産職か初心者ばかりなんだぞ!PKなんてレベルじゃねえ!」


 ボス攻略側は誘導だった?本当の目的は、第1エリアの制圧?

 第1エリアはいわば『始まりの町』で、戦闘職ではない多くのプレイヤーの活動拠点でもある。つまり、FWO世界における首都相当だ。

 首都制圧を想定した組織的活動?やはりというか、軍事訓練説が濃厚になってきた。


「郊外に急ごう!僕らの防御魔法やアイテムなら、戦闘職プレイヤーが戻るまで足止めできるかもしれない」

「え、いや、でも俺、商人…」

「僕よりレベルの高い魔法陣、いくつも持ってるだろ!」


 ああ、もうビリーくん、こんな時にヘタるなんて。だいたい、あの告白の時だって…今、トラウマを呼び起こすのはよそう。



「ケインから、メッセージ。第1エリアが、大規模部隊に攻め込まれようとしている」

「なんですって!?」


 メッセージは入ってないけどね。あとでログをでっち上げておこう。

 ちなみに、他のプレイヤーも、すっかり彼らのことを『部隊』と呼ぶようになっている。

 完全に戦争状態の雰囲気となっていることに、少しばかり焦燥感を覚える。


「こちらも、急ごう。半分くらいのエリアの部隊を倒せば、他のパーティに任せることができる。その後、第1エリアに転移」

「半分…いつ、終わるの…?」


 今回の部隊の装備は、ナイフのみ。マシンガンはないようだ。前回もひとりしか持っていなかったし、もしかして、完全にはコピーしきれなかった?確かに、マシンガンにしては弾数が少なかったけど。


「リーネ!このエリアの部隊は全員倒した!残った他のパーティのメンバーも何人か一緒できるって!」

「それじゃ、次に」


 確かに、いつ終わるかわからないなあ。キリがない、というのが正直な感想だ。

 プレイヤー登録をもう少し厳密にするべき?いやいや、敷居が高い『ゲーム』は商業的に問題だ。もっとも、同業他社が妨害のためだけにこんなことをするとは思えない。ハイリスク・ローリターンだ。

 焦燥感が、更に強くなる。やはりこれは、早期に決着(・・・・・)をつける必要があるかな。



「だめだ、ケイン!お前の土魔法もすぐに破られちまう!」


 レベル1だからなあ。しかも、放つたびに転移魔法陣を使う必要がある。数は揃っているが、手間がかかる。敵の圧倒多数は魔物討伐でも想定されていなかった。大群の侵攻なんてFWOに合わない。


「な、なあ。あの『ハルカ・フリューゲル』ってここで使えないのか?クルーズ船の事件で何十って複製してただろ?」

「できるけど、あれはあくまで遠隔操作用アバターだ。酷い言い方になるが、リーネ同様、紙装甲。集中攻撃によるボス殲滅ならできるけど、一回だけ」

「そ、そうか…」


 悲痛そうな顔をするビリーくん。

 ごめんね、これからもっと悲痛な顔になるかも。


「だから、呼び出している」

「呼び出し?」


 実際は『コンバート』だけど。


「…来た!春香、頼む!」



 孤高の魂よ、我が刃の盾となれ。



【全体メッセージ:運営No.00より緊急エントリーを受理しました。アバター『ハルカ』に、全てのスペースでの戦闘を許可します】


 第1エリア入口の上空に、ひとりのアバターが現れる。ログイン時の、輝く光と共に。


「ふん、この程度の輩に恐れおののくとは不甲斐ない。FWOなど、大したことないのじゃのう」


 えっと、こんな感じだったかなー、『ハルカ』のロールプレイ。

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