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第23話「…ねえ、ビリー。あたし達、頑張ったわよね…」

【無茶は】FWO初心者スレPart33【するな】


44: 名無しの初心者

街中のPKが凄かったです

どうすればあんなことができるんですか?


45: 名無しの斥候

>>44

言い直せ

『街中のPKが酷かったです』

『どうすれば避けることができますか?』


46: 名無しの重騎兵

まあまあ

>>44

NPCを襲う例はめったにない

そもそも、FWOはNPCが少なくなっているし

商店街の店も9割がプレイヤーメイドだし


47: 名無しの歩兵

プレイヤーが激増した分、NPCを減らしているみたいだな

誰かさんのせいで生産職プレイヤーが膨れ上がった


48: 名無しの八百屋

NPCといえば、一時期フリューゲル夫妻NPC説が流れなかったか


49: 名無しの魚屋

>>48

それいつの話

ふたりは間違いなくプレイヤーのアバター


50: 名無しの弓使い

>>49

根拠は?

いやまあ、ケインの造形がNPCとは思えないが

あと、リーネたんはぁはぁ


51: 名無しの釣り師

ヘイト班の連中の方がワンパターンでよほどNPCっぽい

おっと、誰か来たようだ


52: 名無しの鍛冶職人

姉御、出番です


53: 名無しの薬師

…おや?



 両親は、旅に出ることにしたようだ。いや、もちろん、FWO内で。

 戦闘も生産も興味深いが、現実世界ではめったに訪れることができない秘境が特に気に入った、そう言って。

 リポップなボスを6人パーティで蹴散らし、始めたばかりのプレイヤーが到達しようがない場所に連れていったら、そういうことになった。


「…ねえ、ビリー。あたし達、頑張ったわよね…」

「おう、姉貴…。ストレージいっぱいの高級ポーション全部がなくなったけどな…」


 おやおや、なに仲良く樹の根元で寄り添ってくつろいでいるのかな?ここではログアウトできないよ。ちゃーんと宿に行かなきゃ、よく眠れないよ?

 うん、ごめん。パワーレベリングのつもりで無理させたね。ゲーム内時間で一時間で数エリア踏破は、ちょっと無茶だったか。


「じゃあ、私達は『探検者』で設定するわ。共働きだから、週末のどちらかの休日くらいしか進めそうにないけど」

「リアルの十倍の時間ですからね、探索だけなら結構行けると思いますよ。しかし、ふたり揃って、ですか」

「ああ。『夫婦』というロールプレイだけは、現実世界と合わせたいのでね」


 仲いいよなあ、ウチの両親。

 そういえば、ケンカしてるとこ見たことないや。あ、隣に美形家族が引っ越してきた日は酷かったな。まあ、翌日にはこれまで以上にいちゃいちゃしてたけど。



 最後の仕上げ、宿でログアウト。


 FWOのおかしなところは、ログアウトするために有料の宿泊施設が必要であること。

 安宿で銅貨10枚、高級宿で金貨1枚ほど。それぞれ、ひと部屋の値段だ。まあ、衣食住全てに維持費がかかるというのは、バーチャルとはいえリアリティがあるけど。

 高級宿にはいろいろな設備が備え付けられている。準新作の映画が宿代込で見られたりとか。ちゃっかり高画質PVを別料金で紛れ込ませているが、こいつの売上が一番大きいらしい。なぜに。


 せっかくなので、ミッキー経由で高級宿を手配、両親アバターに泊まってもらう。ふたりは恐縮しきっていたが、今回だけですよと無理に通した。数時間ほど過ごしてからログアウトするようだ。


 念のため、ログアウトするまでケインが宿の近くで待機。借り出した図書館の本を立ち読みしていたらすぐだろう。

 実のところ、昼間のPK連中の仲間が動き回っているという情報があるのだ。私が初心者アバターと歩いていたことは広く知られているらしく、人質作戦で報復の可能性もあるとかなんとか。

 情報源は、ミリビリ姉弟経由の掲示板。なんか、『近況班』とか言ってたな。私の知らない用語が出てくる出てくる。


 せっかくなので、リーネは闇夜の中でレベル上げ。夜はプレイヤーが討伐地域に入りにくいので、ひさしぶりに街の近くの魔物を狩りまくる。おお、剣圧だけで数十匹が吹っ飛んだ。

 だから、というわけでもないけど、油断した。


「うおらぁ、串刺しにしてやるぜぇ!」

「おらおらどうした、動きが鈍いぞ!」

「黒焦げになっちまえ!」

「リーネたんはぁはぁ」


 ひとり変なのがいるが、数十人という規模で集団PKをかけてきた。リーネただひとりに。

 これはウザい。数人単位で瞬殺できるが、それなりにレベルの高い連中ばかりで、少しでも攻撃をくらえば、何割という規模でリーネのHPが減る。あ、変なのは真っ先に消したけど。

 ある意味、バトルロイヤルイベントの再来だ。やはり、リーネとしての私には向いていない。


 だから、向いているアバターに任せる。


「【支援開始(サポート)】バインド」


 転移魔法陣で現れたケインが、残っているPK連中全員の足元に魔法陣を展開する。


「へっ、レベル1の束縛魔法なんかたいしたことないぜ!」

「すぐに切れちまうぜ!そうしたら、お前から切り刻んでやるぜ、チャラ男!」


 誰が、束縛魔法だけと言った。

 ケインは、スキルはレベル1かそれ相当ばかりだが、魔力量はリーネの剣技レベル並だ。

 つまり、魔法陣それぞれは何重にもしかけてある。


「【受諾開始(アクセプト)】ファイア」


 PK達の足元から炎が舞い上がる。まあ、これも所詮はレベル1だ。


「ぐあぁ!」

「ああああっ」

「ごふっ…」


 ええ…。基本の火炎魔法だけで半減したんですけど。さては、こいつらも紙装甲か?

 まあいいや。ねくすと。


「【実装開始(インプリメント)】フリーズ」


 残りのPK集団がそれぞれ氷像となる。しばらく待つが、変化がない。ただの…

 あ、一斉に砕け散った。なに、水属性への耐性もなかったの?まあ、リーネもだけど。


 とりあえず、撃退終了。

 さて、一応ケインは宿の近くに転移。リーネはレベル上げ再開。

 両親がログアウトするの、あと三十分くらいかなあ。

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